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「女の闘ひ」 [映画]

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〔1949年/日本〕


深窓の令嬢・由美子(高峰三枝子)が、
親が決めた結婚相手と、
新婚旅行先のホテルに着くと、
見知らぬ女が、
いきなり花を投げつけてくる。


どうやら、その女は映子(小暮実千代)という
バーの女給で、
夫と深い関係にあったらしい。
ショックのあまり由美子は、
東京に帰り、
映子に会いにゆく。


すると、由美子の後を追ってきた夫が、
車に撥ねられ死ぬ・・・。





「女の闘い」というタイトルと、
この出だしから、
高峰三枝子さんと、小暮実千代さんが、
どんだけ激しいバトルを繰り広げるのかと思っていたら、
もう全然、
2人は、美しい友情を育てておった(笑)。


この映画の、「女の闘い」とは、
「女vs女」の闘いではなく、
「女vs駄目男」の闘いというわけなのね。


高峰さんは、
夫と深い仲だった小暮さんを恨むわけでなく、
むしろ、気の毒なような気持ちで見ている。
小暮さんには、
本気で幸せになってほしいと願う。


まぁ、それも当然と言えば、当然か。
だって、高峰さんは、
別に夫を愛して一緒になったわけではなく、
親が決めたから、それに従っただけ。
しかも、高峰さんと夫の様子からして、
まだ、情交も結んでおらず、
夫に対する執着など、感じようもない。


で、その後、色々あって、
高峰さんは、
小暮さんが幸せになれるような
計らいをしてくれる。


そして、小暮さんも、
高峰さんが不幸になりかけた時、
身を挺して、
高峰さんを救ってくれる。
2人とも、すごくいい人。


それにしても、
「女三界に家無し」という、
差別的な諺があるけど、
この映画、それにピッタリ当てはまるなぁと
思いながら観ていた。


高峰さんは、夫の死後、
なんと、夫の実家で、
夫の母親と暮らしている。
夫の母親は、とてもいい人で、
高峰さんには、
いつまでも住んでいてほしいと言う。


それ自体も、ちょっと驚きだけど、
高峰さんの父親のセリフにも驚き。


「お前に家に帰ってこられても、
 いずれ長男の嫁が来たら邪魔になるし、
 できれば、今の生活を続けてくれないか」だと。


70年前。
女に対する考えは、
そんなものだったんだなぁ。


評価 ★★★☆☆

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