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「クーリエ 最高機密の運び屋」 [映画]

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〔2020年/イギリス〕


1960年。
アメリカとソ連の緊張は頂点に達し、
あわや核戦争、という不安に、
全世界が怯えていた。


そんな中、
CIAは一人のイギリス人セールスマンに目を付ける。
その男・グレヴィル・ウィン(ベネディクト・カンバーバッチ)は、
日頃から東側諸国に、
工業製品を卸す仕事をしており、
ソ連に出入りしても、何ら不自然ではない。


彼のミッションは、
ソ連のペンコフスキー大佐(メラーブ・ニニッゼ)から、
機密情報を受け取り、
西側に持ち帰るというもの。


「私は一介のセールスマン」だと、
一度は協力を拒否したグレヴィルだが、
説得され、
仕方なく、任務に就くが・・・。





試写会で観た。


全く普通の、
一般のセールスマンが、
ソ連の機密を受け取り、
持ち帰るという、
見つかったら命に関わるようなミッションを
遂行する物語。


これは実話で、
グレヴィル・ウィンも実在する人物だそうだ。


そして、これは、
ただのスパイ映画ではない。
機密を持ち帰る、
緊張感だけの映画なら、
他にもある。


この映画の、
何よりの見所は、
西側のグレヴィルと、
東側のペンコフスキー大佐との
友情にある。


最初は、嫌々スパイ行為に加担し、
仕事としてペンコフスキー大佐と接触していたグレヴィルなんだけど、
ペンコフスキー大佐の人柄に触れ、
また、彼の家族と交流したり、
彼の将来の夢を聞いたりするうちに、
強い友情を感じるようになる。


そして、
「もうミッションは終わった。 
 君は一般人に戻って、自由に暮らしていい」と
言われたのに、
ペンコフスキー大佐の身を案じ、
自らもう一度、ソ連に向かう。


いつもの私なら、
「お願い、もう行かないで。 
 あなたは無事なんだから、それでいいじゃない」
と彼の妻目線で、懇願してしまいそうな場面なんだけど、
ペンコフスキー大佐との友情を見ているので、
本当に自然に、
「そうだね、もう一回行ってあげるといいよ」と
思える場面だった。


その後の事は書かないけど、
それはもう、壮絶としか言いようのない運命が
グレヴィルを待ち構えていて、
それでも、彼はペンコフスキー大佐との友情を
決して裏切らず、
そしてまた、ペンコフスキー大佐も同じ友情の気持ちを
貫き通したと知った場面に至っては、
涙が出た。


グレヴィルのおかげで、
「キューバ危機」が回避されたのだという。
いい映画だった。


評価 ★★★★★

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