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「ラジオ・コバニ」 [映画]

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〔2016年/オランダ〕


試写会で観た。


2015年。
イスラム国に占領されていた、
シリア北部の町・コバニが解放され、
大学生のディロバンは、
ラジオ局を始める。


そんな彼女の奮闘を描いた、
ドキュメンタリー。


冒頭から、あまりのショックに驚く。


イスラム国に爆撃された建物の中から、
人々が、
パワーショベルを使って、
何かを掘り起こしている。


瓦礫でも片付けているのかと思っていたら、
なんと、彼らが探しているのは、
被害に遭われたかたの遺体で、
傷つき、泥だらけになり、
かろうじて、
「元人間」だっただろうと思われるような、
「物体」が沢山出てくる。


普段、映画の中で、
人の死体は山ほど見ているけれど、
あんなものは作り物なのだと、
この映画の生々しさを見ていると、
それがハッキリと分かる。


遺体をパワーショベルで掘り起こすなんて、と、
話を聞いただけだと、思ってしまいそうだけど、
そんな呑気な事が言えるのは、
平和な国だからであって、
手作業で一体一体掘り起こすなんて、
とてもしている状況ではない事は一目瞭然。


上映後のシンポジウムでは、
この映画を日本で上映するにあたり、
その場面の強烈さに、
気分が悪くなる人が出てくるのではないかと
懸念されたというお話があった。


このコバニという街が、
イスラム国から解放され、
ラジオ局まで開けるようになった事に
ホッとする。


シンポジウムで、
心に残ったお話しがあった。


それはシリアの女性の言葉で、


「シリアは発展途上国ではありません。
 日本とそう変わらない、文化の発達した国です。
 難民がスマホを持っている映像があると、
 ”難民のくせに”みたいな事を言われる事がありますが、
 それは違います。
 難民がスマホを持ったのではなく、
 スマホを持って普通に生活にしていた人が、難民になったのです」と。


私も、
難民の受け入れ、その他の問題に関しては、
色々思う所があるので、
あまり余計な事は言えないけれど、
何も事情を知らないくせに、
知ったような事を言ってはいけないなと、
少し反省したような気持ちになった。


評価 ★★★☆☆

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