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「赤線の灯は消えず」 [映画]

akasennohihakiezu.jpg
〔1958年/日本〕


1958年3月に、
「売春防止法」が施行され、
赤線で働いていた女性たちは、
仕事を失う。


その中の一人・信子(京マチ子)は、
郷里に帰るも、近所の人たちに過去を知られ、
仕方なく、東京に舞い戻ってくる。


なんとか堅気になりたいと、
工場勤めや
屋台のおでん屋の手伝いや、
手荷物預かり所の受付をするのだが、
世間の風は冷たい。


一方、信子と一緒に赤線で働いていたヒデ(野添ひとみ)は、
上京してきた郷里の知り合い・宗吉(船越英二)との
結婚を夢見るが、
あるきっかけで、過去を知られてしまう・・・。





京マチ子映画祭で観た。

kyoumachikoeigasai.jpg



赤線で働いている女性たちを描いた映画は、
観た事があるけれど、
赤線が廃止されてから、
その後、女性たちがどうなったかを
描いた映画を観たのは初めて。


ちょっとドキュメンタリー風で、
考えさせられる。
貴重な映画だと思う。


この映画での京マチ子さんは、
とても真面目で、健気で、
赤線廃止後は、決して売春はするまいと心に決め、
真っ当な仕事に就こうとするのだけれど、
必ず、邪魔が入ったり、
過去を知られたりして、
上手くいかない。


それは京さんだけでなく、
赤線にいた女性たちは、
みんな苦しんでいる。


京マチ子さんの真摯な演技も良かったけど、
野添ひとみさんを見られて良かった。


スラリとした手足、
そして、いかにも現代っ子風な態度。
彼女は、赤線にいた事を隠してはいるけれど、
京さんほど、重くは受け止めていないみたいだ。


「赤線があった方が良かった」という意見を
たまにネットや、その他の媒体で目にする事がある。


この映画でも描かれているけれど、
赤線がなくなっても、
人の欲望に変わりはなく、
売春組織は、暴力団の手に渡り、
地下に潜り、
かえって酷い状態になっただけだと。


それは難しい問題。
もし、赤線が廃止されず、
ラスベガスのように、
地域限定で売春が許されていたら、
日本の雰囲気は、また今とは違ったものになっていたかもしれない。


とはいえ、
ほぼ公認ともいえる風俗もあるわけだから、
そう変わりはないのかな(笑)。


評価 ★★★★☆




この作品で、
京マチ子さんの出演映画、100本中75本を観た事となりました。


(★は観た作品)


 化粧 (1984)
★男はつらいよ 寅次郎純情詩集 (1976)
 妖婆 (1976)
 金環蝕 (1975)
★ある映画監督の生涯 溝口健二の記録 (1975)
★華麗なる一族 (1974)
★玄海遊侠伝 破れかぶれ (1970)
★千羽鶴 (1969)
 小さい逃亡者 (1966)
★沈丁花 (1966)
★他人の顔 (1966)
★甘い汗 (1964)
★現代インチキ物語 ど狸 (1964)
★女系家族 (1963)
★女の一生 (1962)
★仲よし音頭 日本一だよ (1962)
★黒蜥蜴 (1962)
★釈迦 (1961)
 小太刀を使う女 (1961)
★女の勲章 (1961)
★濡れ髪牡丹 (1961)
★婚期 (1961)
★お傳地獄 (1960)
 顔 (1960)
★足にさわった女 (1960)
 三人の顔役 (1960)
★ぼんち (1960)
★流転の王妃 (1960)
★女経 (1960)
★浮草 (1959)
★鍵 (1959)
★次郎長富士 (1959)
★夜の闘魚 (1959)
★女と海賊 (1959)
★細雪 (1959)
★あなたと私の合言葉 さようなら、今日は (1959)
★娘の冒険 (1958)
★夜の素顔 (1958)
★赤線の灯は消えず (1958)
★大阪の女 (1958)
★忠臣蔵 (1958)
★母 (1958)
★悲しみは女だけに (1958)
★有楽町で逢いましょう (1958)
★穴 (1957)
★夜の蝶 (1957)
★地獄花 (1957)
★女の肌 (1957)
★踊子 (1957)
★いとはん物語 (1957)
★スタジオはてんやわんや (1957)
★八月十五夜の茶屋 (1956)
★月形半平太 (1956)
★赤線地帯 (1956)
★虹いくたび (1956)
★新・平家物語 義仲をめぐる三人の女 (1956)
 新女性問答(1955)
★藤十郎の恋 (1955)
★楊貴妃 (1955)
★薔薇いくたびか (1955)
 春の渦巻 (1954)
 馬賊芸者 (1954)
★千姫 (1954)
★浅草の夜 (1954)
★春琴物語 (1954)
 愛染かつら (1954)
★或る女 (1954)
★地獄門 (1953)
★あに・いもうと (1953)
 黒豹 (1953)
★雨月物語 (1953)
 彼女の特ダネ (1952)
★大佛開眼 (1952)
★美女と盗賊 (1952)
★瀧の白糸 (1952)
★長崎の歌は忘れじ (1952)
★浅草紅団 (1952)
★踊る京マチ子 歌う乙羽信子 (1952)
 恋の阿蘭蛇坂(1951)
 情炎の波止場(1951)
 馬喰一代 (1951)
★源氏物語 (1951)
 牝犬 (1951)
★自由学校 (1951)
★偽れる盛装 (1951)
 美貌の海(1950)
 復活(1950)
★火の鳥(1950)
★羅生門 (1950)
★浅草の肌 (1950)
 遙かなり母の国 (1950)
★続蛇姫道中 (1950)
★蛇姫道中 (1949)
 最後に笑う男(1949)
★痴人の愛 (1949)
 三つの真珠 (1949)
★地下街の弾痕 (1949)
★花くらべ狸御殿 (1949)
 天狗倒し(1944)
 団十郎三代 (1944)


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トータン

なんとも懐かしい「総天然色」私がまだ小学生の頃でした 月光仮面も七色仮面もモノクロの時代でしたから・・・・(^^;
by トータン (2019-03-24 09:10) 

青山実花

トータンさん
コメントありがとうございます。

小学生の頃とはいえ、
この時代をリアルにご存知な事がとても羨ましいです。
私は古い邦画が大好きで、
昔の映像を、憧れを持って観てしまいます^^

by 青山実花 (2019-03-24 10:48) 

裏・市長

いつの時代も、お上というのは勝手なモンだ。

一方的に「売春防止法」だのを作って、
この日からダメ~!と線引きし、違反者は罪人扱い。
昨日までは正式な職業だったのに・・・。

戦争中だって、兵隊さんにお国のために
死んでこいや!と、覚醒剤を配給していたじゃないか。
ヒロポンとして。

それが戦争が終わった途端に、麻薬取締法やで。
戦争から戻ったもんは皆、中毒患者化しとるがな!。
急にやめられるかいな。

ピエール瀧も20代からやっとったって。
キミ、ちょっと喋りすぎや。正直すぎる。
昨日、はじめてですぅ~バブゥ~タラちゃんですぅ~と、
言っておけばいいのに。

入手ルートも喋ったんだって?正直すぎる。
なんぼ捜査に協力的やねん。

大丈夫。安心してください。
ボクはクチが固い男とso-netでも評判なんです。
青山実花さんの「アノ」秘密だけは、
絶対に守りますよ!。

もう、ウソついたら、
罰として青山家の財産を全部、相続してもいいです。
ボクの体を好きにもて遊んでくださっても結構です。

・・・ちょっとだけ喋ろうかしら・・・。
by 裏・市長 (2019-03-26 03:42) 

青山実花

裏・市長さん
コメントありがとうございます。

確かに、
国はその時の都合で勝手すぎるんですわね。

赤線で働いて女性たちは、
ある意味、公務員のようなもので、
国で公認されていましたものね。

それが、明日から仕事がないと、
放り出された日には、
皆様、困っちまいますわね。

今の高齢化社会だって、
戦時中の、
「産めよ増やせよ」のせいですからね。

でも、国民も利口になりました。
少子化の昨今、
また国が「産めよ増やせよ」と触れ回っておりますけれど、
もう、国の言いなりになる人間なんて、
一人もいやしません。
子供は減る一方でございます。
いい時代になりました。

私の秘密?なんでしょう。
和歌山で一度お会いしただけの裏・市長さんに、
そんな重大な秘密なんて、打ち明けた記憶はないのですが・・・

あ・・・もしかして、あの事ですか?
わー、言わないでー!
2人だけの秘密だと誓い合ったではないですか。

by 青山実花 (2019-03-27 07:03) 

裏・市長

おはようございます!。

・・・あれ?昨日、確かここに書かれていた
予言が消えている・・・?。

ボクの未来の行動を予言した怖ろしいもの
だったので、誰がこんな予言どおりに
動いてなるものか!と意気込んでいたのですが・・・。

よし!これで気兼ねなく赤線に行ける!。
いや、今はソープラ・ラ・ランドというのですね。
ちょっと未成年と夜のお勉強をしてきます!。
また、おみやげ話、書きこませてもらいますね!。
by 裏・市長 (2019-03-27 07:49) 

Ginger

赤線、青線の匂いが残る町がスキなのですが、そのひとつ立石が大きく再開発されることがかなちいです。。。
by Ginger (2019-03-29 12:07) 

青山実花

裏・市長さん
コメントありがとうございます。

昨日の予言・・・
えーっと、なんでしたっけ。
4ヶ月も遅れてコメント返しをしているので、
まっっったく、何の事だか思い出せませんわ。

・・・と思って、
エクセルの下書きを見てみましたら、
残ってたわ!
消したのはこの4行でしたわね。
 ↓
イライラして昼寝もできませんでしたわ。
1万円のやかん買っちゃおっと。
里中満智子の「あすなろ坂」は全9巻。
お達者コメディ シルバー・ギャング。

本当にこの頃は色々ありました。
で、
やかん、里中、お達者をどうしたかったのかしら。

by 青山実花 (2019-07-30 10:21) 

青山実花

Gingerさん
コメントありがとうございます。

古い雰囲気の街が、
どんどん開発されるって、どうなんでしょうね。
オリンピックに合わせすぎな気もします。
by 青山実花 (2019-07-30 10:22) 

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