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「ホロコーストの罪人」 [映画]

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〔2020年/ノルウェー〕


ノルウェーのユダヤ人のボクサー・チャールズは、
両親や兄弟と穏やかに生きる青年。
さらに、美しい恋人・ラグンヒルと結婚した彼は、
幸せの絶頂に。


しかし、
戦争が次第に激しくなり、
ナチスドイツが、ノルウェーに侵攻、
ユダヤ人の男性たちは、
収容所に連行されてしまう。


その後、母も連行され、
アーリア人のラグンヒルだけが、
家に残される。


収容所で過酷な強制労働に耐えていたチャールズたちだったが、
ある日、「仕分け」され、
父と兄弟だけが、
アウシュビッツ行きの船に乗せられる・・・。





試写会で観た。


主人公のチャールズやその家族は、
実在の人物だそうだ。


この映画のタイトルの
「罪人」とは、
ノルウェーの軍や警察や軍を指す。
軍や警察は、
同じノルウェー人でありながら、
ホロコーストに加担し、
ユダヤ人の強制連行に協力していた歴史があるのだ。


2012年、ノルウェー政府は、
その事実を認め、
公式に謝罪したそうだ。


今まで、ユダヤ人の強制連行の映画は、
何本も観てきたけれど、
妻が違う人種、というのは本当に辛い。


粗筋にも書いたけれど、
主人公・チャールズの妻はアーリア人で、
だから、連行はされず、一人残される。


連行されなくて良かったじゃないか、
なんて事は、もう全く、1ミリも思えない。
自分以外の家族が全員連れ去られ、
泣きながらそれを見送るなど、
ある意味、連行されるより辛い。
圧倒的な喪失感に、
気が狂いそうだ。


収容所での「仕分け」も本当に辛かった。
チャールズは、
過酷な労働を強いられてはいるけれど、
父や兄弟たちが一緒な事が、心の支え。
助け合い、励まし合って、時をやり過ごしている。


それが、突然、
アウシュビッツ行きの船に乗るの者、乗らない者に分けられ、
チャールズだけが、
収容所に残る組に入れられる。
そのショックたるや、
彼はもうパニックだ。
そりゃあそうだろう、と思いながら観る。
最初から一人より、
何百倍も辛い。


映画のラスト、
チャールズや、
妻や、家族の、その後の運命が、
テロップで流れる。
戦争は、全ての人の幸せを壊し、
人生を変えてしまう。


評価 ★★★☆☆

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