◆優しいおとな◆ [本]
「OUT」、「柔らかな頬」で衝撃を受け、
「グロテスク」で、
一生付いてゆくと誓った桐野夏生。
その桐野の最新作。
これは、近未来の日本を舞台にした小説と言っていいだろう。
十五歳のイオンは、
渋谷を根城にするストリートチルドレンだ。
渋谷の街はホームレスで溢れ、
ボランティアによる炊き出しには、
長蛇の列が出来る。
ホームレスサラリーマンというのもいるし、
地下にもぐって暮らす連中もいる。
イオンの成長物語とも言える本作だが、
正直、心が暗くなったのも事実だ。
この先の見えない不況、
日本は本当にこの本のようになってしまうのではないかという不安が
拭えない。
早く早く、
この不況から抜け出したい。
バブル期のような狂乱は嫌だが、
せめてもう少し、
全ての人々が安定して暮らせるようになってほしい。
この本のような日本には、
絶対になりませんように、と手を合わせたいような気持ち。
コメント 0