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「64 ロクヨン 後編」 [映画]

64kouhen.jpg
〔2016年/日本〕


昭和64年という、
たった一週間の間に起こった、
少女誘拐殺人事件「ロクヨン」は、
犯人が捕まらないまま、
あと1年で時効を迎えようとしていた。


そんな中、
同じ市内で、
「ロクヨン」を彷彿とさせる、
誘拐事件が起こる。


市内に住む、女子高生が誘拐され、
犯人が指示する身代金の受け渡し方法が、
「ロクヨン」とソックリなのだ。


当時、「ロクヨン」の捜査に携わり、
現在は、広報部に所属する三上(佐藤浩市)は、
記者クラブに、報道協定を申し入れるが、
情報を提供しない警察に反発する記者たちからの
嵐のような抗議に遭う。


今回の事件は、
「ロクヨン」と同一犯の仕業なのか、
それとも、模倣犯か。
三上は一人勝手に、捜査車両に乗り込み・・・。





こちらのコメント欄で、
何度も、
「後編は観たのかよ!」
「早く犯人を教えろ!」
「いつまで待たせる気だ!」
などのご意見をいただいていた、この「ロクヨン」。


焦っていた所に、
ありがたくも、友人AちゃんがDVDを貸して下さり、
レンタル店で、旧作料金になるのを待たずして、
観る事ができた。
Aちゃん、本当にどうもありがとうございます。


前編は、
昭和64年に起こった、
少女誘拐殺人事件がメイン。
 ↓
http://aomikamica.blog.so-net.ne.jp/2016-04-26
後編は、
その事件と、ソックリ同じ事件が起こり、
その関連で、
「ロクヨン」の犯人が分かる、という流れ。


「ロクヨン」事件で、
娘を殺された父親が、
ある方法で、犯人を突き止めるのだけれど、
あれで犯人を、犯人だと、
断定できるんだろうか。


いや、できるのかな、うん、
きっと出来るんだろう。
だって、本当に犯人だったわけだし。
私には無理ってだけで。


それにしても、
この映画、
最近、千葉県で起きた、
女の子の誘拐事件を思い出さずにはいられなかった。


犯人が、
「まさか、そんな立場の人が」というのが、
少し似ている。
犯人探しをする時、
まず最初に除外してしまいそうな所なんか。


この人は〇〇だから大丈夫、なんて定義は、
この世には無いって事だ。


評価 ★★★☆☆

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「カフェ・ソサエティ」 [映画]

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〔2016年/アメリカ〕


1930年代のハリウッド。
映画黄金記の、この都に、
辣腕プロデューサーの叔父・フィル(スティーブ・カレル)を頼って、
ニューヨークからボビー(ジェシー・アイゼンバーグ)がやって来た。


フィルの雑用係をするようになったボビーは、
フィルの秘書で、
美しいヴェロニカ《愛称・ヴォニー》(クリステン・スチュワート)に
恋してしまう。


紆余曲折を経て、ヴォニーと結ばれたボビーだが、
ある日、衝撃の事実を知り、
失意のまま、ニューヨークに帰る。


ニューヨークで、レストラン経営を成功させたボビーは、
かつての恋人と同じ名前のヴェロニカ(ブレイク・ライブリー)と出会い、
結婚する。


ところが、そんな彼の前にヴォニーが現れ・・・。





試写会で観た。


ウディ・アレン監督。
相変わらず、冴えている。
これを書くにあたって、
そういえば、アレン監督って何歳なのだろう、と思い、
調べてみたら、
なんと81歳!


81歳で、こんな軽妙で、
オシャレで、
面白い映画って撮れるって、
どんだけ素晴らしいセンスなのかと、
驚くばかり。


私がいつか81歳になった時、
せめて今の自分くらいの感覚を
持ち続けていられるだろうか、と思う。
いや、何事も自分次第、努力次第。
頑張ろう(笑)。


この映画も、
一応、
ボビーという青年を主人公として描かれてはいるけれど、
ボビーの主観が全てではなく、
何となく、全体を俯瞰で眺めているような、
人生なんてそんなものさと、
教えられているような、
気持ちになる。


だって、
全ては一筋縄ではいかない。
恋も仕事も、上手くいっている時は楽しいけど、
それだけではないし、
いい波が来たと油断すると、
また壁にぶつかって、
順風満帆だと思っていると、
惑わされるような出来事があって・・・
の繰り返し。


そんなこんなを、
重くならず、
絶妙なタッチで描いてくれるアレン監督。
100歳まで、
映画を撮ってほしいなぁ。


時折挟まれる、
ボビーの兄のエピソードが、
物語の本筋と大きくは絡まないんだけど、
面白くてたまらなかった。


評価 ★★★★☆

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「怪物はささやく」 [映画]

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〔2016年/アメリカ〕


コナーは、
難病の母と暮らす13歳の少年。


母の病気は重い上に、
学校ではいじめに遭い、
唯一の楽しみは、
絵を描くことと、妄想だけ。


ある日、そんなコナーの所に、
墓地から怪物がやってくる。


怪物は、
「自分が3つの物語を話すから、
 お前が4つ目の物語を話せ」とコナーに迫るが・・・。





試写会で観た。


まず、映画の上映の前に、
「第55回 優秀外国映画輸入配給賞」の
授与式があった。

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なんだかよく分からないけど、
そのような凄そうな式典に、
私のような者が参加していいのか!?と思う。
普段着だし(笑)。


それに、大抵の式典って、
なんか、壇上に上がった人が、
小難しい事を長々スピーチして、退屈・・・という刷り込みがあり、
「仕方ない、試写が始まるまで、
 頑張ってやり過ごそう」というくらいの気持ちでいた。


ところが、式典は、
そんな風に考えて事を申し訳なく思うくらい、
素敵なものだった。


この、「優秀外国映画輸入配給賞」というのは、
優れた外国映画を買い付けた映画配給会社に贈られる賞で、
映画作品そのものに与えられる、
他の映画賞とは一線を画しているのだそうだ。


今年は、
最優秀賞はギャガさん(「ルーム」など)。
優秀賞はロングライドさん(「スポットライト」など)。
奨励賞はファントム・フィルムさん(「アイ・イン・ザ・スカイ」など)。
そして、特別賞はポニーキャニオンさん(「ラ・ラ・ランド」)。


各会社の皆様のスピーチを総合すると、
映画の買い付けというのは、
先見の明と、決断が何より大切で、
リスクの伴う、大変なお仕事だとの事。


買い付けた映画がヒットしたり、
アカデミー賞にでも絡んでくれれば御の字で、
ヒットしない作品の方が多いくらいだという。


それでも、このような会社で働いてくださる社員の皆様のおかげで、
私のような者が、
日々、映画を楽しみ、
そして、ブログを書くことができる。
本当にありがたい事だと、
心からお礼を言いたくなりました。


式典のあと上映されたのが、
最優秀賞を取ったギャガさん配給の、
この「怪物はささやく」。


孤独な少年と、怪物とのダークファンタジーで、
この怪物というのが、
墓場に立っている大きな木が
動き出したものというのに、
胸ときめいてしまう。


不動が宿命の木が歩きだすという物語はたまにあるけど、
どれを観ても、毎回、
うわー、と思ってしまう。
心のどこかで、
樹木というものに、
何か畏怖の念のようなものを感じているからかもしれない。


母の重い病と、いじめが辛く、
ちょっと暗くなってしまったけれど。


評価 ★★★☆☆

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「無限の住人」 [映画]

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〔2017年/日本〕


100人斬りの異名を持つ侍・万次(木村拓哉)は、
目の前で、最愛の妹を惨殺され、
生きる意味を失う。
すると、そこへ現れた謎の老婆(山本陽子)から、
体の中に「虫」を入れられる。
「虫」は、あらゆる傷口を塞いでしまう力があり、
万次は不死身となる。


50年後。
逸刀流統主・天津影久(福士蒼汰)に
両親を殺された少女・凛(杉咲花)は、
復讐を誓う。


凜は、江戸のどこかに存在するという、
不死身の男を探し回り、
やっと万次に辿り着く。
凜の姿が、
かつて殺された妹にソックリな事に驚く万次。


凛の敵討ちの手助けをすると決めた万次は、
影久を追ううちに、
壮絶な戦いに身を投じてゆく事となる・・・。





試写会で観た。


拓哉だ。
去年、正月明けから大晦日までの丸々一年間、
私を振り回し、
一喜一憂させた、
SMAPの木村拓哉だ。


拓哉の姿をスクリーンで観るのは、
「SPACE BATTLESHIP ヤマト」以来
7年ぶり。
「どこを切っても拓哉」だった、
7年前の、あの演技から、
変化はあるのか、
それとも、変っていないのか。


まぁ、私はどちらでもいい。
拓哉の演技には、
特に期待はしていない。
SMAPのメンバーとしての拓哉が好きだった。
5人揃った時が好きだった。
もう、この世にSMAPはいない。


で、映画。
中々面白かった。
拓哉がもう、
バッタバッタと人を斬りまくる。
「そ、そんなには無理じゃない?」と思うくらい斬る。
でも、違和感はなく、
むしろ、流れ出す血を楽しむ。
グロいとも思わない。


拓哉が斬られると、
その傷口に、
何やら、うじゃうじゃしたものが蠢く。
これが、謎の老婆から体に入れられたという「虫」か。
実際、体の中に虫がいると想像すると、
ゾッと背筋が寒くなるけれど、
その辺の映像は上手くできていて、
嫌悪感は湧かない。


それより、
この「虫」のおかげで不死身だというけれど、
死因って、
何も斬られた時ばかりとは限るまい。
もしも、焼死したとか、
溺れ死んだとか、
毒殺されたとかだったら、
この「虫」は役に立つのだろうか。


死ねない拓哉は、
毎日が退屈で、無為に生きている。
生きる事に飽きている。
やっぱり人は、終わりがあるからこそ、
今しか出来ない事に
一生懸命になるのでしょうね。
私は永遠の命なんていらない。


一応、時代劇の体をなしてはいるけれど、
無国籍映画といっていいだろう。
人々の髪形も、着物も、刀も、
日本であって日本でないような描かれ方。
何も考えずに楽しめる。


評価 ★★★☆☆

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「秘密 THE SECRET」 [映画]

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〔2007年/フランス〕


眼科医のベン・マリス(デイヴィッド・ドゥカヴニー)は、
妻・ハンナ(リリ・テイラー)と、
反抗期真っ只中の娘・サマンサ(オリヴィア・サールビー)との
3人家族。


ある日、ハンナの運転する車が、
事故を起こし、
助手席に乗っていたサマンサ共々、
危篤状態となってしまう。


結局、ハンナは亡くなり、
サマンサだけ生き残るが、
言っている事がおかしい。
自分は、サマンサではなく、
ハンナだと言うのだ。


最初は、
サマンサが混乱しているだけだと思ったベンだが、
2人だけしか知らない秘密を話すサマンサに、
次第に、彼女の体にハンナが乗り移ったのだと
信じるようになる。


見た目はサマンサになったハンナは、
学校に通うようになるが・・・。





東野圭吾さんの傑作小説「秘密」を
広末涼子主演で映画化したものは、
以前に観たけれど、

http://aomikamica.blog.so-net.ne.jp/2011-04-01
まさか、フランスでリメイクされているとは知らなかった。


まず、欧米の映画らしく、
夫婦がイチャイチャイチャイチャ、
思春期の子供がいても、
まるで平気でキスしたり、抱き合ったり。


もちろん、それは、
その後、起こる悲劇を、
観る者により悲しく感じさせるための
演出なのは分かってるけど。


夫婦、親子の葛藤は、
多くの方が書かれているので、
いいとして、


見た目は娘、
心は母、という女性が、
高校に通い始める、
そこでの展開が興味深かった。


母は、娘の男性関係や、
大麻を吸っている事などを知り、
最初は、大変なショックを受ける。


けれど、娘の体に慣れてゆくにつれ、
次第に遊ぶようになり、
ドラッグを経験。


彼女のセリフから察するに、
どうやら、体中にパワーやらホルモンやらがみなぎって、
発散せずにはいられないらしい。


なるほどね。
若いってそういう事なのね。
自分が高校生の頃は、
そんな事、気付きもしなかったけど、
そう言われれば、分かる気もする。


日本版ほど、心の機微は感じられないけど、
欧米版だと割り切れば、
楽しめる。


不思議なのは、
この映画が、
日本で未公開だった事。


東野さんの原作なのだから、
日本で公開しても良さそうなのに。
何か事情があったのだろうか。


評価 ★★★☆☆

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