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◆「柔らかな頬」と「木下闇」◆ [本]


柔らかな頬

柔らかな頬

  • 作者: 桐野 夏生
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1999/04
  • メディア: 単行本


押入れのちよ

押入れのちよ

  • 作者: 荻原 浩
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2006/05/19
  • メディア: 単行本


先日、
映画、「虹蛇と眠る女」のレビューで、
http://aomikamica.blog.so-net.ne.jp/2016-03-21
「神隠し」の事を書いたけれど、
「神隠し」と聞いて、
私がまず最初に頭に浮かぶのが、
桐野夏生さんの小説、「柔らかな頬」。


ある日、旅行先の山荘で、
主人公の幼い娘が忽然といなくなる。
懸命な捜索も空しく、
娘は見つからない・・・というストーリー。


直木賞を取ったこの小説は大変に面白く、
夢中になって読んだものだが、
有名な事なのでネタばれしてしまうと、
結局、ラストまで犯人は分からない。


桐野さんは犯人を書いたのだけれど、
編集者が、「そこは明確にしないほうが」と進言したと
何かで読んだ事がある。
それが本当だとしたら、
まったく余計な事をしてくれたものだよ(笑)。
推理は読み手に任せるって、
任されても困る。
こちらは真実が知りたいというのに・・・。


・・・それから数年後。


萩原浩さんの短編集、「押入れのちよ」を読んでいた私は、
そこに収録されている一編、「木下闇」を読んでいるうちに
胸が高鳴り出した。
幼い少女が、
片田舎の母の実家でかくれんぼをしているうち、
忽然といなくなる。
そして、彼女の姉が15年後に、
事件以来のその家を訪れる、という物語。


これは・・・「柔らかな頬」に似ている。
もちろん完全に同じではないけれど、
シチュエーションがなんとなく似ている。


そしてこちらには、
犯人と、
動機と、
遺体の隠し場所が、
明確に記されてあった。


「柔らかな頬」で、ずっと消化不良気味だった、
私のモヤモヤが一気に解決したような気持ちになった。
そっか、少女はそんな所に隠されていたのか、
それでは誰にも分かるまい。
見つかって良かった、
犯人が分かってホッとした・・・
・・・って、この2冊に、
何ら関連がないことは分かっては
いるのだけれど。


荻原さんが、
「柔らかな頬」を意識して、
この短編を書かれたのか、
それとも偶然なのかは分からない。
ただ私は、
荻原さんに感謝したい気持ちでいっぱい。
「解決してくださって、ありがとうございます」と。


「柔らかな頬」を読んで以来、
ずっとモヤモヤされている方、
そして、これから読もうと思っている方、
もしお時間があるなら、
続けて、この「木下闇」を読まれるのも
一興ではないかと思います。

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