「彼女の人生は間違いじゃない」 [映画]

〔2017年/日本〕
東日本大震災から5年が経った、
福島県いわき市。
市役所の職員・みゆき(瀧内公美)は、
津波で母を失い、
父(光石研)と仮設住宅で暮らしている。
みゆきは、週末になると、
高速バスで東京に行く。
彼女は誰にも内緒で、
渋谷のデリヘルでアルバイトをしているのだ。
客がいい人間ばかりとは限らない。
危ない目に遭いそうになると、
ケータイで事務所に連絡する。
するとスタッフの三浦(高良健吾)が飛んできて、
助けてくれる。
父は、補償金を使い果たす勢いで、
パチンコ三昧の日々。
そんな父に、
みゆきの苛立ちは募るが・・・。
試写会で観た。
上映前に、
廣木隆一監督、
瀧内公美さん、
高良健吾君、
柄本時生君、
光石研さんの舞台挨拶があったのだけれど、

それよりなにより、
「うわっ」と思った出来事が。
会社の帰りに、
時間ギリギリに劇場に到着した私が、
焦ってロビーへのエスカレーターを降りてゆくと、
なんだろう、エスカレータの先に、輝くようなオーラを感じる。
そのオーラの方を見ると、
何という事か。
高良健吾君が目の前にいるではないか。
思わず、「ウソでしょ・・・」と。
舞台挨拶を前に、スタンバイしていたらしい。
以前、「笑っていいとも!」に高良君が出演した時、
タモリ氏が、
「俺、自分がこの顔だったら、有頂天になるな」と言っていたのを思い出す。
至近距離で見た高良君のカッコよさに、
今になって、タモリ氏の言葉に深く肯いてしまった(笑)。
で、映画。
真面目な地方の市役所職員の女が、
土日は東京でデリヘル嬢を・・・
と書くと、
なんだかショッキングな内容のようだけど、
それだけがテーマではない。
震災から5年が経っても、
まだ立ち直れずにいる、
市井の人々の生活と地域の様子が描かれる。
なぜ、デリヘルなのか。
そこがイマイチ私にはよく解からなかった。
月並みだけど、
八方塞の現状の打破?
でも、それなら、
特に性風俗でなくてもいいのでは。
いや、何かを変えるには、
それくらいの事をしなければ駄目なのか。
ただ、
現実から少し離れて、
違う自分になってみたい、というのは、
分からなくもない。
例えば、私が映画を観るのだって、
現実逃避という意味が多分にある。
彼女は、昔の恋人から連絡をもらい、
会いに行く。
「もう一度やり直そう」と言った彼と、
ホテルに行った彼女は、
デリヘル嬢をしていることを
打ち明ける。
元恋人は、
一瞬驚くけれど、
「それでもいい」と。
その辺りに、
このタイトルの意味があるのかもしれないな。
「彼女の人生は間違いじゃない」。
人の人生に、
正解も間違いもない。
人は、
全てを受け止め、
許し、許され、
生きていく。
評価 ★★★☆☆