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「プレイス・イン・ザ・ハート」 [映画]

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〔1984年/アメリカ〕


1930年代のテキサス州。
保安官の夫と、可愛い2人の子供と暮らす
平凡な主婦・エドナ(サリー・フィールド)。
ところが、ある朝突然、夫は帰らぬ人となる。
酔った男が悪気なく撃った銃が腹に当たったのだ。


葬儀が終わると、早速銀行がやって来た。
夫が買った土地や家は、まだまだ借金が残っていると言う。
家事と子供の世話以外、
全てを夫に頼りきりだったエドナは途方に暮れる。


そんな時、見知らぬ黒人・モーゼス(ダニー・グローヴァー)が、
何か仕事はないかと訪ねてきた。
一度は断ったエドナだが、
綿花に詳しいモーゼスの力を借り、
なんとか生きていこうと決意する。


また、銀行が、
「下宿人を置いて、部屋代を取れ」と、
盲目の青年・ウィル(ジョン・マルコヴィッチ)を連れてくる。


エドナと、子供たち、
モーゼスとウィル。
彼らは共に暮らす中で、
絆を深めてゆくが・・・。





「こんな映画、面白いのかな、地味そうだし。
なんでこんなに評判がいいんだろう」
と思いながら観始めたけれど、
これがもう素晴らしくて、
もっとずっとこのお話が続いてほしい、と、
終るのが惜しいような気持ちになった。


やっぱり映画は観ず嫌いしては駄目だ。
どんな作品でも、とりあえず観る。
そして、自分で判断する。
良い作品が放置されたままなんて、本当に勿体無い。


何の取り得もない、
平凡な専業主婦の主人公・エドナが、
夫の死に、泣いてばかりもいられず、
一念発起する過程が素晴らしい。


だからといって、彼女は元々の気質である、
なんだかホワンとした所を失っているわけではない。
突然やり手女になってしまったら、
違和感を覚えるだろうけど、
できないなりに頑張ってます、みたいな所に、
すんごい共感を覚える。


エドナに綿花作りを教えるダニー・グローヴァーもいい。
30年代のアメリカは、
黒人差別が酷く、
彼は人間扱いされない。
それでも彼は、
綿花の種の良し悪しから、
問屋への駆け引きまで、
全てのノウハウをエドナに伝授してゆく。
彼がいなかったら、エドナはどうなっていただろうと思うと、
空恐ろしいような気持ち(笑)。


ちょっと気難しい、盲目の青年という難しい役を演じた
ジョン・マルコヴィッチは、
なんとこの映画がデビュー作なのだという。
凄いなぁ、
世に出てくる人は、
最初から違うのね。


エド・ハリスが、
親友の妻と不倫する役で出ている。
言葉を発しず、
瞳だけで気持ちを表現する。
キャラクター自体はいただけないけれど、
その演技に見入ってしまう。
彼にとっても出世作なのだそうだ。


アメリカが抱える問題、
KKKや竜巻による自然災害などの場面もあり
見応え十分。
サリー・フィールドは、
この映画でアカデミー賞主演女優賞を取っている。


評価 ★★★★★

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