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「南部の唄」吹替版 [映画]

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〔1946年/アメリカ〕


白人の少年・ジョニーは、
母の実家がある、
南部の農園に移住する事になりました。
どうやら両親の仲はしっくりいっていないようで、
父は、母とジョーの送り届けると、
すぐに帰ってしまいました。


ジョニーは、淋しさのあまり、
父を追いかけるため、荷物をまとめて家を出ました。
すると、近所に住む、黒人のリーマスおじさんが、
「うさぎときつね」の物語を聞かせて、
ジョニーを諭すのでした。


以来、ジョニーは、
リーマスおじさんと大の仲良しになりました。
リーマスおじさんは、
お話しの名手で、
ジョニーはいつも、
「うさぎときつね」の物語に笑い転げます。


ところが、ある日、
ちょっとした誤解から、
リーマスおじさんは、
ジョニーの母から、
「もう、息子とは関わらないでほしい」と言われてしまい・・・。





白人の少年と、黒人の老人の
心温まる交流を描いた秀作。


とはいえ、昨日書いたように、
 ↓
https://aomikamica.blog.ss-blog.jp/2020-09-13
「内容に問題あり」という事で、
DVD化も、Blu-ray化もされておらず、
アメリカでは、1986年以降、
テレビ放送もされていないそうだ。


私も、観る前は詳しい事情を知らず、
勝手に、
白人が黒人を激しく差別する内容だと、
決めてかかっていたので、
観終わったあと、
この素晴らしい物語のどこに「問題あり」なのか、
不思議に思い、調べてみた。


昨日と同じ内容になってしまうけど、
「白人と黒人が、対等に交流している。
 歴史を考えると、それは有り得ない事だ」
というのが、駄目な理由らしい。


そ、そこ?
あー、言葉は悪いけど、
差別の問題は本当に、「面倒くさい」なぁ。
この素晴らしい物語が、
お蔵入りに近い現状だなんて、
本当に、勿体なさすぎる。


この物語に、「差別」は一つもない。
白人の少年は、黒人のおじさんが大好きだし、
近所に住む、黒人の少年とも、
めっちゃ仲良しだ。


黒人差別どころか、
どちらかというと、
白人の方が、嫌な描かれ方をしている。
近所に住む、
2人の白人少年は、
ジョニーをいじめる、
すごく嫌なクソガキ(あえて、そう言う)で。
この2人が改心する場面がなかったのが、
唯一、残念なくらい。


白人の少年の母は、
おじさんに息子との交流を禁じるけれど、
それは、おじさんが黒人だからではなく、
おじさんが語る物語が、
息子に悪影響を与えるのでは、と、
懸念したからだ。
おじさんが、白人だったとしても、
成り立つストーリー。


それに、そんな母を、
母の母が、ちゃんと諭している。
すごくいい場面だ。


いい場面といえば、
おじさんがジョニーに聞かせる、
「うさぎときつね」の物語の部分は、
アニメで描かれている。
実写とアニメの併用部分が、
まるで違和感なく、
素晴らしい作りになっていて、
これが公開されたのが、
1946年という事に、驚いてしまう。
日本が戦争直後の苦みに喘いでいた時代に、
アメリカは、こんなすごいものを作製していたんだ。


この映画を、埋もれさせるのでなく、
白人と黒人の理想の在り方として、
子供たちに見せる事はできないんだろうか。


評価 ★★★★☆

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