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「暁の翼」 [映画]

akatsukinotsubasa.jpg
〔1960年/日本〕


1959年。
自衛隊のパイロット・北川(菅原謙二)と、高井(友田輝)は、
訓練飛行のため、
T33ジェット257機に乗り込み、
飛び立った。


ところが、計器の故障が起こり、
2人は、
自分たちが今、どこを飛んでいるのかが
分からなくなってしまう。


必死でSOSを出すも、
通信は途切れ途切れ、
ガソリンは残りわずか。
2人は最終手段である、
機外へのパラシュート脱出をし、
海に落ちる。


パラシュートに付いている、
一人用のゴムボートに、それぞれ乗った2人だが、
大海原で離れ離れに。


その頃、
自衛隊では、
行方不明になった2人の捜索に
全力を上げるが・・・。





これは、1959年に、
実際に起こった、
自衛隊機の事故なのだそうだ。


ストーリーは単純明快。
元気よく飛び立った、
自衛隊のパイロット・北川と高井が、
計器の故障により、
やむを得ず、
海に落ち、
その後、助けを待つという物語。


これだけ書くと、
そんなんで、100分の話が持つのか、
と思われそうだけど、
これがめっちゃ面白い。


助けを待つ、
2人のパイロットの、
希望と絶望の間を逡巡する様子は、
こちらまで苦しくなるし、


彼らを何とかして救出したいという自衛隊側の、
必死の捜索には、
手に力が入る。


さらに、2人のパイロットの家族、
北川には、妻(左幸子)と子供がいて、
その子供たちが、
父の身を案じ、泣きじゃくる様子は
涙を誘い、


高井の妻に至っては、
事故当日、
病院で、妊娠を告げられ、
「夫が帰ってきたら、何と言って報告しようかしら」なんて、
天国にいるような気分だったのが、
いきなり地獄に突き落とされたようなショック。
観ているこちらは、
妊婦の心に負担がかかるのが心配で、
早く嬉しい報せがあるといいのにと願うばかり。


それにしても、
海の上の人を探すって、
本当に大変なのだと、
あらためて思う。


何の障害物もないのだから、
簡単に見つかりそうな気もするけど、
いやいや、
そんなに甘くない。
実際、捜索の飛行機が、
見える位置に飛んでいるのに、
自分を見つけてもらえない、
パイロットの絶望といったら、
想像を絶するものがある。


この映画、
防衛省の全面協力があったそうで、
飛行の場面が、思いの外すごい。
飛行機がお好きな方なら、
より楽しめるのではないかと思う。


評価 ★★★★☆

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コメント 4

tommy88

ずーっと昔、大阪に住めなくなった頃、船乗りでした。
小笠原よりずーっと南の方で釣りをしましたが、怖い。
落ちたらオシマイでしょうね。
ひょっこりひょうたん島みたいに丸い地球の水平線です。
夜は満天の星で波が白く、緑色に光る不気味さ。
おそらく救命ボートでひとり漂流すれば、発狂するでしょうね。
近海で遭難するヨットを見かけたことはありますが、交通も多い。
まあ、空海とか鑑真とか、偉いなぁと思います。

by tommy88 (2021-02-07 15:05) 

青山実花

tommy88さん
コメントありがとうございます。

昔、船乗りをされていたのですか?
先生になられる前でしょうか。

やはり海での漂流は怖そうですね。
見つけてもらえないのが、
恐怖です。
渇き、太陽光も怖いです。
おそらく今後の人生で、
そのような目に遭う事はないと思うのですが。

by 青山実花 (2021-02-07 21:41) 

裏・市長

海の上で助けを待つだけで100分か!。
思い切った構成の映画やな。

そう言われれば、海の上で漂流している人間なんて、
GPS携帯でも持ってない限り、見つけるのは
至難の業ではないか?。

部屋でなくした指輪ですら、いまだに見つかったと
聞かないのに…。





…あっ…。







すいません、余計なことを書きました。
ひょっとして思い出させてしまいましたか?。
大丈夫でしょうか?。
もうすっかり吹っ切れていますよね?ね?。

そうでした。青山実花さんも指輪を失くされて、
そりゃあもう大騒ぎでしたね。
一応、そんなことはないだろうと思ったのですが、
ウチの中も探してみたのですが、
やはり見つけられませんでした。

それにしても気になるのは、その指輪の行方ではなく、
どうやってこの遭難者が無事、救出されたかです。

こんな古い映画に今更ネタバレもヘッタクレも
ありません。最後の最後まで書き倒して、
お互いにすっきりしましょうよ!。

あ、歴史の事実だから自分で検索して調べればいいのか!。
それはスマンかった。

ところで指輪が出てきたら、お礼に1割お忘れなく。
by 裏・市長 (2021-02-08 00:57) 

青山実花

裏・市長さん
コメントありがとうございます。

さすがに漂流経験のある
裏・市長さんのお言葉には
重みがありますわね。

裏・市長さんは、62年前、
大和高田海岸で、
波にさらわれて、
3年後に東京湾で発見されたと、
当時、ニュースで大騒ぎになっておられましたわね。
第二の「若人あきら失踪事件」と言われ
世間を騒がせたのが昨日のことのように
思い出されます。





…あっ…。







そんなことを書いていたら、
当時の細かい事が胸に甦ってまいりました。
あの時、
わたくし、買ったばかりの
ティファニーの指輪を裏・市長さんに
預けましたよね。

わたくしが断ったのに、
しつこく、
「サイズ直しを頼んでやる」と言われて。

あの時の指輪、
一体どこへやったのですか?
考えてみれば、
3年後に東京湾にいたなんて不自然すぎます。
あの指輪、コメ兵で見たという方がいるんですけど・・・。

by 青山実花 (2021-02-26 12:00) 

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