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「怪談おとし穴」 [映画]

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〔1968/日本〕


倉本治夫(成田三樹夫)は、
貿易会社の社長秘書。
頭脳明晰で、行動力も度胸もある彼は、
社長から、全幅の信頼を寄せられている。


社長の娘・みどりは、
そんな倉本に惚れ、
社長に、倉本をねだる。
娘を溺愛する社長は言った。
「みどりと結婚して、いずれは会社を継いでほしい」と。


巨万の富。
約束された未来。
貧乏だった自分にとって、
これは千載一遇のチャンスだ。
今まで自分を馬鹿にしてきた者を見返してやる。


しかし、倉本には秘密があった。
彼は、会社のタイピスト・悦子と、
肉体関係にあるのだ。
しかも、彼女は妊娠したと言う。


倉本とみどりの噂を聞いた悦子は逆上。
全てを社長に言い付けると言い出した。
そんな事をされては身の破滅。
倉本は悦子の首を絞め・・・。





男が出世のために、
今まで尽くしてくれた女を捨てる。
確かにそれはよくある話だ。


例えば、
モンゴメリー・クリフトとエリザベス・テーラーの
「陽のあたる場所」などは、
この映画のストーリーとほぼ同じだし、
四谷怪談だって、
そんなものだろう。


そして、どれも面白い。
なんだろう、
男の見る夢と、
女の見る夢の違いなのか。


特にこの映画、
成田三樹夫の、
冷徹で、打算的な演技が、
めっちゃ生きている。


彼は、タイピスト・悦子の体を、
思うままにしている。
どう見ても、そこに愛はない。
いわば、性欲の解消の道具と言っていい。


けれど、悦子は彼に惚れている。
もちろん、多少の計算はあろうが、
彼と結婚したいと思ってる。


しかもだ。


悦子は、成田に頼まれ、
外国人バイヤーと一夜を共にし、
成田は、そのおかげで契約が取れ、
社長から、その実力を認められたという経緯がある。
社長は言う。
「どんな手を使ったのかは分からぬが、凄い男だ」と。


成田は、悦子を殺すしかないと、
何度も頭の中でシミュレーションする。


で、その計画通りに殺される悦子。
あとはもう・・・怖い怖い。


評価 ★★★★☆

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