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「男の世界」 [映画]

otokonosekai.jpg
〔1971年/日本〕


5年前、
ある組織のボス・白石(内田良平)に
恋人・夕子を殺された紺野(石原裕次郎)。
彼は日本を飛び出し、世界を放浪していたが、
滞在先のカナダから帰国する。


それはあたかも、
もうすぐ出所する白石に合わせたかのようなタイミングで、
友人たちも、
そして、刑事・茂木(宍戸錠)も、
紺野の言動に注意を払う。


そんな中、紺野は、
ある若いカップル・修(沖雅也)と伸子(鳥居恵子)と
知り合い、
何かと面倒を見るようになる。
この2人に、
昔の自分と夕子の思い出を重ね合わせるように。


紺野は、
昔、自分が経営していたクラブを引き継いでくれた
阿川(大滝秀治)に感謝する。
しかし、阿川には何か不審な噂があるらしい。


白石が出所してきた。
紺野はどうするのか・・・。





石原裕次郎さんの、
ダイニチ映配最後の映画との事だ。


ダイニチ映配とは、
大映と日活が一緒になった会社とのこと。


このころはもう、
テレビの普及で映画が斜陽となって、
大きな映画会社同士が合併する事でしか
生き延びる事ができなかったのだろうと
想像する。


この映画の裕次郎さんは、
少し太り気味な感じもするけど、
それでも、カッコ良さは健在。


というより、
裕次郎さんをいかにカッコ良く撮るかに
重きが置かれている感じで、
裏社会の物語とはいえ、
ハードな雰囲気は、
イマイチ伝わってこない。


そんな裕次郎さんが、
なにくれとなく面倒をみるのが、
チンピラがかった沖雅也さん。


沖雅也ブームのせいで、
思い込みもあるんだろうけど、
彼が出てくると、
なんだか画面が明るくなるような気がする。
こんなに華のある人だったとは。
返す返すも、惜しい方を亡くしたものだ。


裕次郎さんと沖さんは、
その後、
「太陽にほえろ」で上司と部下の関係になるのよね。
そう考えると、
この映画での共演は、
二人が出会った作品として、
感慨深い。


裕次郎さんが昔の恋人・夕子を思い出す
回想シーンがあるのだけれど、
顔が映らず、
後ろ姿だけで、
裕次郎さんがいかに彼女を愛していたかを
表現してある。


私はそれを観て、
観光地などによくある、
顔の部分をくり抜いて、記念撮影を撮る、
あの看板を思い出した(笑)。
「裕次郎ファンの皆さん、
 この女性の部分は、どうかあなたご自身の姿をあてはめて、
 裕次郎の恋人になった気分でお楽しみ下さい」
みたいな(笑)。


評価 ★★★☆☆

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「ピーマン80」 [映画]

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〔1979年/日本〕


三流大学に通う新井康弘は、
バイトをしても失敗ばかりで、
クビの連続。


ある日、ラーメンの出前のバイトで、
豪華なマンションに行くと、
その部屋を荒らしている泥棒に遭遇、
撃退する。


部屋の住人・谷隼人に感謝され、
そのまま谷の部屋に居候を決め込んだ新井。


数日後、
新井は谷から、
あるデパートの売上金を盗まないかと誘われ、
話に乗る。


綿密な計画を練り、
ついにデパートに忍び込んだ2人は・・・。





一体この映画は何?(笑)


内容は殆ど無いに等しく、
ほぼ全編、おふざけに終始している。
誰かが誰かをひたすら追いかける場面が多く、
その途中で小ネタが挟まれる。


ただ、出演陣が異様に豪華で、
しかも、殆どの方がほんの数秒から数分の出演。
(全員の名前を書こうかと思ったけど、
多すぎて大変なのでやめときます(笑)。)
セリフの無いかたも沢山いる。
「何か喋らせろ」なーんていう人はいなかったのかしら(笑)。


それから、
80年前後にTBSで放送されていた、
人気番組の出演者の皆さん
(例えば、「クイズダービー」の
はらたいらさんや篠沢秀夫さんなど)が出ているなど、
その頃のテレビ界の様子が伺えるという、
貴重な記録映画のような側面もある気がする。


もっと笑えるのは、
「明日の刑事」というテレビドラマが、
そのまま映画の中で使われている所。
志穂美悦子さんや田中健さんなどは、
この「明日の刑事」の中のメンバーとして、
「その他大勢」みたいな扱いだった。
なんて贅沢な。


なぜこんな映画を作る事ができたのかと思って
調べたら、
TBSの敏腕プロデューサーさんが
初めて監督をした映画だかららしい。


主演に新井康弘を据えたのが、
雰囲気を良くしている一因。


彼のユルい雰囲気や、
可愛い顔してるとは思うけど、
イケメンというほどではないルックス、
お調子者な感じが、
くだらない小ネタを演じるのに
丁度良くて。


お休みの日に、
ユルーく観られて良かった(笑)。


評価 ★★★☆☆

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苦しまなかったメンバーはいない。 [できごと]

自分に来た郵便物などを
やたらとネットで公開するのは
良くないとは分かっているけれど、

smapkaihou.JPG


昨日届いた。


タイムラグのせいで、
内容は明るい。
今回の結論を示唆するような言葉は
一つもない。


「かいほう」と打ったら、「解放」と変換された。

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「後妻業の女」 [映画]

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〔2016年/日本〕


結婚相談所の婚活パーティに出席しては、
金持ちで、
年寄りで、
持病持ちの男に目を付けては、
その後妻に収まり、
財産を自分のものにしてしまう武内小夜子(大竹しのぶ)。


現在の内縁の夫・中瀬耕造(津川雅彦)が死に、
彼の全財産は自分のものだと宣言した小夜子だが、
耕造の2人の娘・朋美(尾野真千子)と尚子(長谷川京子)は
当然納得しない。
気の強い朋美が調査すると、
小夜子は「後妻業」というプロで、
過去に、何度も結婚し、
夫たちは全員、不審な死を遂げていることが分かる。


さらに、小夜子の背後には、
結婚相談所の所長・柏木(豊川悦司)がおり、
2人は共謀しているようだ。


朋美は、裏社会の探偵・本多(永瀬正敏)と共に、
小夜子と柏木の
本格的な調査を開始する。


そんな中、小夜子は
不動産王の舟山(笑福亭鶴瓶)を
次のターゲットに見据えるが・・・。





試写会で観た。


本来なら
重大犯罪を犯している、主人公の小夜子と、
結婚相談所の所長・柏木なんだけど、
2人のコミカルな演技のおかげで、
笑いに変わってしまっている。


2人のしている事が完全に暴かれたら、
死刑は免れないというくらい
ひどい話だけど、
2人があまりに簡単に「事を」進めるので、
観ているこちらも、
ついペースに巻き込まれてしまう(笑)。


まぁ、それもこれも、
ターゲットになる老人たちが、
「金を持っている」というのが、狙われてしまう理由で。


金は、無いよりは有った方が、
絶対にいいのは当たり前だけど、
お金持ちは気を付けないとね、
変な女が近付いてきたら(笑)。
(いや、女だけでなく、
お婆さんに男が近付いてきた時も、要注意かも)


大竹しのぶが相変わらずの怪演。
特別美人というわけではないのに、
老人たちの、心の隙間に入り込む、
魅力的な(フリの上手い)女という役が
めっちゃ上手い。


たまに、こういった事件をニュースで見るけど、
遺族の立場に立つと、
大変な恐怖だろうな、と思う。


父親が死に、
葬儀の相談をしていると、
今まで会った事もない女がいきなり現れて、
「私が喪主です」って。
 

遺族にしたら、「あんた誰?」状態だけど、
女はそんな事はお構いなし。
人の何が怖いって、
ズカズカ他人の私生活に入り込んで、
当たり前かのように仕切ろうとする人ってかなり怖いと、
最近、強く思う出来事があったので、
余計に恐怖を感じる。


その勢いで最後まで押されて、
財産を全部取られてしまう遺族なんだけど、
実はみんな、
そんな事になるまで、
気付かなかったという、
親を放置していた罪悪感があるのも事実で。


これからの高齢化社会、
考えなくてはならない問題かも。


評価 ★★★☆☆

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「颱風とざくろ」 [映画]

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〔1967年/日本〕


女子大生・桑野英子(星由里子)が所属する
テニスサークルのコーチに、
坂本一雄(中山仁)が就任した。
女の子たちは、ハンサムでスマートな一雄が気になって仕方がない。


英子と一雄はデートするようになり、
いい雰囲気になるが、
ある日、一雄は、
友人たちと雪山登山に行き、
帰らぬ人となる。


英子は、雪山に行く前の一雄と、
深い関係にならなかったことを激しく後悔し、
また、一雄も、
雪山で記した日記に、
同様の事を書いていた。


数年後、
大学を卒業し、
テレビ局に就職した英子は、
見合いなどをするが、
どうしても結婚する気になれない。


そんなある日、
英子は、一雄の弟・二郎(黒沢年雄)と再会する。
一雄とは違う、
ワイルドな魅力の二郎に、
次第に惹かれてゆくが・・・。





ラピュタ阿佐ヶ谷での、
この映画の紹介文に、
「若い女性の性の目覚めを描いた云々」と書かれているけど、


前半がどうにも気持ち悪く、
私の感覚に合わない。


女子大生たちが、
テニサーの新任コーチ・中山仁をからかうつもりで、
シャワールームで一緒にシャワーを浴びないかと誘う。
中山は一瞬ためらうけど、
結局、
堂々とシャワーを浴び始め、
女子たちは、逆にドギマギと・・・。


観ているこちらにしたら、
ドギマギするくらい男に慣れていないのなら、
最初からそんな風に挑発するな、思う。
しかも、その誘い方も、
なんでそんなにしつこいの?と言いたいくらい、
ウザい。
中山仁を与し易いと相手と見込んで、
軽んじているとしか思えない。


その後、中山は、
雪山で亡くなるわけだけど、
中山が残した登山日記を、
ビリビリに破いた星由里子は、
なんと、ご飯にそれをかけ、
お茶漬けにして食べる。


ないわー、
私にはない感覚だわー。
何故そんな事を。
一生、大切に、
誰の目にも触れない場所に保管するか、
もしくは焼き捨てる。
それ以外の選択肢は、私の中にはなかった。
食べるて(笑)。


星由里子がヌードになる場面があって超ビックリ。
それも、殆ど意味のない場面で。
60年代の映画で、
人気アイドル女優がヌードになるって、
殆ど見た事なかったから、
かなりのショック。
彼女はどんな気持ちで、
この撮影に臨んだのだろう。


そんなこんなで、
前半は気持ち悪かったけど、
後半は盛り返す。


中山仁の死後、
相手役が黒沢年雄になったのが
良かったのかもしれない(笑)。


評価 ★★★☆☆

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