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「アリー スター誕生」 [映画]

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〔2018年/アメリカ〕


世界的歌手・ジャクソン(ブラッドリー・クーパー)は、
大規模な野外ライブの帰り、
偶然入った小さなショーパブで歌う
アリー(レディ・ガガ)に魅せられる。


ジャクソンはアリーを
次の自分のライブに招待し、
半ば強引にステージで1曲歌わせる。


それがきっかけとなり、
アリーはスターへの階段を昇ってゆき、
また、ジャクソンとも深く愛し合い結婚。


アリーの人気は増すばかりであったが、
逆に、
ジャクソンの人気には陰りが見え始める。


ついにアリーは、グラミー賞新人賞を
受賞する。
しかし、そのステージに
泥酔状態で上がったジャクソンは、
最悪の失態を犯してしまう・・・。





試写会で観た。


映画「スター誕生」の42年ぶり4度目の映画化。
ブラッドリー・クーパーにとっては、初の監督作品。
https://aomikamica.blog.so-net.ne.jp/2012-09-03
https://aomikamica.blog.so-net.ne.jp/2012-09-09
https://aomikamica.blog.so-net.ne.jp/2012-09-15


基本のストーリーは、過去の3本と同じだけれど、
やはり、主人公の2人が歌手というのが、
1976年版に一番近い気がした。


とても深い作品で、
クライマックスといえるような場面が
多数ある。
どの場面が一番重要か、
感じ方は人それぞれだと思う。


私も、この粗筋の書き出しを、
アリー目線にしようか、
ジャクソンにしようかで迷った。
結局ジャクソンにしたのは、
元々、大スターだったのは彼の方だし、
彼がアリーを見つけた、というのが理由。


大スターだった夫が落ちぶれ、
拾われた妻が大スターになる。
それは、同じ経験をした事のない者には理解できない、
想像を絶する苦しみであろうが、
私がとても好きだと思うのは、
それを互いに、
「おかげ」という言葉にしていない所。


「誰のおかげで有名になれたんだ!」と、
男が荒れ狂って暴力を振るったり、
「あなた様のおかげで」と女が媚び諂ったりするような
カップルだったら、
この物語の印象は、また違ったものになったと思われる。


それどころか、ジャクソンは、
元々持っていたアリーの良さが
スターになる事で消えかかかってしまうのを、
複雑な思いで見つめている。
本来、カントリー調の曲が好きだったアリーが、
バックダンサーを付け、
派手なポップスを歌うのを見て、
「これが君のやりたかった事なのか」と、
セリフにはないけど、
彼の心の声が聞こえるような場面。


人気稼業って難しい。
どんなに実力があっても、
大衆の求めるものとの間にズレがあっては、
スターにはなれない。


それから、加齢や、飽きによる、
人気の凋落。
ある音楽番組で、ジャクソンは、
「今日は歌わず、新人のバックギターだけでお願いします」と
言われてしまう。


その時の言葉が、
「君も逆の立場の時があった」。
ああ、それがめっちゃ私の心に刺さった。
そう、そうなんだ。
人生って、そうやって、
自分の実力なりの中で、頂点を極めた日があり、
そして、追いつかれ、
枯れてゆくものなんだ。


レディ・ガガの演技も良かった。
彼女は自分の人気がどんどん上がってゆくのと反比例して、
自分を見出してくれた夫が、
酒とドラッグに溺れてゆく姿に
途方に暮れる。


決して、夫の前で
スターぶってはいないつもりだけど、
自分の存在が彼を苦しめるのか、って、
そんな女の辛い立場を、
好演している。
そして当たり前の事だけど、
劇中の歌は最高に上手い。


この映画、ポスターが何種類かあり、
どれにしようか、ものすごく迷った。
本来なら、レディ・ガガのにするのが
順当なのだろうけど、
結局、ブラッドリー・クーパーの方にした。


でも、他のも捨てがたい。
いつもは奇抜なファッションや
化粧のレディ・ガガの、
素顔な感じが素敵だし、
2人が仲睦まじく、
寄り添っている方もいい。
今回ばかりは、あと2枚、
載せておきます。

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