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山岸凉子展「光-てらす-」メタモルフォーゼの世界 [美術]

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先日、友人と、
弥生美術館で開催されている
「山岸凉子展」に行ってきました。

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山岸さんの代表作といえば、
やはり「日出処の天子」。


ポスターにも、
「日出処の天子」の主人公・厩戸王子(のちの聖徳太子)が
描かれています。

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飛鳥時代。
天女と見紛うほどに美しい厩戸王子は、
人智を超えた不思議な能力を持っているが、
それ故、
実の母からも恐れられ、
深い孤独の中で生きている。


王子は、臣下・蘇我毛人を深く愛するが、
真面目な毛人は、
王子に尊敬の念を抱きながらも、
その気持ちを受け入れる事は出来ない。


毛人は、巫女の布都姫と愛し合うようになるが、
それを知った王子は、
激しい嫉妬に苛まれ・・・

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まったく、こんな粗筋しか書けない自分が
情けなくなりますが、
実際は、若い頃の聖徳太子の愛と苦悩を描いた、
傑作漫画です。


私は、この「日出処の天子」が
人生の漫画オールタイムベスト10に入るくらい大好きで、
何度読んでも、
そのストーリー構成と、
繊細な絵に引き込まれてしまいます。
(ちなみに他は、「愛と誠」と「こち亀」。
 それから、「5愛のルール」と「ふたりの童話」。
 あとの5本は決まっていない(笑))





展示されていたのは、
やはり「日出処の天子」が中心で、
さらにその中でも、
当然の事ながら、
美しい厩戸王子がメイン。


特に、
原画を壁一面に大きく引き伸ばしたものの
前に立った時は、
圧倒され、
涙ぐんでしまいました。


それは、
「賭弓の儀(のりゆみのぎ)」の際、
崇峻天皇から挑発された王子が、
群臣が固唾を飲んで見守る中、弓を射る場面。


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王子の能力を示す場面は多々ありますが、
これも最大の見せ場の一つ。
その場にいた額田部女王の
「要 要をピシッと決めるところは、
 さすが天才の名に恥じぬ」の言葉が
全てを表していると言っていい。


それからこれは、
壮絶な片思いの物語でもあります。


王子が、
焦がれて焦がれて、
心が壊れそうなほど恋する相手、蘇我毛人は
決して王子のものにはならず、
一番欲しいものが手に入らないのでは、
自分の能力など何の意味があろうかと。
なんて心の痛いお話なんだ。


なんだかすっかり「日出処の天子」の解説のように
なってしまいましたが、
展覧会は、
他にも山岸凉子さんの作品が
多数展示されていました。
私は山岸さんの漫画は、
短編集は結構読んでいるのすが、
長編は「日出処の天子」だけです。
これを機会に、色々読んでみようと思い、
早速図書館に「アラベスク」の予約を入れました。


漫画系の原画展に行ったのは、
今年に入って4度目ですが、
ブログに書いたのは「こち亀展」のみで、
「大和和紀原画展」と、
「LaLa原画展」は、
書きませんでした。
(なにせ気まぐれ、その日のノリだけで生きる女(笑))


上記の3回の原画展は、
デパートでの開催のせいか、
「ついでに」とか「とりあえず」のお客さんもおられるようで、
大変に混んでいたのですが、
この「山岸凉子展」は、
わざわざ行かなけばならない美術館のせいか、
人も少なく、ゆっくりとした気持ちで
展示物を観る事ができ、
満たされた思いがいたしました。


山岸さんのファンの方なら、
満足できる内容だと思います。

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