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「ふたつの部屋、ふたりの暮らし」 [映画]

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〔2019年/フランス〕


南フランスのアパートの最上階で、
向い合せの部屋で暮らす、
老女・ニナとマドレーヌ。


2人は恋人同士で、
近いうちに、
一緒にローマに移住しようと、
具体的な計画を立てていた。


しかし、マドレーヌは、
その事を娘と息子に
どうしても言い出せず、
苛立ったニナは、
酷い言葉を投げつけてしまう。


すると、その直後、
マドレーヌが、
回復の見込みが薄い病に倒れてしまい・・・。





これは辛い。
老いや、
同性愛、
親子関係、
人間関係、
などなど、本当に考えさせられる。


女同士で愛し合う、高齢のニナとマドレーヌ。
ニナに婚歴はないけれど、
マドレーヌは、死別した夫からのDVに耐えながら、
2人の子どもを育ててきた。


で、マドレーヌが、
病気で倒れてしまうのだけれど、
マドレーヌの娘は、
ニナの事を、
「母親と仲のいい友人」という認識でしかなく、
まさか「恋人」だなんて、夢にも想像していない。


それでも、娘は、次第に2人の関係に
気付いてゆくのだけれど、
そうすると、激しい嫌悪感を示す。
その気持ちは痛いほどわかる。
自分の母が、
父が生きている時から、
女性と深い関係にあったなんて、
1ミリもショックを受けない人なんているだろうか。
たとえ、同性愛に、
何の差別的感情のない人だとしても、
それとこれとは別問題だろう。


そして、ニナの気持ちも痛いほど分かる。
マドレーヌと、深く愛し合い、
あれほど仲良しだったのに、
彼女が病気で倒れても、
自由に顔を見に行ったり、
看病を手伝う事もできない。
世間的に見れば、
ニナとマドレーヌはあくまでも他人で、
男女でいうところの、
いわゆる、「内縁関係」ですらないのだ。


まぁ、でも、突き詰めて考えると、
これは同性愛云々だけでなく、
男女のカップルでも、起こり得る問題かも。
自分の母親が倒れたところに、
いきなり、知らない男性が現れて、
「自分は恋人でした」と言われたって、
子供は、困惑するばかりだろうし。


年を取るって、
何なのだろうと、本当に考えさせられる。
人生、いくつになってもやり直せるって、
よく聞く言葉だけど、
やり直せない事もあるんだって、
最近、私も気付きつつある。
悲しい。


評価 ★★★★☆

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