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「美しき抵抗」 [映画]

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〔1960年/日本〕


医学部の助教授・北沢彪は、
金や出世より、自分の研究に没頭したいと考える
中年男性。


そのせいで、
妻・高野由美は、ミシン踏みの内職をし、
長女・香月美奈子、
次女・沢阿由美、
三女・吉永小百合の三姉妹は、
大学には行けずに、就職する。


ある日、沢は社長に呼ばれ、
「君のお父さんを研究所員として招き入れたい」と言われ、喜ぶ。
そうなれば給料は格段に上がる。
しかし母は、
「お父さんはお金の為に、今の研究を捨てはしない」と言う。


香月は、結婚を前提に付き合っている男・梅野泰靖とデートし、
そして失望する。
梅野の話は自分の仕事の事ばかりで、
デリカシーに欠け、
女性に対する思いやりが微塵も感じられないからだ。


娘たちは、父親の身勝手さと、
母の献身に我慢を重ねてきたが、
ある日、ついに爆発し・・・。





金よりも研究という夫。
尽くす妻。
反発する娘たち、という構図だけれど、


私には、この家の父親は、
そこまで横暴には思えなかったな。


だって、本物の暴君って、
こんなものじゃないでしょ。
この父親は、家族と普通に会話しているし、
普段は優しい。
なんだかんだ言って、
娘たちは甘えられるから、
言いたい事を言えるのであって。


それに、このお父さん、
娘たちに自分を責められると、
反省し、改心しようとするじゃないか。
本当に嫌な男は、
絶対に自分を変えようとはしない。
悪いのは全て自分以外の人間で、
自分は間違っていないと言い張る。
このお父さんは、まだマシな方だと思うなぁ。


夫を支える高野由美が素晴らしい。
これぞ良妻賢母。
不満一つ漏らさず、
家事を完璧にこなし、
家計を助けるために内職までする。


これを見ると、
専業主婦だって、立派な仕事だと本気で思う。
夫が仕事をしやすいように、
子供が勉強しやすいように環境を整える。
そして、それをしている自分の存在を
声高に主張しない(ここが大事(笑))。
これぞ主婦の鑑。


ただ・・・
夫が、今の職場の3倍のお給料をもらえる仕事に
引き抜きの話がきたら・・・
私は、「そちらに行ってほしい」と思ってしまうかなぁ。
やっぱり私は業突く張りで、金に目が眩む女(笑)。


デビュー当時の吉永小百合が、
とっても可愛い。
「溌剌」という言葉がピッタリ。
のちに彼女とのコンビで、
沢山の映画に出る浜田光夫が、
浜田光曠という名前で出てくる。
この頃から、息の合った2人だったんだなぁと思う。


評価 ★★★☆☆

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