「扉を開く女」 [映画]
〔1946年/日本〕
明治時代。
とある貧しい長屋で、
お針の師匠をしている栗崎菊栄(水谷八重子)には、
悲しい過去があった。
元は、医者の娘として裕福な暮らしをしていた菊栄は、
書生の高野(月形龍之介)と恋に落ちたのだが、
身分の違いから、泣く泣く引き離されたのだ。
菊栄の長屋の隣に、
お絹(月丘夢路)という、
流しを生業をする、心優しい娘が住んでいた。
お絹には、
弁護士を目指す恋人・江口信吉がいたが、
菊栄は、
お絹が、自分と同じように、
身分違いを理由に、
2人が結婚できないのではないかと、
深く憂慮していた。
その予感は的中し、
信吉が、自分の師・内藤に、
お絹と結婚したいと話すと、
猛反対され、
両家の子女との見合いを勧められる・・・。
明治時代に、
身分の違いから、
結婚を反対される恋人同士を見て、
本気で2人の幸せを願い、
懸命になる、お針の師匠・菊栄。
菊栄が、お絹と信吉と一緒に、
鎌倉の海に遊びに行く場面が実にいい。
無邪気に浜辺で遊んでいるお絹を見ながら、
菊栄が信吉に言う。
「どうか身分の違いに負けないで、
お絹を幸せにしてやってほしい」と。
信吉も、
「もちろん、そのつもりです」と、
実に頼もしく、
観ているこちらも、
あぁ、本当にそうあってほしいと、
願わずにはいられない。
菊栄の回想シーンで、
辛かった、過去の恋人との別れが
描かれるのだけれど、
恋人役を演じていた月形龍之介さんの出番が、
ほんの数分で、
「え!?これだけ?」と、驚いた。
なんという月形龍之介の無駄遣いだろうと。
お絹と信吉の2人の結婚を許してほしいと、
菊栄が、信吉の師の家に、
直談判に行った時、
その師が、月形さんだったら面白いのに、
と思ったけれど、
そうではなくて、ガッカリ。
ところが、ガッカリするのは早かった。
師では話にならん!
と、菊栄は、今度は、
信吉の父親に会いに。
すると、その父こそが、
月形さんだったのよ。
深く愛し合った者同士が、
中年になってから再会。
そして、物語はハッピーエンドへ。
いい映画だった。
評価 ★★★★☆