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「女の座」 [映画]

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〔1962年/日本〕


石川家の主・金次郎(笠智衆)が倒れたと聞き、
長女の松代(三益愛子)が慌てて実家にやって来るが、
病状は大したことはなさそうだ。


金次郎の後妻・あき(杉村春子)と、
死んだ長男の嫁・芳子(高峰秀子)が石川家の家事を取り仕切り、
次女・梅子(草笛光子)、
四女・夏子(司葉子)、
五女・雪子(星由里子)がまだ結婚せず家にいる。


近所でラーメン屋を営む次男の次郎(小林桂樹)は、
金次郎の病状に安心して家に帰るが、
電報を受け取った、九州に嫁に行った三女の路子(淡路恵子)が
夫・正明(三橋達也)を伴って帰ってくる。


路子と正明は、
その後、1ヶ月も石川家に滞在して、九州に帰ろうとしない。
生活力のない正明が現在無職なのを、
全員がなんとなく感じている。


そんなこんなの所へ、
あきが前の結婚で生んだ息子・甲(宝田明)が
やって来る。
甲のイケメンぶりに、
独身主義者を標榜していた梅子が惚れてしまい、
自分からプロポーズするのだが・・・。





110分の映画だというのに、
3時間くらいに感じられた。
いや、飽きたというのではなく、
その逆で、
登場人物のあまりの豪華さと、
内容の毒々しさに当てられっぱなしだったから。


笠智衆と杉村春子夫妻に、
三益愛子、草笛光子、司葉子、淡路恵子、星由里子の姉妹って、
そんな濃い家族ある?(笑)
一応、主役は高峰秀子さんなんだけど、
これらの面々に気圧されて、
ちょっと影が薄いわ(笑)。


さらに、
小林桂樹、三橋達也、宝田明、
加東大介、夏木陽介、
丹阿弥谷津子、団令子などなど、
脇を演じるのが
これまた、そうそうたる面子で、
胃もたれしそう(笑)。


このメンバーだけで疲れそうだというのに、
その上に、各人のエピソードがてんこ盛り、
頭の中は大混乱。
そのエピソードの一つ一つに毒気があって、
人は結局、自分の事しか考えていないんだなぁと
思う部分が多い。
小津安二郎監督の「東京物語」を
何倍も意地悪にした感じ。


これだけの面子の中で、
私は特に、
草笛光子さんのキャラに興味が湧いたなぁ。


誰もが結婚して当然だった時代、
30歳を過ぎて独身の草笛さんは、
偏屈で、妹たちからも、何となくウザがられている。


そんな彼女が生まれて初めて恋をした相手が、
伊達男の宝田明。


けれど、この宝田さんが、
実はとんでもない食わせ者で、
その正体に気付くのが、
杉村さんと、高峰さん。


でも、恋に夢中の草笛さんは、
高峰さんが自分たちの邪魔をしていると思い込み、
彼女に平手打ちを。
しかし、高峰さんはされるがままで黙ってる・・・。
うーん。。。昔の女って奥ゆかしいのねぇ。
私だったら、宝田さんが実は最悪の男だってことを、
その場で暴露して、
殴り返すけど。


あと、イライラするのは三橋達也。
こやつは本当に図々しい。
無職なのを隠して、
妻の実家にやって来て、
平気な顔をして暮らしている。
現実にも、こういう人っていそう。
周囲の迷惑など、
全くのお構いなしって人。


評価 ★★★★☆

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