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「LION/ライオン 25年目のただいま」 [映画]

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〔2017年/オーストラリア〕


インドで暮らす男の子・サルー(デーヴ・パテール)は、
ある日、兄と駅に行った際、
誤って、電車に乗ってしまい、
そのまま1600キロも先まで運ばれてしまう。


まだ5歳の彼は、
自分の住所を言う事もできず、
孤児として、施設に入れられるも、
子どもを欲している、
オーストラリアの夫婦の家に、
養子に出される。


養父・ジョン(デヴィッド・ウェンハム)と
養母・スー(ニコール・キッドマン)は、
サルーを、我が子のように可愛がってくれ、
また、サルーも期待に応え、
立派な青年に成長する。


しかし、
ある日、ふと思う。
実の母や兄は、どうしているのだろう、と。


サルーは、おぼろげな記憶を頼りに、
Google earthで、
5歳まで育ったインドの街を探し始めるが・・・。





試写会で観た。


実話なのだそうだ。
予告から感じていたけれど、
なんだか、殊更に、
「Google earth」という言葉が連呼されている気がする。


これはGoogleの宣伝映画なのか?
それとも、Google earthは、
使い方によっては、
こんな凄い物語の手助けになるのだという、
本当にありがたかったという気持ちで、
作られたのだろうか。


いや、どちらにしても、
私はそれを悪いとは思っているわけではない。
私だって、Googleにはかなりお世話になっている。
earthは殆ど使わないけど、
ストリートビューで、
出掛けた場所を確認したり、
昔住んでいた場所を見てみたり、
画像検索で、映画のポスターなどを探すのに、
本当に大助かりしている。


それにしても、想像を絶するわ、インド。
5歳の男の子・サルーが、
兄とはぐれて、
誤って電車に乗ってしまう、
ここまでは日本でも、無い話とは言えない。


ただ、その先が違う。
日本だったら、
電車から降りた5歳の男の子が、
一人トボトボ歩いていたら、
きっと誰かが声を掛ける気がするんだけど、
どうなんだろう。
私は子供が結構好きだから、
もし、どう見ても親が周囲にいなさそうな、
泣いている子がいたら、
放っておくなんて事は、多分できない。


それが、この映画で見るインドは、
サルーが駅の切符売り場に行っても、
大人にはじき飛ばされ、
誰も声なんか、掛けやしない。
むしろ、完全に邪魔扱いで、
犬でも追い払うように、あっちへ行け、と。


で、やっと、優しいおねーさんに拾われたと思ったら、
変な男がやって来る。
梁石日さんの小説、「闇の子供たち」を彷彿とさせる場面。
あの小説が、フィクションかノンフィクションかは分からないけど、
幼児の人身売買や、
性的搾取があるって、あながち噂ではないんだ、と、
思い知らされるような場面。
サルーは上手く逃げ出せて、良かったけど。


その後、オーストラリア人夫婦に貰われた彼は、
幸せに暮らすわけだけど、


母親役のニコール・キッドマンの、
美人女優をかなぐり捨てたような、
容貌に少し驚く。


ニコールといえば、
どちらかと言えば、
血が通っていないような、
お人形のような人というイメージだったけど、
なんというか、メリル・ストリープ化した感じで。


いや、私はそれが自然で、とても良いと思った。
どんな人だって、
年を重ねれば、
若い頃と全く同じというわけにはいかないだろう。
年齢に合わせて、
役柄も、容貌も変わってゆくのが、
本来、自然な姿だ。


「劣化」とか「老けた」なんて、
ネットのおかげで、
嫌な噂が耳に入る事も多いでしょうけど、
そんなくだらない意見は無視して、
自然で素敵な演技を見せてほしい。


それに、彼女だって、
いざパーティだ、レッドカーペットだって時は、
変わらない美しい装いで、
出てきてくれるんだろうし。


評価 ★★★☆☆

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