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「アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場」 [映画]

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〔2016年/イギリス〕


イギリス軍の諜報機関の将校・キャサリン・パウエル(ヘレン・ミレン)は
6年間探し続けたテロリストたちを、
ケニアのナイロビでやっと見つけ出す。


軍が小型ドローンを使い、
アジトの内部を撮影すると、
テロリストたちは、
爆弾を体に巻き付け、
自爆テロの準備をしているではないか。


アジトを空爆しなければ、
多数の犠牲者が出る。
パウエルは、
アメリカ軍の新人ドローンパイロットに、
ミサイル発射命令を出す。


ところが、アジトの塀の外で、
幼い少女が、パンを売り始めてしまう。
空爆を実行すれば、
少女が巻き込まれるのは必至。


少女の命を犠牲にするか否か、
関係者たちは、
その選択を迫られる・・・。





試写会で観た。


これはかなり面白い。
テロリストのアジトと、
小型ドローンに搭載されたカメラを通して、
その内部を見る軍の場面が
殆どなのだけれど、
大変な緊迫感で、観客の皆さんも、
固唾を飲んでスクリーンを見つめているのが分かる。


そのドローンというのが、
私の想像をはるかに超えていて、
まずは鳥型のもので、
アジトの周囲を撮影する。
そして極め付けが、カブトムシ型。
これが建物に入り、
内部を撮影。


空爆もドローンだ。


軍の人間は、
砂漠のホコリで汚れる事なく、
敵の返り血を浴びる事もなく、
室内にいるだけで、
敵を殺せるのが、現代の戦争。


テロリストの殺害が、
軍の任務なのは分かるけれど、
そこには必ず、罪もない民間人の犠牲者が出る。
この映画の場合は、
10歳くらいの、幼い可憐な少女。


この少女を巡り、
軍の内部は意見が分かれる。
1人の命か、
自爆テロによる、多数の命か、と。


判断を政治家に仰ごうとするも、
これが情けない。
責任のたらい回しで、
答えを出す者などいない。


この選択は、
映画の中だけでなく、
映画を観る者全てに委ねられている気がする。
あなたなら、どうするかと。


いくら全てが室内で行われているとしても、
最後にスイッチを押すのは、人間。
そこには、
迷い、躊躇い、怒り、悲しみ、罪悪感などの
感情が溢れ出る。
人を殺すのに、平常心でいられる者など、
いはしない。


試写が終わったあと、
映画評論家の森直人さんの進行役で、
軍事アナリストの小川和久さんと、
映画監督の森達也さんのトークショーが行われたのだけれど、


やはり、3人がそれぞれ、
「自分ならどうする」という事を
答えておられた。


トークショーの内容自体、とても興味深く、
私は思わず、この手のイベントで初めて、
メモを取ってしまった。


評価 ★★★★☆

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