「ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命」 [映画]

〔2017年/チェコ〕
1939年。ポーランド。
ヤン(ヨハン・ヘンデンブルグ)と
アントニーナ(ジェシカ・チャスティン)は、
ワルシャワ動物園を経営している夫婦。
2人は動物を深く愛し、
献身的に世話をしている。
しかし、ドイツがポーランドに侵攻し、
世界は戦争への道を歩み出す。
動物たちは殺され、
そして、夫妻のユダヤ人の友人たちは、
収容所へ連行されてしまう。
ヤンがアントニーナに、
「この動物園の地下にユダヤ人を匿い、
安全な場所に逃がそう」
と提案し、
アントニーナは快諾する。
しかし、そんな事がドイツ側に知られれば、
匿っている人たちはもちろんの事、
ヤンとアントニーナ、
そして、一人息子までが殺されるのは必至・・・。
試写会で観た。
実話だそうだ。
戦争中、ユダヤ人の救出に
尽力を尽くした人といえば、
オスカー・シンドラーや、
杉原千畝を思い出すけれど、
他にもそのような活動をしていた方々がいたのだなぁと、知る。
大っぴらに行動していたわけではないので、
知らないだけで、
調べれば、もっともっといるのだろう。
ヤンが、
一人でも多くのユダヤ人を収容所から助け出そうと
考え出した、その案が素晴らしい。
彼は、動物園の動物がいなくなった檻で、
「豚を飼いたい」と、
ドイツ軍に願い出る。
そして、豚の餌として、
ユダヤ人収容所から出る残飯を貰い受けたいので、
通行証が欲しい、と。
豚を飼っていれば、
食料にも困らないし、
収容所には出入り自由。
二重にも三重にも、上手い考えだと感心する。
ドイツ軍の将校・ヘックは、
アントニーナに、
何やら特別な感情を持ったらしく、
しょっちゅう、動物園にやって来る。
こやつが来る度に、
ユダヤ人たちが見つかりゃしないかと、
アントニーナは緊張し、
観ているこちらもヒヤヒヤするのだが、
ある時、こやつに秘密を気付かれそうになった瞬間、
アントニーナは、
軽い色仕掛けで、なんとか気を逸らす。
すると、それを勘違いしてしまったヘックが、
アントニーナにミョーなスキンシップを
するようになり、
それを見たヤンが嫉妬で怒り・・・
という、
男女問題を織り込むところなどは、
さすが、向こうの映画。
そういう意味では、
「動物が出てくる、親子で観られる映画です」とは、
胸を張っては言えない感じ(笑)。
ユダヤ人を連れ出すヤンと、
自宅で必死に彼らを匿うアントニーナが、
互いに、
「自分がどんなに苦労しているか」と
ちょっと言い争う場面がある。
観ているこちらは、
どちらの大変さも分かるので、
そんな事で、喧嘩しないでほしいと思ってしまう。
人は時に、
自分ばかりが苦労していると思ってしまう事があるけど、
そんな事はなく、
相手の苦労を知らないだけなんだ、
自分も気を付けようと、思わされた場面。
評価 ★★★☆☆