「殺されたスチュワーデス 白か黒か」 [映画]
〔1959年/日本〕
中禅寺湖畔で、若い女性の遺体が発見された。
警察の調べで、
女性の名前は若槻綾子(久保菜穂子)、
職業・スチュワーデス、
そして、
モンテ・マリオ修道会の、
敬虔なクリスチャンだと分かる。
さらに捜査するうちに、
綾子が、
モンテ・マリオ修道会の、
ダニエル神父と、
かなり親しい間柄だと分かってくる。
ダニエル神父は、
重要参考人として、
警察に呼ばれるが、
修道会は、
神父が、罪など犯すわけがないと、
取り調べは難航。
しかし、
ダニエル神父には、
真面目な表の顔と、
女性を誘惑する裏の顔とがあり・・・。
今まで、
教会からの批判などにより、
カットされたものしか上映されなかった本作品が、
今回、
フィルムを修復しての、
完全版として上映された。
大変な見応えで、
夢中になった2時間。
この事件は実話だそうで、
1959年に起こったスチュワーデス殺しとして、
当時、話題になったそうだ。
今よりずっと、
スチュワーデスという職業が、
女性の憧れであり、
さらに、容疑者が外国人、
それも、高潔であるはずの、
教会の牧師というのだから、
それはセンセーショナルだったに違いない。
映画の1時間半ほどは、
事件が起こるに至った、
スチュワーデスと神父の関係、
さらに、神父の乱れた私生活が描かれる。
この神父、
聖職者の仮面を被った、
ただの不良外人で(笑)、
殺害されたスチュワーデスの前にも、
別の女性と深い関係があり、
その女性をポイ捨てしたあげく、
今度はスチュワーデスに入れ込んだ、
という乱れた生活。
教会での仕事をしたあと、
慌てて着替えて、
女に会いに行き、
また、慌てて戻るなど、
とにかく忙しい(笑)。
マメな男はモテるというけれど、
まさしく、その言葉を地でいっている(笑)。
そして、ラスト30分で、
スチュワーデス殺害の経緯が描かれるんだけど、
実はこの30分は、
創作だ。
というのも、この神父、
捜査がまだ途中だと言うのに、
とっとと、自国に帰ってしまったのだという。
そして、事件は迷宮入りとなり、
1974年に時効を迎えたそうだ。
映画を観ているこちらとしては、
神父が真犯人なら、
もっと追及してほしかったけど、
なにせ、彼には、
強力な宗教という壁があり、
警察の取り調べには、
必ず、教会関係者と弁護士が同じ部屋に入り、
ちょっとでも厳しく当たると、
注意が入るという面倒くささ。
さらに、教会から提示された条件が細かく、
例えば、
「午前10時はお茶のお時間を必ず取る」との事で、
容疑者神父は、
時間になると平然とした顔で、
お紅茶をお飲みになり、
おビスケットをお食べになっている。
刑事や、新聞記者は、
イラつきながらも、揶揄するように、
「お十時の休憩だとよ」と、
半笑いするしかない。
映画の感じだと、
教会が神父を、
外国に逃がしたように描かれているし。
当時、クリスチャンの遠藤周作さんなども、
「潔白なら日本の警察に協力すべき」と話したそうだ。
きっと昔は今より、
西洋人の方が、
東洋人より上、という感じで、
舐められていたんだろう。
まぁ、今でもそうなのかもしれないけど。
評価 ★★★★☆
スチュワーデスと言えば「スチュワーデス物語」を思い出しちゃう(^_^;)
松本千秋「私はドジでのろまなカメです!」
教官「そうだ!お前はドジでのろまなカメだ!」
妙に臭い芝居にハマってたな(^∇^;)
でもこのドラマの出演者が結構豪華だったんだよね。
by 英ちゃん (2022-03-19 15:40)
メインタイトルはなんだか清張っぽくてカッコいいんですが、
その前の「スチュワーデス・・云々」が付くとちょっぴりチープさが…(笑)。
を、田宮二郎出てるんですね。
by ぼの (2022-03-20 00:45)
中禅寺湖畔でスチュワーデスが殺害?!” 当地に住んでますが
聴いたこと無いです。そんなことがあったんですね。
ダニエル神父は何処の国か?犯人引渡条約は無かったのかな?。
by お散歩爺 (2022-03-20 08:41)
聖職者の仮面を被った、ただの不良外人で
もうこれが、興味をひきます(>_<)
「強力な宗教という壁があり」これ、オウム事件の時も解決のさまたげになりましたよね。
by わたし (2022-03-20 15:38)
実際にそんな事件があったのですか。
上の嫌らしい横顔の外人さんが悪い神父なんですね
日本から逃亡した元日産社長のゴーン氏にそっくり^_^
しかし悪い神父がいたものですね。女遊びが本業で
神父は仮の顔?こんなヤツ許せんಠ_ಠ
by プー太の父 (2022-03-20 16:21)
面倒な事件ですよね、外国人でしかも神職とはね、日本人にもいますね神主や坊主の癖にと思う輩がね、
by kousaku (2022-03-21 08:03)
東京というところはスゴイところだなぁ。
この作品は完全なフィルムが長年、行方不明と
されていて誰も見たことがない…という作品だった。
やはり「地域格差」というのはあるなぁ。
私のように奈良県に一生引きこもっているような
人間には決してお目にかかれない作品。
もちろん見たければ、足を運べばいいのだが、
諸事情により遠出が出来ない、そんな人もいる。
あまりに悔しいので、いつか奈良でしか見られない、
そんなイベントを開催してやるのが私の夢である。
もちろん青山実花さんはお断りだ。
どうしても入りたければ、大和高田市に
住民票を移してからお申込みください。
今回ばかりは、私の勝ち…ということで、
よろしかったでしょうか?
よろしくお願いいたします。
by 裏・市長 (2022-04-03 00:38)
英ちゃんさん
コメントありがとうございます。
「スチュワーデス物語」は、
リアルでは見ていなかったのですが、
全部通して一気見したくて
DVD-BOXを買っちゃいました^^;
馬鹿馬鹿しさに大笑いしますよね^^
by 青山実花 (2022-07-14 17:19)
ぼのさん
コメントありがとうございます。
松本清張さんは
この事件を題材にした本を書いていますので、
タイトルも寄せたのかもしれませんね^^
by 青山実花 (2022-07-14 17:19)
お散歩爺さん
コメントありがとうございます。
随分前の事のようですが、
このような事件があったようですね。
今もそうですが、
昔はもっと、
日本は外国には何も言えなかったのでしょうね。
by 青山実花 (2022-07-14 17:20)
わたしさん
コメントありがとうございます。
映画として、とても面白かったです。
こういう男はいつの時代にもいる、
普遍のテーマですね。
宗教はどうも性に合いません。
by 青山実花 (2022-07-14 17:20)
プー太の父さん
コメントありがとうございます。
確かに、この俳優さん、
ゴーン氏に似てますね^^;
偏見ですが、
どうも聖職者とか聞くと、
胡散臭く思えてしまいます^^;
人間だから、欲望だってあるのに。
by 青山実花 (2022-07-14 17:20)
kousakuさん
コメントありがとうございます。
どこの国でも、
聖職者が実は・・・という話がありますね。
日本も例外でなく。
by 青山実花 (2022-07-14 17:20)
裏・市長さん
コメントありがとうございます。
そりゃあ、
いくら狭い日本とはいえ、
地域格差はございますわ。
例えば、奈良県。
奈良県は、聖徳太子が生まれ育ったところであり、
様々な神社仏閣があり、
そして、何千頭のも鹿を飼っておられる。
一般道に鹿が歩いているなど、
東京では有り得ない光景。
本当に羨ましい思いでおります。
さらに、ボクシングでは、
「奈良判定」なるものが存在していたとか。
奈良県こそ、日本一優遇されている県でございますわね。
by 青山実花 (2022-07-14 17:21)