「黒い画集 第二話 寒流」 [映画]
〔1961年/日本〕
安井銀行の課長・池部良は、
常務の平田昭彦の、半ば強引な推薦により、
池袋支店長に抜擢される。
挨拶回りで行った料亭の女将・新珠三千代から、
融資の相談を受けるうちに、
一線を越えてしまった池部。
新珠は夫に死なれ、
池部だけが頼りだ、と言う。
ところが、平田に新珠を紹介した際、
新珠の美しさに平田の目が光った。
以来、平田は、口実を作っては、
新珠に近付くようになる。
池部が地方に飛ばされる事が決まった。
全ては平田の采配だ。
池部が興信所を使って調べると、
やはり平田と新珠は出来上がっている。
このままでは終わらせない。
池部は、平田を失脚させるべく、
作戦を練るが・・・。
松本清張の短編シリーズ第二弾。
小説では、
オチに多少の無理がある気がしたけど、
映画は、その無理を通したあと、
まだその先が描かれている。
しかし、どう描かれようと、
池部良の惨めな感じは変わらない。
やっぱり世の中は弱肉強食。
力の有る者は、
どこまでも権力を振るい、
弱い者は去るしかない。
理不尽だけど、
それが現実なのかもしれない。
平田昭彦の憎たらしい事ったら。
彼は、池部良と新珠三千代と3人で、
1泊でゴルフ旅行に出かけた際、
深夜、新珠の部屋に行って、布団に入ってくる。
新珠が驚いて逃げると、
「一緒に寝るだけ」って、
うーん、気持ち悪い。
私だったら、もう二度と会いたくないと思うけど、
その後、いつの間にか
二人が出来上がっているところを見ると、
新珠も、能力のない池部より、
力を持っている平田の方に魅力を感じたという事か。
いや、利用するためかもしれないけど。
平田は、
池部が色々と小細工して、
自分を陥れようとするのを、
ことごとく阻止してくる。
池部をヤクザの宴席に呼んで、
「これ以上何かすれば痛い目に遭わせる」と
暗に匂わせる場面など、「ひゃ~」って感じ。
そのヤクザの親分も、
最後まで顔だけは笑っているから余計に怖い(笑)。
私だったら、
諦めて、もう大人しく、静かに暮らすかな。
だって痛いのは嫌だし(笑)。
評価 ★★★☆☆