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「地の塩 山室軍平」 [映画]

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〔2017年/日本〕


岡山県の貧農に生まれた
山室軍平(森岡龍)は、
9歳の時、質屋に養子に出される。


「勉強させてくれる」約束で
実家を離れたのに、
質屋見習いをさせられる軍平は、
そこを飛び出し、上京。


キリスト教の精神に感銘を受けた軍平は、
教育者で宗教家の新島襄(辰巳拓郎)のいる
同志社大学に入るため、
京都に行く。


人々のために働く救世軍を知った軍平は、
娼妓自由廃業運動を始める・・・。





試写会で観た。


会場は、神保町の、
「救世軍本営」。
「そんな建物、神保町のどこにあるの?」と思ったら、
よく通っている場所に建つ、大きなビルだったことが分かる。


行ってみると、
建物入り口の壁に、
山室軍平さんのお名前の入ったプレートが、
埋め込まれていた。
この映画の主人公は、
私が想像している以上に、
立派な方のようだ。


そんな映画を、
キリスト教とは縁もゆかりもない、
汚れ者の私が観てもいいんだろうか。
門前払いを食わされるんじゃないだろうかと思ったけど、
普通に入れてもらえた。
神様は、どんな人間でも受け入れてくださるらしい(笑)。


映画は、といえば、
タイトルにもある、
山室軍平という、
救世軍の日本支部の代表となった方の、
生涯を描いた物語。


やっぱり、どんな道でも、
何かを成し遂げる人って、
ある程度の思い切りが必要なのだろうと思った。


この山室さんも、
キリスト教に傾倒するあまり、
金が全くないというのに、
京都の同志社大学に、
見切り発車で行ったりする。
足踏みしていてもしょうがないという事かしら。


それから、
山室さんも凄いけど、
彼の母親がまた、
地味に立派で。


母は、軍平が、
「人に迷惑を掛けない事。
 人様の役に立つ人間になる事」を願い、
一生、大好きな卵を断つ決意をする。


そのような抽象的な願いのために、
大好きなものを食べないのよ。
期間限定じゃないのよ。
一生よ。
私には無理。
食欲に負ける(笑)。


そんな立派な母に育てられたから、
立派な人間が育ったのかも。


映画のあと、


軍平を演じた森岡龍さんと、
親友役の兒玉宣勝さん、
そして監督の東條政利さんの
舞台挨拶があった。


森岡龍さんは、
お酒が大好きなのに、
山室軍平さんが酒を飲めなかったという理由で、
撮影の最中、
酒断ちしていたそうだ。
やっぱり、何かを成し遂げるためには、
何かを断たなければ駄目なのかしら(笑)。


評価 ★★★☆☆

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「奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール」 [映画]

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〔2017年/日本〕


コーロキ(妻夫木聡)は、
奥田民生を崇拝している35歳。
奥田民生みたいな、ユルいけど、カッコいい男になりたい。


彼は、ライフスタイル編集部に異動し、
先輩社員たちのオシャレな様子に気後れするも、
少しずつ職場に馴染んでゆく。


ある日、コーロキは
仕事で知り合った女・あかり(水原希子)の
あまりな魅力に圧倒され、
なんとか近付きになりたいと願う。


プライベートで会ったあかりから、
「恋人からDVを受けている」と相談されたコーロキは、
「俺なら君を悲しませるような事は絶対しない」と言い、
2人は恋人同士に。


あかりに夢中。
あかりの全てが好き。
あかりのためなら何でもする・・・。





好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き
好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き
好き好き好き好き好き好き好き好き好き好きで、


キスキスキスキスキスキスキスキスキスキス
キスキスキスキスキスキスキスキスキスキス
キスキスキスキスキスキスキスキスキスキスして、


ウキウキウキウキウキウキウキウキウキウキ
ウキウキウキウキウキウキウキウキウキウキ
ウキウキウキウキウキウキウキウキウキウキして、


イライライライライライライライライライラ
イライライライライライライライライライラ
イライライライライライライライライライラして、


イチャイチャイチャイチャイチャイチャイチャ
イチャイチャイチャイチャイチャイチャイチャ
イチャイチャイチャイチャイチャイチャイチャして、


ラブラブラブラブラブラブラブラブラブラブラブ
ラブラブラブラブラブラブラブラブラブラブラブ
ラブラブラブラブラブラブラブラブラブラブラブな日もあれば、


もんもんもんもんもんもんもんもんもんもんもん
もんもんもんもんもんもんもんもんもんもんもん
もんもんもんもんもんもんもんもんもんもんもんする日もある。


相手を振り回して、


相手に振り回されて、


天にも昇る気持ちになったかと思えば、


地獄に突き落とされたように感じたり、


それが恋、よね。


そんな映画(笑)。


評価 ★★★★☆

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「深夜の市長」 [映画]

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〔1947年/日本〕


5年前の銀行強盗事件で犯人に仕立て上げられ、
死刑になった兄の無実を
いつか晴らそうとしている、
タクシードライバー・黒市憲三(安部徹)。


一方、真犯人であるギャングのアジトでは、
ボスの惑田(三津田健)、
舎弟の三郎(三井弘次)、
顧問弁護士、
そして、「深夜の市長(月形龍之介)」と呼ばれる男4人が、
相談を重ねている。


どうやら、銀行強盗の真犯人は惑田らだ、と、
誰かが垂れ込んだらしく、
警察の捜査が入りそうなのだ。
彼らは、それを訴えたのが、
組を辞めたがっている、
チンピラ・溝呂木文吉(山内明)ではないかと疑っている。


ある日、憲三は、
犬を拾ってくれた優しい女・旗江(空あけみ)と出会い、
心の安らぎを覚える。


しかし、旗江は、
文吉の妹で・・・。





現在、シネマヴェーラ渋谷で特集されている、
「名脇役列伝II 安部徹生誕百年記念 悪い奴ら」での1本。

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冤罪で兄を死刑にされた男と、
ギャングたちとの攻防、
さらに、愛した女の兄が、
ギャングの組のチンピラであった事への
驚きと苦悩を描いた作品。


そして、何といっても、
忘れちゃいけないのが、
タイトルにもなっている、
「深夜の市長」の存在。


予備知識なく観にいったので、
私はてっきり、どこかの街の本物の市長が、
何か事件を起こす物語なのかと思っていたけど、
そうではなく、
彼は、勝手に市長を名乗っている。
なんだ、偽者かよ(笑)。


彼が、名前を聞かれた場面が笑える。
「俺の名前か?
 俺は、夜の街の市長だ。
 深夜の市長だ」だと(笑)。
そう聞かされた方もリアクションに困るであろう。


さらに、深夜の市長は、
クラブ歌手から愛を告げられた際、
「俺の事は忘れてくれ。
 俺は人を不幸にする男だ」と、
女の告白を拒絶する。
カッケー(笑)。
それでも、女は、
「私は諦めないわ」と。
相当、惚れられているらしい。


深夜の市長は、
自分より立場が下の者からは、
「市長閣下」と呼ばれている。
デーモン小暮か?(笑)


深夜の市長は、
服装もカッチョいい。
ハードボイルドの探偵みたいなコートと、
帽子をいつも着用していて、
ほぼ全編、そのスタイルで通す。


結局、彼は何者なのか。
それはラスト近くになって、分かる(笑)。


評価 ★★★☆☆

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「We Love Television?」 [映画]

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〔2017年/日本〕


かつて、多くのテレビ番組を持ち、
そのどれもが大ヒット、
一週間の視聴率の合計が、
100%を超えていた、大スター・萩本欽一。


2011年、
バラエティー番組の名物プロデューサー・土屋敏男は、
深夜、萩本に突撃し、
もう一度、
30%を超える番組を作らないか、と持ち掛ける。


女優・田中美佐子、
お笑い芸人・河本準一らを起用し、
稽古に入る。


萩本の厳しい指導に、
張り詰めたような緊張感の中、
収録の日が近づく・・・。





招待券が当たったので、観にいってきた。

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「第10回したまちコメディ映画祭 in 台東」
で上映されたうちの1本で、
萩本欽一さんに密着し、
一つのテレビ番組が作られる様を描いた
ドキュメンタリー。


招待券には、
特にゲストについては書かれていなかったので、
舞台挨拶に、萩本さんが登場された時は、
ビックリした。

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※日刊スポーツさんより


これはもう、
萩本さんのファンだとか、そういうレベルの問題でなく、
「あの」”欽ちゃん”が、
今、目の前にいる、
肉眼で彼を見ている、
その事実だけで、本当に感激で。


萩本さんは、
「自分でも、映画の中で何を話したか覚えていなくて恐ろしい。
 言っちゃいけない事を言っている気がするから、絶対観ない」
と話され、笑う。


さらには、監督の土屋敏男さんと共に、
「欽ちゃん走り」をご披露され、
会場は拍手喝采。
和やかなイベントでした。


映画は、萩本さんが一つの番組を作り上げる過程を
描いた内容なのだけれど、
ハンディカメラを渡された萩本さんが、
自分の日常を撮っている様子が可笑しい。
あのスターが、
自分で自分を撮るなんて。


稽古の場面も興味深かった。
萩本さんの番組って、
こんな風に作り上げていくのだなぁと分かる。


セリフの一つ一つにも、
萩本さんの注文やダメ出しが出て、
なるほどー、と思う。
ものの言い方一つで、
全ての印象が変わる。


作られた番組は、
「欽ちゃん!30%番組をもう一度作りましょう」
というタイトルで放送されたようだ。


結果、視聴率は8.3%だったようで、
欽ちゃんが残念がっている場面も流れたけど、
いまどき、30%を超えるテレビ番組なんて、
よほどの事がない限り難しいんじゃないのかな。
私のような者が言うのも変だけど、
8.3%だって、健闘した方なんじゃないかと思います。


評価 ★★★☆☆

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「あなた、そこにいてくれますか」 [映画]

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〔2016年/韓国〕


50代の医師のハン・スヒョン(キム・ユンソク)は、
カンボジアで医療ボランティアをした際、
お礼にと、
「願いを叶える薬」を10錠もらう。


彼の願いは、
30年前に死んだ恋人・ヨナに会いたいという事。
薬を飲んだスヒョンは、
1985年にタイムスリップ。


すると、そこには、
20代の頃のスヒョンがおり、
50代のスヒョンは自分がここに来た理由を説明する。


なんとかヨナの死を回避せねばならない。
しかし、そうなると問題が生じる。
50代のスヒョンは、
ヨナの死後、
別の女性と知り合い、結婚、
20歳の娘がいるのだ。


ヨナが死ななければ、
ヨナと結婚する事になり、
そうなると、最愛の娘は生まれてこない事になる。
どうすりゃいいんだ・・・。





試写会で観た。


韓国らしい話だと思ったけれど、
元々はフランスの小説を、
韓国で映画化したらしい。


恋人は死なせたくない。
でも、今いる娘を失うのは、
絶対に嫌だ、
という、
欲張りな願いのために、
奔走する主人公だけど、
まぁ、彼の気持ちも分からなくはない。


恋人と、肉親への愛情は、
全く別のもので、
同じ次元で語られるものではない気が、
私にはするから。
いくら恋人を愛していたとしても、
だからって、20年間慈しんで育てた自分の子供を失っていいなんて
思う人は殆どいないんじゃないだろうか。
(もちろん、1人もいないとは言わないけど)


で、どうするのか。
は、ここには書かないけど、
それなりに上手く話しは進む。
都合良すぎ、と思わなければ(笑)。


それより、
「願いを叶える薬10錠か」と、
そこに頭がいく。
私ならどうするか。
10個の願いのうちのまず1つ目は、
同じ薬を1,000錠出してくれって事かな(笑)。


カンボジアに行った時、
そんな薬の話は聞かなかったな(笑)。
数日しか滞在しない旅行者に
教えてくれるわけないか。
それとも、ボランティアをしなかったからか(笑)。


それから、もし、そのような薬が手に入ったとしても、
私は30年前の恋人なんて、
思い出すだろうか。


思い出さないな(笑)。
今の方がずっと大事。
っていうか、
30年前の人に生き返られても、
困るような気がするんだけど、違うのかな。


評価 ★★★☆☆

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