SSブログ

「情無用の罠」 [映画]

nasakemuyounowana.jpg
〔1961年/日本〕


三郎(佐藤允)は、
ヤクザ者で前科者だった過去から足を洗い、
今は、土建会社の森島(平田昭彦)の下、
トラック運転手として、真面目に働いている。


三郎には、本気で惚れている女がいた。
彼女とはもう何度か会っているが、
連絡をくれるのは彼女の方からだけ、
名前は「橋本」という苗字しか知らない。


そんなある日、
工事現場で、若い女が殺される。
女のコートの内側には、「橋本」と刺繍されており、
そばに、トラックのミニカーが落ちていた。
それは三郎が、「橋本」にプレゼントしたものだ。


三郎は警察に連行され、
遺体を見せられる。
しかし、それは、三郎の惚れている「橋本」ではなかった。


「このままでは殺人犯にされてしまう」。
証拠不十分で釈放された三郎は、
事件の夜、
ホテルで一緒に過ごしていた「橋本」に
自分のアリバイを証明してもらうため、
「橋本」を紹介してくれたバーテン・木村を訪ねるが・・・。





主演の佐藤允さんが
暴れん坊っぷりを発揮する本作。


ものすごく荒削りで、
力強くて、
土砂などを運ぶトラックの運転手という役が
ぴったりハマっている。


そして、佐藤さんを上回る演技で魅了するのが、
「橋本」役の、水野久美さん。


謎の女・水野さんは、
佐藤さんを夢中にさせているけれど、
実は家に帰れば、
寝たきりの夫がいて、
そのためにコールガールをしている。


この夫ってのが、とっても優しくて、
「こんな自分とは別れてほしい」と水野さんに言う。
そんな風に言われたら、
かえって別れられないないじゃないか。
水野さんは、佐藤さんを好きになり始めているけれど、
夫を捨てる事もできない、
哀しい女を好演。


佐藤さんと刑事が、
工事現場の砂利の上で対峙するとき、
誰かが、あるスイッチを入れる。
すると、砂利がどんどん沈んでゆくのだけれど、
その様子は完全に蟻地獄。


刑事はどんどん砂利の中に沈んでゆき、
必死で助けようとする佐藤さんも危険な状態に。
見ているだけで恐ろしい。
色々な恐怖があるけれど、
蟻地獄に落ちるというのも、
恐怖のランキングの上位に入るのではなかろうか。


田中邦衛さんが悪役で出てくるのだけれど、
彼がどんなに悪ぶっても、
なんだかコメディにしか見えないのは、
長年培ってきた
現在のイメージのせいかもしれない(笑)。


評価 ★★★☆☆

nice!(66)  コメント(8)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画