「大根と人参」 [映画]
〔1965年/日本〕
商事会社の総務次長・山樹東吉(笠智衆)は、
四人娘の父親で、
現在は、妻と末娘(加賀まりこ)との3人暮らし。
東吉は、同窓会の席で、
癌のため出席できなかった友人に、
病気を告知をするかしないかで、
口論になる。
また、東吉の弟が会社の金を使い込み、
100万円を貸してほしいと泣きついてくる。
そんなこんなで、
東吉は、ある日突然、
プイっと蒸発してしまい、
家族は大騒ぎ・・・。
小津安二郎監督の記念映画という事で、
小津さんが原案らしいけど、
小津映画とは、
「似て非なる」というか、
やっぱり、小津映画は小津監督でないと駄目だと再認識した映画。
私たちは(たち、ではないかもしれぬが)、
笠智衆さんに、
特別な思い入れがあるのか、
笠さんだけは、
清廉潔白でいてほしいという、
勝手な願望があって、
だから、蒸発した笠さんが、
大阪のラブホテルのような所に、
投宿する所からして、
小津監督だったら、そんな演出にするかしら、
と思ってしまう。
それから、セリフの中で、
「吉展ちゃん事件が云々」と、
実際にあった誘拐事件を
茶化すように話す場面があって、
驚く。
今だったら批難されるだろうなと。
癌の告知問題は、
確かに昔の映画やドラマって、
本人には病気を隠す場面が多かったなぁと思う。
家族は、
本人の前では気丈に振る舞って、
陰で、涙を拭く、みたいな。
ただ、それを、
家族でもない笠さんが、
「告知すべきだ!」なんて
強く言い張るのは、
どうなんでしょ。
それは、家族が決める事で、
いくら友人でも、
入り込んではいけない部分なのでは。
このような人が、今いたら、
疎まれる気がするなぁ。
評価 ★★★☆☆