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「古都」 [映画]

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〔2016年/日本〕


京都の老舗呉服店を営む千重子(松雪泰子)。
養女だった彼女は、
親に反抗する事もなく、
当たり前のように店を継ぎ、
自分の意思を露わにせずに生きてきた。


大学生の娘・舞(橋本愛)は、現在就活中。
千重子は舞を、
自分の知り合いの会社に入れようとしているため、
合格はほぼ決まっている。


一方、千重子の双子の妹・苗子(松雪泰子・二役)は
北山杉の里で、夫と二人暮らし。
娘の結衣(成海璃子)は、
絵画の勉強のため、
パリに留学中。


苗子は、結衣に会うため、
パリを訪れるが、
結衣が自分の絵の才能に限界を感じている事を知り・・・。





試写会で観た。


川端康成の小説「古都」の、その後、という設定らしい。
偶然の事ではあるが、
9月に山口百恵さん主演の「古都」を観たばかりなので、
ストーリーがまだ記憶に新しく、
すんなり入っていけた。
観ておいて良かった。


というのも、
映画が終わって、
お帰りになる観客の皆様の会話を聞いていると、
「寝ちゃった」とか、
「何が言いたいのか分からない」とか、
散々な感想が耳に入ってきたから。


確かに、オリジナルの「古都」を予習していかないと、
完全には理解しかねる部分があるのかもしれないし、
「なるほど、あの双子がこんな大人に・・・」という
感慨も生まれない。


これって、川端康成さんの意思とは全く関係なく、
勝手に誰かが「その後」を創作したのだろうか。
登場人物たちはケータイを使っていたから、
時代的には、タイムワープしている事になる。
川端康成もビックリしている事だろう(笑)。


京都を舞台とした、
しっとりとした話で悪くはないが、
ある場面で、
私の気持ちは急に萎えた。


それは舞に届いた、
就職試験の合否の封筒を、
千重子が勝手に開けて見ていた場面。


いくら自分が裏で手を回している就職とはいえ、
人の私信を勝手に見るとは、
川端康成の描く千重子って、
そんな女なのか?
これって、
無意識のうちに娘を支配しようとする
母親の気持ちの表れのようで、
げんなりする。


当然、舞も怒る。
こういう母親は、
娘とは、根っこの所で信頼関係が結べない気がするんだけど、
どうなんでしょ。


ラストは好き。
これから何かが始まるかも、
という予感に溢れている終わり。


評価 ★★★☆☆

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