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「五人の突撃隊」 [映画]

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〔1961年/日本〕


昭和19年5月。
ビルマの最前線で戦う日本軍は、
食糧も弾薬も尽き、
兵隊たちは疲れ切っていた。


若い少尉・野上(本郷功次郎)は、
大隊長の父親(大坂志郎)の下で働くようになるが、
実家で兄ばかり可愛がっていた父親を憎み、
何かと楯をつく。


橋本上等兵(川口浩)は、
戦地に来る前はチンピラヤクザだった男で、
橋本のせいで迷惑ばかり掛けられている家族は、
彼が戦争に出たことでホッとしている。


庄司一等兵は(川崎敬三)は、
美しい妻を迎えたその夜、
召集令状が届き、
涙の中、出征する。


杉江一等兵(藤巻潤)は、
美大に通う画家志望の学生で、
結婚を約束した恋人が、
彼の帰りを待っている。


小林一等兵(大辻伺郎)は落語家で、
いつか真打ちになりたいと夢見ている・・・。





今月24日のニュースで、
川崎敬三さんが既に亡くなられていた事を知った。


原節子さんが亡くなり、
原さんが特別な女優さんだという事を
昨日、書いたけれども、
私の中で、川崎さんは、
原さんとは別の意味で特別な俳優さん。


以前の私は、川崎さんの事を、
ワイドショーの司会をするような、
ただのおじさんタレントだと思っていたのだけれど、
実は昔は、沢山の映画に出演する、
イケメンの俳優さんだった事を、
古い邦画を観るようになって、知ったのだ。


特に、私の大好きな若尾文子さんの映画に、
川崎さんは相手役として、何本も出演されていて、
ちょっと気の弱い、
半笑いを浮かべたような表情を思い出す。


また、私の愛する川口浩さまとも、
とても仲が良かったようで、
若い頃、浩さまが運転する車に同乗していて、
事故を起こした事もあると、ウィキペディアに書かれてある。
それを知った時は、
やんちゃな2人の様子が目に浮かんで、
笑ってしまったものだ。


で、この「五人の突撃隊」。
川崎さんの訃報を知って、
友人からソフトを借りたのだけれど、


想像以上の面白さ。
別に川崎さんや、浩さまが出ているから、
贔屓しているのではなく、
戦争映画として、素晴らしい出来栄えだと思う。


辛く悲しいだけでなく、
笑いも盛り込まれていて、
「兵隊やくざ」もそうだけど、
兵隊たちにだって笑いはあった事や、
笑っていたって反戦の気持ちは描けると教えてくれる。


浩さまの、
「めんどくせー」みたいな態度は、
今のヤンキーがかった若者と何ら変わりないし、
川崎さんなんて、
壕の壁に女体を彫り込んで(これがまた上手い(笑))、
毎日毎日、エロトークに花を咲かせている。
誰でも彼でもかき集められた戦地の様子は、
実際はこうだったんだろうなぁと思う。


何も、しゃっちょこばるばかりが戦争映画がじゃない。


ラストの皮肉な感じも、
反戦の気持ちを表すのに素晴らしい効果を上げている。
面白くて、そしていい映画だった。


評価 ★★★★☆

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