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「自由学校」 [映画]

jiyugakkou.jpg
〔1951年/日本〕


ある朝、
小暮実千代は、パジャマのままでグズグズしている
夫・小野文春に
「早く会社に行きなさい」と叱咤した。


すると驚いた事に小野は、
1か月前に会社を辞め、
毎日外でぶらぶらしていたことを打ち明ける。
ショックを受けた小暮は、
思わず、「出ていけ!」と叫び、
小野は本当に出てゆく。


出ていった小野は、知り合ったルンペンと親しくなり、
ホームレスの仲間入りをする。
うるさい女房もいない、
自分は自由だ、天国だ。


すぐに帰ってくると思った小野が、
1週間も帰らず、
小暮は、小野の叔父の家に相談に行く。
しかし叔父夫婦は、
笑って、真剣には受け止めてくれない。


しかも、叔父の息子・大泉滉が、
小暮を気に入ってしまい、
結婚したいと言い出す。
彼には婚約者・京マチ子がいるというのに。
さらに、実業家の山村聡や、
近所の男・藤田進が小暮に言い寄り・・・。





2012年に、同じタイトルで、同じ内容の、
松竹版の映画を観た。

http://aomikamica.blog.so-net.ne.jp/2012-02-18


これは当時、
松竹と大映が競作したのだという。
上映は、共に5月の連休で、
どちらも興行成績が良かった事から、
ゴールデンウィークという言葉が生まれたと知ってビックリ。


普段、何も考えずに使っていた言葉が、
映画から派生しただなんて、
本当に世の中には、
私の知らない事がどれだけあるんだろう。


で、やっと、大映版のソフトが見つかり、
観てみた。


松竹版と、内容はほぼ同じだけど、
この大映版は、
ビデオの映像状態があまり良くなく、
ちょっと観づらい。
それは映画の出来とは関係ないけど、
そういうって、微妙に映画の評価にも繋がってしまう。


女言葉で、主人公にまとわりつく男の子の役を、
松竹版では、佐田啓二が、
大映版では、大泉滉が演じているけれど、
私は、圧倒的に佐田さんの方が好き。
その理由は意外性。


あのイケメン俳優・佐田啓二が、
「おばさまぁ、おばさまぁ」と猫なで声を出すのが
面白いのであって、
大泉さんでは、通常運転のように思える(笑)。


この、大泉さんの様子は、
りゅうちぇる君を彷彿とさせた。
女っぽいんだけど、ゲイではなく、
女が大好き、という。
歴史は繰り返す、ということか(笑)。


自由ってなんだろう、というのがテーマなんだろうけど、
本当の自由なんて、おそらくは無いのだろう。
ホームレスが自由なのかと言えば、
そういうわけではないだろうし。


この手の物語のラストって、
いつも大団円で、
夫婦は、元の鞘に収まるけれど、
たまには違う結末を見てみたいものだ。
例えば、
小暮実千代と大泉滉が、
本当に結婚してしまうとか。


評価 ★★★☆☆





この作品で、
京マチ子さんの出演映画、100本中74本を観た事となりました。


(★は観た作品)


 化粧 (1984)
★男はつらいよ 寅次郎純情詩集 (1976)
 妖婆 (1976)
 金環蝕 (1975)
★ある映画監督の生涯 溝口健二の記録 (1975)
★華麗なる一族 (1974)
★玄海遊侠伝 破れかぶれ (1970)
★千羽鶴 (1969)
 小さい逃亡者 (1966)
★沈丁花 (1966)
★他人の顔 (1966)
★甘い汗 (1964)
★現代インチキ物語 ど狸 (1964)
★女系家族 (1963)
★女の一生 (1962)
★仲よし音頭 日本一だよ (1962)
★黒蜥蜴 (1962)
★釈迦 (1961)
 小太刀を使う女 (1961)
★女の勲章 (1961)
★濡れ髪牡丹 (1961)
★婚期 (1961)
★お傳地獄 (1960)
 顔 (1960)
★足にさわった女 (1960)
 三人の顔役 (1960)
★ぼんち (1960)
★流転の王妃 (1960)
★女経 (1960)
★浮草 (1959)
★鍵 (1959)
★次郎長富士 (1959)
★夜の闘魚 (1959)
★女と海賊 (1959)
★細雪 (1959)
★あなたと私の合言葉 さようなら、今日は (1959)
★娘の冒険 (1958)
★夜の素顔 (1958)
 赤線の灯は消えず (1958)
★大阪の女 (1958)
★忠臣蔵 (1958)
★母 (1958)
★悲しみは女だけに (1958)
★有楽町で逢いましょう (1958)
★穴 (1957)
★夜の蝶 (1957)
★地獄花 (1957)
★女の肌 (1957)
★踊子 (1957)
★いとはん物語 (1957)
★スタジオはてんやわんや (1957)
★八月十五夜の茶屋 (1956)
★月形半平太 (1956)
★赤線地帯 (1956)
★虹いくたび (1956)
★新・平家物語 義仲をめぐる三人の女 (1956)
 新女性問答(1955)
★藤十郎の恋 (1955)
★楊貴妃 (1955)
★薔薇いくたびか (1955)
 春の渦巻 (1954)
 馬賊芸者 (1954)
★千姫 (1954)
★浅草の夜 (1954)
★春琴物語 (1954)
 愛染かつら (1954)
★或る女 (1954)
★地獄門 (1953)
★あに・いもうと (1953)
 黒豹 (1953)
★雨月物語 (1953)
 彼女の特ダネ (1952)
★大佛開眼 (1952)
★美女と盗賊 (1952)
★瀧の白糸 (1952)
★長崎の歌は忘れじ (1952)
★浅草紅団 (1952)
★踊る京マチ子 歌う乙羽信子 (1952)
 恋の阿蘭蛇坂(1951)
 情炎の波止場(1951)
 馬喰一代 (1951)
★源氏物語 (1951)
 牝犬 (1951)
★自由学校 (1951)
★偽れる盛装 (1951)
 美貌の海(1950)
 復活(1950)
★火の鳥(1950)
★羅生門 (1950)
★浅草の肌 (1950)
 遙かなり母の国 (1950)
★続蛇姫道中 (1950)
★蛇姫道中 (1949)
 最後に笑う男(1949)
★痴人の愛 (1949)
 三つの真珠 (1949)
★地下街の弾痕 (1949)
★花くらべ狸御殿 (1949)
 天狗倒し(1944)
 団十郎三代 (1944)


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