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「いちごの唄」 [映画]

ichigonouta.jpg
〔2019年/日本〕


冷凍食品工場で働くコウタ(古館佑太郎)は、
ある日、
中学時代、女神と崇めていたクラスメイト・あーちゃん(石橋静河)と
高円寺で偶然再会した。


七夕だったその日、
2人は再会を懐かしみ、
一緒にラーメンを食べ、
別れ際に、
来年の同じ日、同じ場所でまた会おう、と決める。


1年後、2人は約束通り、再会、
さらに、その1年後も、再会するが、
あーちゃんは、
「自分は、コウタ君が思っているような女じゃない!」と言い、
その翌年、その場所にもう現れなかった。


実は、七夕の日は、
コウタの親友・シンジが、
あーちゃんを車から守ろうとして、
死んだ日なのだ・・・。





試写会で観た。


これを書こうとして、
ダブル主演の、
古館佑太郎くんと、石橋静河さんについて、
調べてみたら、ビックリ。


古館くんは、古舘伊知郎氏の息子さんで、
石橋さんは、石橋凌さんと原田美枝子さんの娘さんなのね。


今回、この映画を観るにあたって、
その事を知っていなくて良かった、と思った。
もし知っていたら、
本人たちより、親の顔がチラついてたような気がして(笑)。


古館君は、
ちょっと挙動不審気味な、
真面目で、不器用な男の子を、


そして、石橋さんは、
テンション低めで、
過去を隠して生きている女の子を、
それぞれ、好演していたと思う。


ストーリーは、
「銀杏BOYZ」の楽曲からイメージして書かれたものだという事だけど、
ちょっと残念なのは、
私が峯田和伸の曲を聞いた時に感じる、
酸欠になりそうなくらい、胸が締め付けられる
強烈な恋愛の物語ではなかった事かなぁ。
「東京」とか「佳代」とかみたいな。


ただ、付き合っていない2人が、
来年の今日、
同じ場所で会おう、という約束をする感じは好き。
相手が本当に来るのか、
ちょっと緊張するではないか。


コウタはもう、
その日が待ち遠しくて待ち遠しくて、
正月に新しいカレンダーになった時から、
印を付けて、
一人で体をクネクネさせている(笑)。


片想いでも、
好きな人に会いたい気持ち、
それがとてもよく伝わってきて、
可愛いような、滑稽なような(笑)。


評価 ★★★☆☆

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「プロミスト・ランド」 [映画]

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〔2012年/アメリカ〕


大手企業の社員・マット・デイモンは、
農業で成り立っている田舎町・マッキンリーにやって来る。


マッキンリーには良質のシェールガスが埋蔵されており、
町民たちからその採掘権を買えれば、
会社は儲かり、
町民たちも潤うはずなのだ。


事は上手く運んでいるかに思われた。
ところが、
町の教師・フランクと、
環境活動家のダスティンという反対派が、
手強い相手として現れ、
町民の心を動かし始めた。


結局、
賛否は住民投票で決める事になるが、
ある衝撃の事実がデイモンを打ちのめす・・・。





いかにも「善人」なマット・デイモンには、
こういった役がよく似合う。


大企業、環境活動家、農業を生業とする人々、
これらがぶつかって、
最後はどうなるの?と思うけど、
まぁ、お約束通り、
環境が大切という体で終わるんだろうなぁと思いながら観る。


難しい問題だから、
本音は書きにくい。
ただ、大企業が全て悪なのか、といえば、
私は全くそんな風には思わない。


今、自分が生きる上で利用している物は、
大企業が頑張ってくれてるから、というのもあるし、
そこで働く社員だって、
会社のため、というよりは、
自分や家族が生きる為に頑張ってるだけ。


では、逆に、
環境はどうでもいいのか、といえば、
勿論絶対、そんな風には思わない。
私の手に負える問題ではないんだと思う。


一番のクライマックスのあと、
それでも、私がマット・デイモンだったら、
彼のような道は、たぶん選ばない。
それが私の生き方、としか言いようがない。


評価 ★★★☆☆

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「今日も嫌がらせ弁当」 [映画]

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〔2019年/日本〕


八丈島で暮らす、かおり(篠原涼子)は、
夫を亡くしたシングルマザー。
長女は、独立し、
次女・双葉(芳根京子)と2人暮らし。


高校になったばかりの双葉は、
反抗期真っ盛りで、
かおりと口をきこうともしない。
そこでかおりは、
可愛い物や、キャラクター物が苦手な双葉への逆襲に、
わざとキャラ弁を作る事を思い立つ。


学校で弁当箱の蓋を開けた双葉は、
赤ずきんちゃんを描いた可愛い弁当に驚き、
クラスメイトたちから注目されてしまう。


その日以来、
かおりは、毎日凝ったキャラ弁を作り続け・・・。






試写会で観た。


反抗期の娘とのバトルのために、
娘の嫌いなキャラ弁を作り続け、
その写真をブログにアップしていた母を
映画化した物語。


いやー、凄いです。
かおりさんの作ったお弁当。
お笑い芸人の顔や、
ホラー映画の主人公や、
日用品などを、
あらゆるものを、お弁当にしてしまう。


でも、映っているお弁当は、
映画のスタッフさんが時間をかけて作ったんだよね、
実際は、まさかそこまで・・・
と思うかたもおられるだろうし、
私も、ちらとそう思ったけれど、
実際の、かおりさんのブログを見てみたら、
本当に作られていたのですね。
凄いです。


娘さんが学校に行く日は、
どんなに疲れていても、
必ず早起きして、手の込んだキャラ弁作りって、
頭の下がる思い。


かおりさんは、
絵心とセンスと手先の器用さが、
天才的なんだと思う。
才能ってすごい。


ストーリーも、
母と娘のバトルを描いた面白いものだったけど、
ただ、申し訳ないけど、
双葉のかおりに対する口癖、
「ウザい」。
が、全くその通りだと思って(笑)。


いや、私は、
JKからはもうずーーーと遠い所にきてしまって、
立場的には、
篠原涼子さんの側にいなくてはいけない人間なんだろうけど、
それでも、申し訳ないけど、
やっぱり、この母は、
「ウザい」。


映画的な演出なんだろうけど、
この母親は、
「見て見ぬふり」というのができない質なようで、
何でも口にしてしまう。


でも、考えてもみて。
失恋した事を親に知られた上に、
「どんな事でも無駄にはならない」なんて
文字が書かれた弁当を作られたら、
どんだけ嫌な気持ちになるだろう。


案の定、双葉はショックで、
その弁当を床にぶちまける。
いくら親でも、それをしては駄目でしょ、って、
いくつになっても中2みたいな、
馬鹿みたいな私は、そう思ったんだけど。


評価 ★★★☆☆

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「堕落する女」 [映画]

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〔1967年/日本〕


金持ちの令嬢・澄子(桑野みゆき)は、
大学教授の婚約者・三好(田村高廣)がありながら、
周囲の猛反対を押し切り、
ピアノ講師の山田(細川俊之)の元へ走ってしまう。


ところが、少し経った頃、
澄子が実家に戻ってくる。
山田から酷い暴力を振るわれ、
浮気され、
心も体もズタズタになっている。


しかし、山田が詐欺罪で逮捕されると、
澄子は、また彼の所へ行ってしまう。
「あの人は、私がいなければ駄目なんだ」と。


1年後。
澄子は、場末のスナックで働きながら、
客を取るようになっていた。
稼ぎの殆どは、山田が持っていってしまう。
そんなある日、
澄子を探し歩いたという、三好が現れ・・・。





「だめんず・うぉ~か~」という言葉があるけれど、
桑野みゆきさん演じる澄子は、
「うぉ~か~」ではない。


ただひたすら、
たった一人の「だめんず」に、
何をされても、絶対離れない。
見捨てない。


観ているこちらは、
なんで?と不思議になるくらいだけど、
こういうのを、「共依存」というのかなぁ。


細川俊之さん演じる山田は、
「だめんず」なんて言葉が可愛く思えるほどの
クズっぷり。


何せ、澄子への暴力は日常、
そして、二人が同棲するアパートに女を連れ込み、
澄子が見ているまえで、
コトに及ぼうとするなど、
なんかもう、
クズにはクズなりに、
これ以上はしてはいけないというラインというのが
あるだろうに、
それさえ越えちゃってる。


一度、激しく怒った山田が
ベルトで澄子を打擲し、
「出ていけ!」と激しく罵り、
ドアの外に引き摺り出したシーンがあった。


私はもう、
「チャンスよ!男から出ていけと言って追い出されたのだから、
 逃げるチャンスよ!」と、体に力が入ったのだけれど、
澄子は、
「ごめんなさい、あなた、許して、許して」と、
激しく泣きながら、許しを乞う。


あぁ、もうこの二人は堕ちてゆくしかない。
永遠に這い上がる事は不可能だろうと思った場面。


評価 ★★★★☆

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「献身」 [映画]

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〔1961年/日本〕


バーを経営する瀬川朝子(叶順子)は、
妻子ある男・一條英信(川崎敬三)に献身的に尽くしてきた。
一條が、別の愛人に生ませた子供を、
朝子が引き取るまでに。


一條は、
今は没落しているが、
元は、地方の大金持ちの息子。
そのせいで、我儘で、
異様にプライドが高く、
女性に対する考え方も独特だ。


その一條が、麻薬取締法違反の容疑で、
逮捕される。
朝子は、一條に命じられるまま、
検事の柏木(宇津井健)に会いに行き、
一條の裁判について、相談する。


柏木は、朝子と何度も会ううちに、
彼女を愛し始め、
その気持ちを告白するが・・・。





タイトル通り、
叶順子さんの、
川崎敬三さんへの献身っぷりが凄い。


それは決して、
頭の弱い女が、
男の言いなりになっているのとは違う、
むしろ、頭が良く、
しっかりしている女なのに、
川崎さんに何か言われると、
なぜか従ってしまうのだ。


その川崎さんというのが、
とにかく嫌な男で。
どう嫌なのか、といっても、
ちょっと説明ができないような感じ。


冷酷で、
何かあると、不思議な理屈で
相手を言い負かす。
とても自信に溢れているようにも見えるけど、
実は、プライドが異様に高いだけで、
弱くて、
傷つく事に耐えられない、そんな感じ。


叶さんも、なんでそんな男の言いなりに? と思うけど、
とっても真面目なんでしょうね。
一度愛した男に、一生懸命。
叶さん以外の愛人は、
もっと強かで、
川崎さんに何人愛人がいても、
それほど気に掛けていない様子。
叶さんも、同じようになれれば楽なんでしょうけど、
それはもう、性分なんでしょうね。


それにしても、
別れ話をするのに、
なぜ、わざわざ、
箱根の旅館に行って、泊まったりする?


そんな所まで行かなくたって、
話しはできるだろうに。
っていうか、
別れ話なんて、
わざわざする必要があるんだろうか。
あんな勝手な男、
完全無視に徹して、
とっとと宇津井さんと一緒になっちゃえばいいのに。


評価 ★★★☆☆

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