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「ともしび」 [映画]

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〔2017年/フランス〕


ベルギーで暮らす老夫婦。
穏やかで平和な暮らしに思えたが、
ある日、夫が、
収監されてしまう。


残された妻・アンナ(シャーロット・ランプリング)の生活は、
今までと変わりなく思えた。


今まで通り、家政婦の仕事をし、
今まで通り、スイミングスクールに通い、
今まで通り、演劇クラスに通い・・・。


けれど、生活は少しずつ壊れていく。
息子を訪ねると、
もう二度と来ないでくれ、と言われ、
スイミングスクールの
登録は抹消され・・・。





ただただ、ひたすら、
シャーロット・ランプリングの日常を観る。


セリフは断片的で、
最小限。
そこから、物語を読み取るしかない。


夫が収監された理由も分からない。


ただ、分からないながらも、
ヒントは小出しにされる。


夫は、「冤罪だから」とか言ってるけど、
その声は小さい。
どう見ても、冤罪の人が必死になって助けを求めている様子ではない。


しかも、妻は、
「写真」を見つけてしまう。
何の写真なのかは分からないけど、
夫の事件の証拠である事に間違いなく、
妻はそれを、
家から少し離れたゴミ捨て場に、
必死の形相で捨てにいく。


もしも、事件が、
私の想像する通りの事であったとするなら、
それはどうにも許しがたく、
妻に罪はないとはいえ、
スイミングスクールで出入り禁止にされるのも
仕方ない気がする。


息子だって、
そんな罪を犯した親父は、
忌み嫌うだろうし、
自分の子供にも、絶対会わせないだろう。
母は関係ないとは分かっていても、
一緒にいたのに、何をしていたんだという思いも強いと思う。


夫の罪を受け入れているように見えた
妻だけど、
息子からの激しい拒絶の時だけ、
一人になってから号泣する。
唯一の激しい場面。


人生って分からない。
このまま、死ぬまで平和に暮らしていくんだろうな、と
思ったとしても、
一体どんな落とし穴が待ち受けているか。


評価 ★★★☆☆

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