「ザ・サークル」 [映画]

〔2017年/アメリカ〕
フリーターのメイ(エマ・ワトソン)は、
正社員になるべく、
仕事を探していたところ、
憧れていた、
巨大SNS企業、「サークル」に採用され、
有頂天になる。
社長・ベイリー(トム・ハンクス)の
目に留まったメイは、
ある計画の実践者に抜擢される。
それは、「サークル」が開発した、
超小型カメラを24時間、身に付け、
自分の生活全てを晒す、というもの。
メイの顔と名前は、
全世界にネット配信され、
たちまち
アイドルのような存在になってゆく。
ところが、
彼女のした事で、
友達が傷つき、
ついには大事件が・・・。
試写会で観た。
ネットに、どハマリしようが、
PCやスマホとは無縁で生活しようが、
それは人の勝手。
自由にすればいい。
SNSを活用するにしても、
発信する内容については、
人それぞれ。
自分の私生活を日記風に書く人、
自分の作り出した作品を披露する人、
日々起こるニュースをピックアップし、自分なりの感想を書く人、
趣味だけに絞って、それについて綴る人、
などなど、様々で、
それはそれ、好きにすればいい。
ただ、自分の価値観を人に押し付けたり、
自分がしている事と同じ事を、
他人に強いるのは、
良くない。
これは、今のネット社会に警鐘をならす映画だ。
ある人にとっては、
何でもない事が、
人によっては大変な苦痛に感じる事がある。
自分の私生活を晒す事に、
それほど抵抗のない人もいれば、
絶対に嫌だという人もいる。
そこを理解しなければ、
どんなに口先で、
「みんな違って、みんないい」なんて言ったって、
それは、嘘くさい、上っ面だけの言葉になってしまう。
主人公のメイの友達は、
メイとは違う価値観の持ち主だ。
けれど、メイがした、
ある出来事がきっかけで、
辛い状況に陥ってゆく。
詳しくは書かないけど、
友達は追い込まれる。
観ているこちらが
「しつこい!しつこい!しつこい!もうやめてあげて!」と
叫びたくなるような。
トム・ハンクスが怖い。
善人役が多い彼が、
何か含みのある会社の社長役をすると、
本当に腹黒く見える。
暴力を振るうタイプの悪人でなく、
何かゾっとするような悪人。
メイが24時間付けているカメラのせいで、
両親の性行為中の場面が映されてしまうに至っては、
何をかいわんや。
最悪。
そのせいで、彼女は両親と連絡が取れなくなる。
当然だろう。
色々考えさせられる。
私も気を付けねば、と思わされる場面多数。
評価 ★★★☆☆