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「限りある日を愛に生きて」 [映画]

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〔1967年/日本〕


伊藤紀子(高田美和)は、
20歳の時、
重度の心臓病になり、入院する。


不安な毎日を過ごす紀子のために、
兄の文學(山本耕一)は、
新聞の読書欄に、
「心臓手術をする妹を激励してやってほしい」と
投稿したところ、
多数の手紙が届く。


その中の1通、
新聞配達をしながら大学受験を目指す
草薙実(太田博之)と
文通をするようになった紀子は、
実に会いたいと思うようになる。


文學の計らいで、
病院にやって来た実は、
紀子を励ますが・・・。





雑誌の編集者で実業家の
伊藤文學さんの、
妹さんの実話なのだそうだ。


難病の少女と、
青年が文通を通して愛を深める実話というと、
吉永小百合さんの、
「愛と死をみつめて」を
思い出すけれど、


紀子さんの闘病生活と、
「愛と死をみつめて」は、
どちらも、
1960年前半の、
ほぼ同じ時期の出来事のようだ。


映画的な演出もあるだろうけれど、
紀子さんと同じ病気で入院している、
幼い少年や、同世代の女の子たちは、
手術をしても、
二度と生きて戻れないケースが多く、
その度に、病室が、
悲しみと、絶望に包まれるのが辛い。


それでも、紀子さんの手術は成功し、
紆余曲折の末、
実さんと結婚する。
悲しい終わりでなくて、本当に良かった。


ところで、
伊藤文學さんと言えば、
ゲイ雑誌、「薔薇族」を創刊された方として
知られているけれど、


以前、何かのきっかけで、
伊藤さんに興味を持ち、
図書館にあった
「薔薇ひらく日を-『薔薇族』と共に歩んだ30年」という
本を読んだ。


伊藤さんご自身は、
同性愛者ではないけれど、
まだ、世の中が同性愛に対して、
全くの無理解であった頃、
偏見をなくそうとして、
大変なご尽力をされていたのが伝わる、
真面目で、素晴らしい内容だった。


一つ、覚えているエピソードで、
伊藤さんが人づてに聞いた話として、


”ある書店で、少年が万引きをして捕まった。
その時、盗んだのが、
男性向け同性愛の雑誌で、
少年は、さらに好奇の目を向けられることになってしまった。


私は、その事を大変に残念で、悔しく思う。
もし、私が店主だったら、
警察が来る前に、
せめて、その雑誌を一般誌と取り換えてやるくらいの
配慮をしたのに”


と、そんな内容の文章が、
強い記憶に残っている。


ちょっと分かるな。
もちろん、万引きは絶対にしてはいけない事だし、
警察に突き出されるのは当然の事だけれど、
少年は、その雑誌をレジに持っていく
勇気がなかったのかもしれない。


まぁ、世の中、
そんなに甘くはないから、
配慮を求めるのは、
難しいのかもしれないけど、
ちょっと忘れられない一節。


評価 ★★★☆☆

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