「花ひらく娘たち」 [映画]
〔1969年/日本〕
民子(吉永小百合)は年頃だが、
地味で奥手、
自宅で和文タイプを打つ内職をしている。
民子の妹・加奈子(和泉雅子)は、
正反対のタイプ。
活発でボーイフレンドが沢山。
彼女たちの2人の弟(沖雅也・松原ノボル)は、
民子の結婚相手を探してやろうと、
それぞれのガールフレンドの兄を
家に招待する。
やって来た塚本一雄(浜田光夫)と、
矢口忠吉(杉良太郎)の
どちらを選ぶか、
民子は迷うが、
一雄の父が危篤になり、
勢いで彼との結婚を決める。
ところが、一雄は、
母に男性が出来たことにショックを受け、
毎晩、飲みつぶれるようになってしまい・・・。
沖雅也ブームが到来して以来、
何本かの映画を観てきたけれど、
全て自宅鑑賞だった。
それが今回、名画座に、
この「花ひらく娘たち」がかかったので、
嬉しくて出掛けていった。
最高です、これ。
まず、沖さんのデビュー2作目という事で、
「ある少女の告白 純潔」と同様、
めちゃくちゃ可愛い。
さらに、
彼のガールフレンドを演じているのが、
川口浩様の実妹の川口晶さんじゃないの!
嬉しくて、可笑しくて、
ニコニコが止まらない。
そんな見方をしているのは、
世界中で私一人だろうなぁと思う(笑)。
お話も、前半は笑いが止まらなくて困った。
浜田光夫さんと杉良太郎さんが、
吉永さんの家に行くのに、
張り合うように同じバスに乗ったり、
吉永さんは、
地味で引っ込み思案という設定なのに、
浜田さんをスクーターの後ろに乗せて走ったり、
和泉雅子さんのトンデモ発言で、
吉永さんがドン引きしたり、
こうして書いても、全然伝わらないだろうけど、
本当に可笑しいのよ、それらのやり取りが(笑)。
ところが後半、
話はシリアスになる。
浜田光夫のダメ男っぷりが顕著になって、
吉永さんは苦しむことに。
いい年した男が、
母親に恋人ができたくらいで、
酒に溺れるなんて、
「しっかりしろ!」と、
背中の一つも叩きたくなる。
そして、悩む吉永さんの、
心の隙間に、
ちょっと入り込んでくるのが、
渡哲也さん。
彼がもう、カッコ良すぎで。
部屋を暗くして、
レコードをかけて、
吉永さんを抱きしめて、
「あんな男、やめちまえ」だと。
「はい」と即答してしまいそうな、
男気ある態度。
「前科・仮釈放」のスピンオフでも
観ているような気持ちになる。
彼が流れ者のチンピラじゃなかったらなぁ・・・。
全体的にとってもいいんだけど、
吉永さんのラストのエピソードが、
わたし的に不必要な気がして、残念だった。
渡さんとあんな事があって、
その帰りに、泥酔した浜田さんと
そんな事になるかしら。
(って、観ていない方には、何のことだかさっぱり分からないでしょうけど)
まぁ、いいや。
とにかく面白かった。
考えてみると、
沖さんの映画を劇場で観たのは初めてで、
それもテンションが上がった理由の一つだったのかも。
評価 ★★★★☆