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「燃ゆる女の肖像」 [映画]

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〔2019年/フランス〕


1770年。
女流画家のマリアンヌ(ノエミ・メルラン)は、
ある孤島の屋敷に赴いた。
屋敷で暮らす伯爵夫人から、
娘のエロイーズ(アデル・エネル)の
見合いのための肖像画を描いてほしいと依頼されたのだ。


実はエロイーズは結婚を拒んでおり、
だから、
画家としてでなく、
散歩相手としてエロイーズと親しくなり、
密かに絵を完成させてほしい、と。


肖像画が完成し、
マリアンヌは、エロイーズに自分のした事を打ち明け、
作品を見せた。
ところが、エロイーズは、
その絵が気に入らず、
モデルになるから、
描き直してほしいと願う。


期限はあと5日。
2人は、共に時間を過ごすうちに、
自然にキスを交わし、
結ばれ・・・。





250年前のフランスを舞台にした、
女性同士の愛を描いた物語。


当時のフランスが、
どんな感じだったのか、
私には知る由もないけれど、
映画を観る限り、
かなり抑圧された、
特に女性にとっては、
自分で人生の選択をできなかった、
窮屈な時代の空気が読み取れる。


そもそも、エロイーズは、
修道院に入れられていたのを、
姉が自殺したせいで、
家に呼び戻されたのだ。
長女が亡くなったせいで、
貴族に嫁ぐのはエロイーズしかいない、という、
それだけの理由で。


エロイーズは、
結婚などしたくないのだけれど、
そんな本人の意思など、
親には関係無し。


マリアンヌにしても、
彼女の父親が描いたという絵は、
実はマリアンヌの作品。
おそらく、女というだけで、
何もかもが下に見られる時代だったのだろう。
小説家なども、女性が書いたものでも、
男名前で出版されたという話も聞くし。


そんな女性2人が出会い、
愛し合うようになる。
今だったら、
「ユーたち、もう家を出て2人で暮らしちゃいなよ」
と言いたいところだが、
そんな事が許されるはずもなく。


最後の5日間、
エロイーズの母親は、
何かの用で、家を留守にしていた。


それは、何の監視もない、
束の間の自由な時間で、
滅多に笑わないエロイーズが笑顔を見せ、
マリアンヌと若い女中の3人で、
トランプなどに興じる様子は
本当に伸び伸びとしていた。


この女中の存在が良かった。
マリアンヌとエロイーズの濃密な時間だけでなく、
3人で共犯して、
秘密を分かち合う、みたいな。


ラストは切ない。


評価 ★★★☆☆

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