「人魚の眠る家」 [映画]
〔2018年/日本〕
播磨和昌(西島秀俊)と薫子(篠原涼子)は、
長女・瑞穂の小学校の受験が終わったら、
離婚するつもりでいる夫婦。
ところが、ある日、
祖母に連れられて行ったプールで、
瑞穂が溺れ、意識不明の重体になってしまう。
医師の説明では、
瑞穂は脳死状態で、
回復の見込みは、ほぼ0%。
しかし、瑞穂の死を受け入れられない薫子は、
瑞穂を自宅で介護する事を決め、
和昌の部下・星野(坂口健太郎)が開発した、
特殊な医療機器を瑞穂の体に取り付ける。
それによって、
瑞穂の容態は多少良くなったかのように見えたのだが・・・。
試写会で観た。
私のような者が、この映画の感想を書いていいものなのかと思う。
映画の中の医師の説明によると、
脳死を以て死とするのか、
心臓死を以て死とするのか、
日本には2つの考え方があり、
そのような国は、世界でも珍しいそうだ。
医師は、
「それは、2つの選択肢から選ぶことができるという意味でもあり、
悪い事ではない」みたいに言うけれど、
ただ、逆にそれが、
家族を苦しめているという気もする。
家族の死は、家族が決めろと言われているようで、
でも、そんな事、簡単に決められる人間がいるんだろうか。
主人公の薫子は、
脳死した娘の回復を信じ、
夫の部下が開発した機械を取り付ける。
それは、娘の手足や、
表情筋を動かすという装置なのだけれど、
ハッキリ書いてしまうと、それは、
死者を機械で動かしているだけで、
本人の意志で動いているのとは全然違うと思う。
いわば、操り人形のようなものだ。
それを見た人間は恐怖を覚え、
薫子は次第に、
周囲の者から孤立し、
さらに依怙地になるという悪循環。
それから、薫子は、
瑞穂の回復に夢中になるあまり、
もう一人いる息子の気持ちは蔑ろ。
息子が辛い思いをしている事に気付かない。
ある意味、この息子が一番可哀想だ。
実はこの主人公の家は、
とっても金持ち。
夫は、IT機器メーカーの
若き社長で、
会社はそれなりに儲かっているっぽい。
家は、都内では大邸宅の部類に入るだろう。
もちろん、お金はとても大事だし、
無いよりは、ある方がいいに決まってるけど、
このお話しの場合、
お金があるから、選択肢も増え、
迷いも生まれるのではないかと、
そんな気がしたりもする。
とても重く、考えさせられる。
評価 ★★★★☆