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「エクス・マキナ」 [映画]

exmachina.jpg
〔2015年/イギリス〕


検索エンジンの世界最大手・ブルーブック社の
社員・ケイレブ(ドーナル・グリーソン)は、
社内抽選で、カリスマ社長・ネイサン(オスカー・アイザック)の
別荘で一週間過ごせる権利を得る。


ネイサンは、普段はめったに人前に出ず、
ケイレブも、会うのは初めて。
別荘で対面した直後、
ネイサンはケイレブに、
「ここで見聞きした事を漏らしてはならない」という書面に
サインさせる。


ケイレブの前に、
ロボット・エヴァ(アリシア・ヴィキャンデル)が現れる。
エヴァは魅力的な女性型ロボットで、
ネイサンは、この別荘で、
人工知能の研究をしているという。


エヴァとケイレブの交流が始まる。
ケイレブはエヴァと会話するうちに、
ある感情を抱き始め・・・。





これは興味深い。
ある意味、
人間 vs 人工知能
という物語。
そして、勝負は・・・
人工知能の勝ちだと言えるんじゃないだろうか。


女型ロボット・エヴァには、
地球上のあらゆる人間から傍受した、
通信記録がインプットされているという。


つまり、彼女はロボットでありながら、
人間の微妙な感情、
気持ちの揺れや、
行動パターンまで、
全てを知っているという事になる。


逆に人間は、といえば、
自分と、
自分の周囲にいる少数の人間からしか、
人間を学んでいない。
人工知能との差は歴然であろう。


実際、エヴァは、
ケイレブをたぶらかし・・・
いや(笑)、
気持ちを掴み、
ある目的を達しようとする。


もう、とっても上手いのよ、
男の心をコントロールするのが(笑)。
可愛く、儚げで、
同情心を刺激して。


さらに、突然、
ウィッグをつけ、
ワンピースを着て、
ケイレブの前に出たりもする。


「あなたのために、美しく装ったのよ」
てなもんである。
こんなことをされて、
感激しない男はいまい(笑)。
実際、普段は半透明の体で、
髪のないエヴァが、
ウィッグや服を纏うと、
女の私でも、「うわー、可愛いー」と思う。
ケイレブが、そんな彼女に夢中になってしまうのも、
仕方ないといえば、仕方ない。


さらに、適度にネイサンの悪口を吹き込んだりして、
ケイレブを、
不安にさせ、
混乱させ、
彼の心を自分に向けるように仕向ける。
凄いテクだわ(笑)。


人間にも、
小悪魔みたいに、
どんな男も魅了してしまう女の子がいるけど、
そういう子は、人の心を察したり、
捕らえたりが長けてるんだろうなぁ。
それもある種の才能だ。
羨ましい(笑)。


映像が無機的で、本当に綺麗。
不思議な気持ちにさせられる映画。


評価 ★★★★☆

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「50年後のボクたちは」 [映画]

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〔2016年/ドイツ〕


14歳のマイクは、学校で「変わり者」を言われ、
クラス一の美少女・タチアナに片思いしながら、
声を掛ける事もできない。


そんなある日、ロシアから、
転校生・チチャチョフ(通称・チック)がやって来て、
隣同士の席になる。
チックは、マイク以上の変わり者で、
「ロシアンマフィアの息子ではないか」という噂が広がる。


タチアナは、自分の誕生日パーティに、
マイクとチック以外の、
クラスメイト全員を招待する。


タチアナへのプレゼントに、
彼女の似顔絵を用意していたマイクは、
大変なショックを受け、
家で泣いていると、
チックが、オンボロ車でやって来る。
どうやら盗んできたらしい。


パーティに乗り込んだ2人は、
タチアナに似顔絵を渡すと、
そのまま旅に出る・・・。





試写会で観た。


すごいよ、ドイツ。
すごいよ、ドイツ映画。


少年2人が、
車で旅するロードムービーなのだけれど、


・14歳が車の運転
・しかも盗んだ車
・しかも酒を飲み
・途中で出会った女の子と危うい雰囲気に


などなどの
エピソードが満載。


ヤクザが車に乗る場面でさえ、
シートベルトをしていないと苦情が入るという
今の日本では、
作るのは無理かも、と思ったりする。


しかも、この映画の原作は、
推薦図書的な扱いなのだそうだ。
このような内容の本を、
学校や親が薦めるって、
凄い事だ。


チラっと聞いた話なので、
間違っていたら申し訳ないのだけれど、
ドイツでは、
子供が成長してゆく過程で、
必要な場面なら、
不適切だと思われるシーンでも
何ら問題なく、表現できる決まりがあるとか。
映画が自由に作れる空気、
羨ましい。


実際、この映画、本当にいい。
14歳という、
人生で最も不安定で、微妙な時期に、
旅をして、
目覚めて、
日常に戻っていった時、
マイクが確実に成長しているという
過程が素晴らしい。


ラストのラストが、胸に詰まる。


書いていいんだろうか。
書きたい、
どーしても書きたい。
予告にもあるから、書いちゃう(笑)。


マイクと、チックと、
旅の途中で知り合った少女・イザの3人は、
岩場に座って語り合っている時、
約束をする。
「50年後の2066年の今日、またこの場所で会おう」と。


こういうのには、本当に弱い私。
私も誰かと約束してみたい。
「このまま、ここで会うのが最後になったとしても、
20年後に、この場所で会おう」と。
(50年後は生きていないだろうから(笑))





それから、今回の試写会で、
映画とともに、
めちゃくちゃ楽しみにしていた事がありました。


漫画家でコラムニストの、
辛酸なめ子さんのトークショーがあったのです。


私は辛酸なめ子さんの本を
殆ど読んでいると言っていいくらい、
彼女が大好きで、
なので、初めて生でそのお姿を見られるというのが、
もう嬉しくて嬉しくて。


もう一人のゲスト、映画評論家の森直人さんとのトークも面白く、
会場内は、笑いでいっぱいでした。


森さんが話された事の中で、
大きく肯いたのが、
「タチアナって、微妙じゃないですか?」
というお言葉。


私も全く同じ事を思ってた。
私は、それを、
「14歳くらいのあの時期は、女を見る目もまだ完成されてなくて、
だから、ああいう女の子が良く見えると言いたいのではないか」
と解釈したのですが、
違うのかな。

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※この日のトークショーの写真が見つからなかったので、
別の映画イベントでのツーショット写真を載せてみました。
お二人はこんな感じで、語り合っておられました。


評価 ★★★★☆

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「海底47m」 [映画]

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〔2017年/アメリカ〕


仲の良い姉妹、
リサ(マンディ・ムーア)とケイト(クレア・ホルト)が、
メキシコにバカンスにやって来た。


2人は、
現地で知り合った男たちに誘われ、
「シャークケージダイビング」をするため、
船に乗る。


沖に着き、
2人の入ったケージが、
ワイヤーで吊るされ、
海中に降ろされた。
海面から5m。
ここなら、何があってもすぐ引き上げられる。


ところが、ワイヤーが切れ、
ケージは47m下の海底に落ちてしまう。


酸素は減り、
船とは距離がありすぎ、通信できない。
急に浮上すれば、潜水病の危険があり、
何より、鮫が2人を狙っている。
絶体絶命・・・。





先日、DVDで観た、
「ロスト・バケーション」。


あれは、1人の美女を鮫が狙うって話だったけど、
こちらは、バージョンアップ(?)して、
2人に増えた。
お得感が倍(笑)。


しかも、物語のほぼ95%が海底。
もし、「ロスト・バケーション」と、こちらの、
どちらの状況を選べと
神様に言われたら、
私は「ロスト・バケーション」を選ぶ。


だって、酸素に限りがあるのよ。
苦しいのよ。
外界と連絡も取れないのよ。
気が付くと私は、
自分の太ももを手でギューッと握っていたくらい、
入り込んでいた。


この映画が
どれくらい怖いかは、
多くの方が書かれているので、
私は、ちょっと違う角度から書いてみる。


まず、若い女が、
現地の男に誘われたからと、
ノコノコ付いて行ったら駄目でしょ。
それが、こんな事態を引き起こした、
そもそもの理由だと思う。


姉のリサは、この「シャークケージダイビング」に、
乗り気じゃない。
「そういった事は、ホテルのツアーを利用するように言われてる」と
ケイトに言う。
けれどケイトは、「平気平気」と。


ホテルが用意しているツアーなら、
それなりにきちんとした船や、
ちゃんとメンテナンスされた設備があるだろう。
保険に入ったり、
万が一の事故の時も、
それなりの対応をすると思う。


それが、リサたちの入ったケージは
錆びてボロボロなのが、
素人の私の目にも分かるし、
ワイヤーだって、何回使っているのか知らないが、
すぐ切れてしまう。


見知らぬ男たちと、
船に乗るってのも、危ないなぁ。
沖に出れば、それは密室と同じ。
殺されて、海に投げ込まれたって、
鮫が食ってくれるから、
証拠も残りゃしない。


それから、もう一つ。


リサは、失恋した事を、
旅行中、ケイトに打ち明ける。
「私が退屈な女だから、彼に捨てられた」と。


で、「シャークケージダイビング」に尻込みするリサに、
ケイトは、
「鮫の写真を撮って、SNSにアップすれば、
 彼は、リサを凄い女だと見直すよ」と。
リサが、「怖い」と言う度に、
何度も言う。


一度離れた男の心が、
ネットに載せた写真くらいで戻ってくるわけないじゃん、と、
観ている私は思うんだけど、
どうしても行きたいケイトは必死だし、
今のリサにとって、「彼」という言葉には、
全ての迷いを覆すパワーがある。
「そ、そうかしら?」てなもんである。


そんなに彼の心を取り戻したいなら、
ネットなんかで
わざとらしくごちゃごちゃアプローチしないで、
もっと他に方法があるだろうに、と思った次第。
それで駄目なら諦めるしかないし。


すみません、
サスペンス映画の感想じゃないみたいな
小うるさいこと書いて(笑)。
人の生き死には、
ほんのちょっとの事で、
決まってしまうと言いたかったわけで。


評価 ★★★☆☆

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「ザ・マミー 呪われた砂漠の王女」 [映画]

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〔2017年/アメリカ〕


米軍で偵察任務をするニック(トム・クルーズ)は、しかし、
中東で遺跡から宝を盗み、横流しするプロでもある。


今回も、戦闘が続くイラクで、
偶然、地中に眠っていた古代の遺跡を発見。
それは、
無理矢理ミイラにされ、
何世紀もの間、激しい憎しみを燃やし続ける、
王女・アマネットの墓だった。


アマネットの石棺を、
イギリスに移送する途中、
事故が発生、
飛行機は墜落、
そして石棺は行方不明に。


ニックは、気付かぬうちに、
アマネットを封印を解いており、
その後、恐ろしい出来事が・・・。





昨日書いた、
85年前の映画、「ミイラ再生」を
リメイクしたという、
この、トムクルの映画。


しかし、この、「ミイラ再生」、
以前にも、リメイクされており、
それが「ハムナプトラ」だと知って驚いた。


いや、別に「ハムナプトラ」はいいのだよ。
「ハムナプトラ」の元ネタが何の映画であろうと、
別にどーでもいい。


私が軽くショックを感じたのは、
トムクル様ともあろうお方が、
「ミイラ再生」をリメイクした「ハムナプトラ」を、
さらに、リメイクだかリブートだかをした
映画に出たって事。


何もあなた、
「ハムナプトラ」をリメイクしなくたって。
(ハムナプトラハムナプトラ、うるさいな(笑))
と思っていたら、
それには理由があるようだ。


本作は、かつてユニバーサル映画が製作した
モンスターを復活させる企画、
「ダーク・ユニバース・プロジェクト」の1作目なのだそうだ。


なるほど。
それでトムクル起用というわけか。
ただ、この映画、
よくある、
砂漠での冒険物という感じで、
トムクル映画としては平凡。


それから、様々な出来事が、
光の射さない、暗い場所で起こり、
色々、見えにくい。
それが、わたし的に、ちょっと物足りなかった。
ミイラだから仕方ないけど、
もう少し、光が欲しかった。


これなら、
「ハムナプトラ」の方が面白い。
(まだ言ってる(笑))。


評価 ★★★☆☆

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「ミイラ再生」 [映画]

mirrasaisei.jpg
〔1932年/アメリカ〕


1921年。
大英博物館の遺跡調査団は、
エジプトで、
3000年前の高僧・イムホテップ(ボリス・カーロフ)の
ミイラを発掘する。


ところがイムホテップは、
息を吹き返し、
逃げ出す。


イムホテップは、
イギリス人の娘・ヘレンに、
自分がかつて愛した王女の面影を見、
ヘレンの心を操る。


ヘレンに、自分がミイラになった
経緯を説明したイムホテップは、
彼女に、共に死んでほしいと願い・・・。





現在、劇場公開中の、
トム・クルーズ主演の映画、
「ザ・マミー 呪われた砂漠の王女」。


近いうちに観に行こうと思っているのだけれど、
どうやら、トムの作品はリメイクで、
オリジナルがあるらしいと知った。


それが、この「ミイラ再生」。
そんな事を知った日には、
観ずにはいられなくて、
借りてきた。


1932年の映画なので、
とても古く、
一応、ホラーにジャンル分けされるのであろうが、
そう怖くはない。


ミイラの、一般的なイメージといえば、
包帯グルグル巻きの姿であろうが、
それは、最初の一瞬だけで、
あとは、普通の恰好をしている。


私が興味深く思ったのは、
このミイラの家には、
バスタブのようなものが、
床に埋め込まれ、
そこに水が張ってあり、
その水に映し出される、
他人の行動を、
ミイラが監視する場面。


ミイラは、
水に映った気に入らない人間の心臓を、
遠隔操作(?)で、止めたりする。


ユーミンは、名曲「魔法の鏡」で、
「魔法の鏡を持ってたら あなたの暮らし映してみたい」
と歌っているけれど、
それの呪い版(笑)。


白雪姫もそうだけど、
人の姿を映し出す水や鏡って、
人の心を惑わしたり、
原始的な恐怖を呼び起こす、
何かがあるのだろか。


それから、その水は、
3000年前の出来事も映せるらしい。
なかなか便利なバスタブじゃないか。
別に呪い殺したい人はいないけど、
それ以外に、
様々な事に活用できそう(笑)。


評価 ★★★☆☆

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