「シモーヌ」

〔2002年/アメリカ〕


過去に2度、
アカデミー賞短編賞にノミネートされた事がある
映画監督・ヴィクター・タランスキー（アル・パチーノ）も
今は落ちぶれ、
元妻が役員をする映画会社から、
解雇通告されてしまう。


そんなタランスキーの前に、
見知らぬ男・ハンクが現れ、
CGで作った
パーフェクトな美人・シモーヌの
ソフトを手渡される。


シモーヌを使って映画を作ると、
それが、なんと大ヒット。
シモーヌは世界の恋人と呼ばれるようになってしまう。


ハンクは既に亡くなり、
秘密を知っているのはタランスキーだけ。
彼はシモーヌの正体を知られぬよう、
四苦八苦する生活を送るようになる。


シモーヌの人気は
とどまるところを知らず、
それはもう、
タランスキーの手には負えない状態となり・・・。





こういう映画大好き。


CGで作られた人間が、
長い間、そうと気付かれずに、
人気を保てるわけがない、などという、
無粋な事は考えずに観た方が楽しい。


最初から可笑しい。
アル・パチーノ演じる主人公の映画監督が、
カラフルなゼリービーンズの中から、
「赤」だけを取り出している。
これはもう、ワガママな女優（ウィノナ・ライダー）から
命令されたのだな、とすぐ分かるし、
案の定、その通り。
そう、これは、ハリウッドの内幕を、
デフォルメした映画でもあるのだ。


そんなダメダメ監督が手に入れた、
CGで作られたパーフェクトな女優・シモーヌ。


そりゃあ、パーフェクトなのは当たり前だ。
過去の大女優、
オードリー・ヘプバーンやグレース・ケリーなどの
良い所を取り入れたシモーヌは、
美人で、スタイルは完璧なうえに、
監督が考える通りの演技をしてくれて、
流す涙の量まで、CGで調整。
やる事なす事全てが、
人間が理想とする女なのだ。


シモーヌが謎めいていて、
人前に絶対姿を現さない事も、
人々の焦燥感を煽り、
人気に拍車をかける。


監督は、世間があまりにうるさいので、
彼女にテレビ中継という形で、
インタビューを受けさせる。
受け答えをするのは、
もちろん、監督自身。
知的で、出しゃばらず、たおやかなシモーヌ。
あんな女優がいたら、
私だって、きっとファンになる。


さらに、シモーヌは、
音楽ライブまでやってしまう。
その正体はホログラム。
けれど、人々は熱狂的な声援を送り、
疑う者は一人もいない。


私は途中まで、
人々が何らかのきっかけで、
シモーヌの正体に気付き、
その驚く顔が見たいと思っていたのだけれど、


段々、考えが変わっていき、
もうこのまま、
永遠にみんなに夢を見させてあげてほしいと
思うようになった。


シモーヌは、映画を愛する全ての者の憧れ。
映画を観る理由の一つに、
現実逃避、というのがあるとするなら、
夢を壊す必要なんてない、
というか、
してはいけないよね。


評価　★★★★☆

コメント 6

CGで作られたシモーヌ どんな感じなのかしら
見てみたいです
by きよたん (2018-12-13 14:23) 

きよたんさん
コメントありがとうございます。

シモーヌは、本当に理想の女でしたよ＾＾
私がシモーヌになりたいくらいです(笑)。
by 青山実花 (2018-12-13 15:37) 

「カラフルなゼリービーンズの中から、
「赤」だけを取り出している」。


・・・節子、それ裏・市長さんが、
青山実花さんに言いつけられていつもやってる事や！。

なんて不憫な裏・市長さんと全米が泣いて、
今日も応援のメール、お手紙、寄付金が後を絶ちません。
いただいた寄付金は全額、青山実花さんに
カツアゲされるのに・・・。

青山実花嬢と同じぐらい謎めいたシモーヌ。
ヤバイぜ！このまま人気を保ち続けたら、
この監督、常にCGに微妙にシワを付け足したり、
ストレスで5キロ太った感じにしてみたりと、
本業の映画よりもCG職人として、
余生を送らねばならなくなる・・・。

やはり、ある時期でスッパリ引退させるのが正解か。
原節子さんみたいに。

そして、よりパワーアップした第2のシモーヌ、
シモネターヌをワタクシが作って差し上げようではないか！。
by 裏・市長 (2018-12-14 06:31) 

裏・市長さん
コメントありがとうございます。

ちょっと、裏・市長さん、
いくら何でも酷すぎやしませんか。

裏・市長さんがそんな風に、
わたくしの事を書いているから、
世間にわたくしが、
美人なだけの、高飛車で我儘な女優という
イメージを付けてしまうのですよ。

わたくしは、裏・市長さんに、
ゼリービーンズの中から、
「赤」だけ取り出せなんて言った事は一度もありませんわ。

取り出せといつも言っているのは、「オレンジ色」だけですよ。


それから、あなたへの寄付金を
私がもらうのは当然でしょう？

あなた、この美人女優・青山実花の付き人をやってるのよ。
それだけで自慢なのよ。
たとえ無給だって文句は言えないのよ。

CGで女優を作る？
そんなのあなた、どんな美人を作ったって、
このわたくしの美しさに敵うものなんか
できるわけないじゃないの。

by 青山実花 (2018-12-14 08:16) 

うわ〜なつかしい。この映画、いいですよね〜。ちなみにアンドリュー・ニコル監督とシモーヌ役女優は、この作品がきっかけで2002年に結婚。いまだにお幸せなんですよ。
by のむら (2018-12-14 23:57) 

のむらさん
コメントありがとうございます。

はい、とても面白いし、
映画好きの人の心を上手く捉えていると思いました。

監督さん、現実でも、
シモーヌに捕まっちゃいましたか＾＾
あの魅力には抗えなかったのでしょうね＾＾
by 青山実花 (2018-12-15 08:37)