SSブログ

「母子鶴」 [映画]

hahakoduru.jpg
〔1952/日本〕


浅草で手品師をする信子(三益愛子)には、
2人の娘・映子とマリがいた。
娘たちの父・史郎(宇佐美淳也)はまだ学生で、
信子の母親が結婚に猛反対しているせいで、
籍は入れていない。


史郎が学校を卒業し、就職した事から、
やっと結婚しようとしたその時、
映子が大怪我をしてしまい、
入院費を稼ぐため、
信子は北海道に巡業に出る。


ところが、巡業に出ている最中に、
史郎に召集令状が来てしまい、出征、
東京に戻った信子は、
史郎が映子を誰に預けたのか、分からなくなってしまう。


6年後。
信子とマリ(江利チエミ)は、伊豆で流しの仕事をしていたが、
ある金持ちの別荘で、
娘の誕生パーティで歌を歌ってほしいとの要請で、
その家に行く。


その家の主人を見た信子は驚愕する。
それは、あの日以来一度も会えずにいた史郎で、
娘というのは、
美しく成長した映子(若尾文子)だったのだ・・・。





三益愛子さんには、
「母もの」という当たり役があったそうで、
30本以上を作られているそうだ。


確かに、この映画を観ていても、
娘を思う母の愛情表現がとても上手く、
また、「貧しさ」を体現するのも上手いと思う。


旦那様の川口松太郎さんの本を読むと、
映画を離れた三益さんは、
当時としては珍しいラスベガスやハワイでの休暇を
満喫していたという事で、
スクリーンを見ていると、
「こんな貧乏な役をしていても、実際は金持ちなんだよなぁ」と可笑しくなってくる。
(咎めているわけではないです)。
(むしろ笑える)。


この映画は、若尾文子映画祭で上映された一本で、
若尾さんは、
離れ離れになってしまった、
三益さんの長女・映子という役どころ。


しっかし、違和感が一つ。
若尾さんの幼い頃を演じているのが鰐淵晴子さんで、
彼女はどう見てもハーフ顔。
それが成長すると、
純日本人顔の若尾さんになってしまうという不自然さ(笑)。


まぁ、若尾さんはあくまでも脇役で、
主演は妹役の江利チエミさんだから、
仕方ないか。


三益愛子さん演じる信子は、
とても奥ゆかしくて、
史郎の現在の奥さんに気を使って、
自分の身を隠すことばかり考えている。


しかし真面目な話、これ、どうにかならないのだろうか。
史郎の奥さんはめちゃくちゃいい人で、
映子の事も、マリの事も我が子同然に可愛がってくれているし、
信子の存在も承知。


史郎は大変な金持ちらしいから、
信子一人の生活の面倒くらい、
どうって事なさそうだ。
一緒に暮らせとは決して言わないけど、
子供までなした仲の女なのだから、
面倒をみてあげて、と言いたくなってしまう。
(映画に続きがあるなら、そうなる気もするが)


評価 ★★★☆☆





この作品で、
若尾文子さんの出演映画、160本中102本を観た事となりました。


(★は観た作品)


★春の雪 (2005)
 竹取物語 (1987)
 ある映画監督の生涯 溝口健二の記録 (1975)
 幻の殺意 (1971)
★男はつらいよ 純情篇 (1971)
★スパルタ教育 くたばれ親父 (1970)
 座頭市と用心棒 (1970)
★天狗党 (1969)
★千羽鶴 (1969)
★濡れた二人 (1968)
★積木の箱 (1968)
★不信のとき (1968)
 鉄砲伝来記 (1968)
★華岡青洲の妻 (1967)
★砂糖菓子が壊れるとき (1967)
★妻二人 (1967)
★夜の罠 (1967)
★雪の喪章 (1967)
 処女受胎 (1966)
★赤い天使 (1966)
★雁 (1966)
★氷点 (1966)
★処女が見た (1966)
★刺青 (1966)
★妻の日の愛のかたみに (1965)
★不倫 (1965)
★清作の妻 (1965)
★帯をとく夏子 (1965)
 女めくら物語 (1965)
★波影 (1965)
★花実のない森 (1965)
 幸せなら手をたたこう (1964)
 悶え (1964)
★卍(まんじ) (1964)
★獣の戯れ (1964)
★傷だらけの山河 (1964)
★「女の小箱」より 夫が見た (1964)
★温泉女医 (1964)
★新・忍びの者 (1963)
★越前竹人形 (1963)
 女が愛して憎むとき (1963)
★わたしを深く埋めて (1963)
★女系家族 (1963)
 八月生れの女 (1963)
★雪之丞変化 (1963)
★しとやかな獣 (1962)
★秦・始皇帝 (1962)
★瘋癲老人日記 (1962)
★その夜は忘れない (1962)
★やっちゃ場の女 (1962)
★仲よし音頭 日本一だよ (1962)
 閉店時間 (1962)
★爛(ただれ) (1962)
★雁の寺 (1962)
★家庭の事情 (1962)
★妻は告白する (1961)
★新源氏物語 (1961)
★銀座のぼんぼん (1961)
★女は二度生まれる (1961)
★女の勲章 (1961)
★東京おにぎり娘 (1961)
★好色一代男 (1961)
★お嬢さん (1961)
★婚期 (1961)
★花くらべ狸道中 (1961)
★銀座っ子物語 (1961)
 素敵な野郎(1961)
 鎮花祭 (1960)
★偽大学生 (1960)
★安珍と清姫 (1960)
★勝利と敗北 (1960)
★ぼんち (1960)
★からっ風野郎 (1960)
★女は抵抗する (1960)
★女経(じょきょう) (1960)
★初春狸御殿 (1959)
★浮草 (1959)
 実は熟したり (1959)
★美貌に罪あり (1959)
 花の大障碍 (1959)
 次郎長富士 (1959)
★氾濫 (1959)
★山田長政 王者の剣 (1959)
★薔薇の木にバラの花咲く (1959)
★最高殊勲夫人 (1959)
★あなたと私の合言葉 さようなら、今日は (1959)
 新婚七つの楽しみ(1959)
★母(1958)
★娘の冒険 (1958)
★夜の素顔 (1958)
 嵐の講道館(1958)
★一粒の麦 (1958)
★息子の結婚 (1958)
★口笛を吹く渡り鳥 (1958)
 愛河 (1958)
★忠臣蔵 (1958)
 螢火 (1958)
 東京の瞳 (1958)
 妻こそわが命(1958)
★青空娘 (1957)
★夕凪 (1957)
★誘惑からの脱出 (1957)
★永すぎた春 (1957)
★朱雀門 (1957)
 慕情の河 (1957)
 続銀河の都 (1957)
★スタジオはてんやわんや (1957)
 銀河の都 (1957)
 君を愛す (1956)
 四十八歳の抵抗 (1956)
★日本橋 (1956)
★涙 (1956)
 スタジオは大騒ぎ (1956)
 あさ潮ゆう潮 (1956)
★滝の白糸 (1956)
★処刑の部屋 (1956)
 新婚日記 恥ずかしい夢(1956)
 新婚日記 嬉しい朝(1956)
★赤線地帯 (1956)
 虹いくたび (1956)
 新妻の寝ごと (1956)
 花嫁のため息 (1956)
 薔薇の絋道館 (1956)
★弾痕街 (1955)
 七人の兄いもうと (1955)
★珠はくだけず (1955)
★長崎の夜 (1955)
★幻の馬 (1955)
 娘の縁談 (1955)
★薔薇いくたびか (1955)
★月に飛ぶ雁 (1955)
 幸福を配達する娘 (1955)
★螢の光 (1955)
 勝敗(1954)
 荒城の月 (1954)
★月よりの使者 (1954)
 緑の仲間 (1954)
 浅草の夜 (1954)
 慕情 (1954)
★舞妓物語 (1954)
★酔いどれ二刀流 (1954)
 或る女 (1954)
★心の日月 (1954)
 十代の誘惑 (1953)
 無法者 (1953)
 続続十代の性典 (1953)
 春雪の門 (1953)
★祇園囃子 (1953)
 続十代の性典 (1953)
 チャタレー夫人は日本にもいた (1953)
 怒れ三平 (1953)
★十代の性典 (1953)
 彼女の特ダネ (1952)
 街の小天狗 (1952)
 秘密 (1952)
 明日は日曜日 (1952)
 花嫁花婿チャンバラ節(1952)
★母子鶴 (1952)
 猛獣使いの少女 (1952)
★死の街を脱れて (1952)

nice!(42)  コメント(6)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画