「(秘)トルコ風呂」 [映画]
〔1968年/日本〕
東北の寒村で暮らす卵子(大原麗子)は、
臨時芸者として、体を売っていたが、
ある夜、客が腹上死してしまう。
警察に捕まってしまうと思い込んだ卵子は、
慌てて逃げだし、
東京にやって来る。
新宿で、ナミ(中原早苗)という女と知り合った卵子は、
そのまま、彼女のマンションに連れていかれる。
ナミは、トルコ風呂で働いており、
そこで稼いだ金を、
高利で人に貸して、儲けていた。
彼女は実は同性愛者で、卵子を一目見て、
その魅力に取りつかれたのだ。
卵子は、ナミと肉体関係を持つが、
ナミの元夫(梅宮辰夫)とも関係し・・・。
大原麗子さんの、
可愛らしい姿しか知らない私には、
この映画はちょっと驚き。
Wikipediaによると、
大原さんのご親族が書かれた本の中でも、
この映画については触れられていないそうだ。
でも、そこまで黒歴史な内容なんだろうか、とも思う。
確かにショックなシーンは多いけど、
大原さんは、とても魅力的で、
野良猫のような自由奔放さが、
彼女の雰囲気にとても合っているように思った。
出だしは暗い。
大原さんが暮らす、
東北の寒村というのが、
ちょっと驚くくらいの貧しさで、
東北弁で話す彼女の、
一人称は、「おら」。
売春を生業にする彼女が、
仕事中に客に死なれ、
東京へ逃げる・・・
・・・と、ここまで観ると、
ああ、この子は、
東京で地獄まで落ちてゆくのかなぁと、
悪い方へ想像が広がる。
けれど、次第に大原さんの本領発揮。
彼女の魅力と、
自由奔放さは、
周囲の人を取り込み、
物語は次第にサスペンス風に。
特に、ナミに、
忠犬ハチ公のように尽くしていた秘書の男が、
大原さんと組んだ辺りから、
面白さが増す。
あぁ、だからこそ、
ラスト近くで、
大原さんが手にした大金の行方が、
私には悔しくて悔しくて(笑)。
絶対に足のつかない、
誰にも取り返される事もない、
お金だったのに。
人と揉めるときは、
断崖絶壁だけは避けようと、
心から思った場面(笑)。
評価 ★★★★☆