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「エール!」 [映画]

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〔2015年/フランス〕


フランスの田舎町で暮らす高校生・ポーラ(ルアンヌ・エメラ)は、
酪農をする両親と弟の4人家族。
ポーラ以外の家族は聾唖者で、
ポーラは家族の通訳のような役目を果たしている。


ある日、学校のコーラス部に入ったポーラの
歌声の美しさに気付いた教師は、
パリの音楽学校への入学を勧める。


一方、父は、
現在の町の政治に不満を持ち、
今度の市長選に立候補する事を決意する。


父の通訳や、
酪農の手伝いなど、
ポーラにはする事が山積みで、
パリに行きたいなど、
とても言い出せる雰囲気ではない。


案の定、
その話を知った両親は猛反対。
ポーラの運命は・・・。





家族で一人だけ耳が聞こえるからと、
幼い頃から、
家族を支えてきた少女が、
初めて自分のしたい事を主張し、
そこから起こる家族との軋轢を描いた物語。


けれど、全くシリアスな感じはなく、
笑いが絶えない。
家族全員が、どこかとぼけていて、
なんともいえない可笑しみがある、
愛すべき人たち。


最初から笑ってしまう。
ポーラは両親の病院に付き添い、
両親の代わりに、
医師にその症状を説明するのだけれど、


それが、なんというか、
一般的は子供の前では絶対話さないような、
夫婦のプライベートな症状の話で、
それをポーラは、
何の照れもなく、
淡々と医師に伝え、
また、医師からの言葉を両親に伝える。


私が知ったような事を言うのは違うんだろうとは思うけれど、
健常者でも、障がいのある方でも、
時に、避けて通れない問題が発生するのは同じ。
ただ、それを伝える手段にどうしても限りのある
聴覚障害のかたは、
この場面のような事だって実際あるのだろうと思ったわけで。
とても人間らしい、いい場面だと思ったな。


父が市長選の立候補にあたって、
テレビ出演し、
ポーラが通訳する場面も笑える。
その時、自棄気味になっていたポーラは、
父が手話で熱心に話す言葉を、
たった数語に省略してしまう。
父もインタビュアーも、目を白黒(笑)。


ポーラの歌は、
私は、そうめちゃくちゃ上手いとも思わなかったけど、
(もちろん、「それなり」には上手いです)
歌より、家族愛がメインなので良し。


評価 ★★★☆☆

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「コードネーム U.N.C.L.E.」 [映画]

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〔2015年/イギリス〕


1960年代前半。
東西が冷戦状態の中、
CIAのエージェント・ナポレオン・ソロ(ヘンリー・カヴィル)は、
自動車整備工場で働く女・ギャビー(アリシア・ヴィカンダー)の
身柄を確保する為、
ベルリンへ。


ギャビーの父は科学者で、
核兵器をめぐるトラブルに巻き込まれている
可能性があり、
現在、失踪中なのだ。


ギャビーを連れ出したソロだが、
若い男が自分たちを付け狙っている事に気付く。
それはKGBの最年少にしてエリートの
イリヤ・クリヤキン(アーミー・ハマー)だった。


2人は撃ち合いになるも、
勝負がつかずに別れるが、
後日、世界の危機を前に、
手を組まされることになる。
水と油のような2人。
果たしてミッションは上手くいくのか・・・。





テレビドラマ、「ナポレオン・ソロ」というものを
観たことがないので、
ソロとクリヤキンの関係が分かっていない自分が残念。


ウィキペディアによると、
2人は知る人ぞ知る、いいコンビらしい。
この映画の為に創作されたコンビではないという事なのね。


もちろん、初めてこのコンビを観たからと言って、
楽しめないわけではない。
解説には、
「予備知識がなくても、十分楽しめる」とある。


ソロとクリヤキン、
2人は凄腕のCIAとKGBのエージェントという事だけど、
これが結構鈍臭い(笑)。
いがみ合っているという割に、
意外と気が合っていたりもする。
そこがいい。


スパイ道具の、
CIAとKGBの対比も笑える。
どちらかというと、
CIAはアナログ、KGBはハイテクで、
でも、どちらにも良さがある。
ハイテクばかりが能じゃないと教えてくれる。


アーミー・ハマー、好きなのよねー。
彼を知ったのは、
「ソーシャル・ネットワーク」だったと思うけど、
アメリカの上流階級の双子という役が、
めちゃくちゃハマってて、
以来、気になっちゃって(笑)。
この映画でも、ハンチングが似合ってて、カッコ良かった。


それから、すんごく気に入ったのが、
ギャビー役のアリシア・ヴィカンダー。


彼女は白人にしては小柄で、
なんだかシンパシーを感じたし、
60年代風のファッションが素敵。
彼女は服は、アーミー・ハマーが見立てるという設定。


彼は、たとえ偽装の夫婦でも、
自分の妻を演じる女に、
気に入らない服は着てもらいたくないと言う。
こんな事、嫌いな男が言ったら
嫌な感じなんだろうけど、
彼が言うなら許しちゃう。
いい年して、何言ってんだか、自分(笑)。


評価 ★★★☆☆

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「エベレスト 3D」 [映画]

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〔2015年/アメリカ〕


1996年。
ニュージーランドの登山会社が企画した、
エベレスト登頂ツアー。


世界各国から、
8人のアマチュア登山家たちが参加し、
標高5000メールの場所をベースキャンプに、
体を慣らしてゆく。


ガイドのジェイソン・クラークは、
別のツアーのガイド・ジェイク・ギレンホールと
ツアーを合体させて山頂を目指す事にする。


一行は、何とか山頂に辿り着くも、
様々なトラブルから、
下山が遅れてしまう。


「デス・ゾーン」と呼ばれる箇所で、
悪天候に見舞われ、
進退窮まった一行。
果たして無事下山できるのか・・・。





登山をされている方には、
大変に申し訳ない言い方なんだけれど、
こういった映画を観る度に、
「あぁ、なぜ自分からそんな恐ろしい所へ・・・」と
思ってしまう私。


普通に暮らしていれば、
決して味わう事のない、
苦行のような体験をしに、
なぜ、わざわざ出かけて行くのか・・・
って、そう言ってしまっては
身も蓋もないのだけれど。
きっと、登山が好きな方は、
ちゃんと理由があるのだろうし。


ただ、この映画で、
エベレストの山頂の、
尖った岩に手を触れた瞬間の達成感は、
観ているだけで、
確実に味わえたのも確か。
「この瞬間を感じたくて、山に登るのかもしれない」
とも思う。


凄いなぁ、エベレスト。
ベースキャンプの場所からして既に、
標高5000メートルってんだから、
富士山よりはるかに上って事なのよね。
考えただけで、酸欠になりそう。


そんなエベレスト登山に、
商業的ツアーがある事も初めて知った。
物知らずな私は、そういった極端に高い山に登る人は、
みんな職業としての登山家なのだと思っていたから。


しかもその人数は、
思っているよりずっと多い。
麓の町は登山客でごった返しているし、
ベースキャンプも人でいっぱい。
そっか、山に登りたい人って、
私が思っている以上に、はるかに沢山いるんだ。
自分に山登りの趣味が無いからと、
他の人も同じだと思ってはいけないわ(笑)。


ジェイク・ギレンホールが、
直近で観た「ナイトクローラー」での、
超胡散臭い役から一転して、
登山のガイド役ってのが、
なんだか可笑しくて。
夜の男から、大自然の男へ(笑)。
180°違う役柄。


ツアーの中に、
日本人の女性がいた。
やはり日本人は、
小柄で若く見える。


そして、当たり前の事だけど、
こういったツアーに参加するのには、
英語は必須だと痛感。
大変な危険が迫っていても、
誰かが叫んだ言葉を理解できなかったら、
一人逃げ遅れてしまう。
登山は登山の技術だけを学べばいいわけじゃない事を
学んだ(笑)。


評価 ★★★☆☆

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「もず」 [映画]

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〔1961年/日本〕


新橋の小料理屋で働く淡島千景の所に、
娘の有馬稲子が訪ねて来る。
淡島と有馬は、実の親子だというのに、
会うのは20年ぶり。


有馬は、故郷の松山で結婚生活に敗れ、
東京で美容師として働きたいから、
淡島と一緒に暮らすために上京してきたのだ。
しかし、パトロンとイチャつく淡島を見て嫌気が差した彼女は、
一人、住み込みの美容院で暮らす事にする。


しかし、淡島が病気で倒れた事をきっかけに、
同居を始めた有馬。
そんなある日、
親子ほど年の離れた男との見合いを有馬が受けたため、
淡島の機嫌が悪くなり、
また、母娘の仲は険悪になってしまう。


上手くいかない2人は疲れ果て、
有馬は松山に帰る決意をするが、
そんな中、淡島が再び倒れ、
病院に担ぎ込まれる・・・。





たとえ実の母と娘であろうと、
気の合わない2人が一緒に暮らすのは、
やっぱり無理があるんじゃないかと
思わされる映画。


親子にしろ、夫婦にしろ、
争いが絶えない2人って、
なぜそうなってしまうのか、
きっかけは何なのかと、
いつも思っていたので、
この映画の2人の言い争いを興味深く観てしまう。


何というかもう、
会話が噛み合っていないのよね。
「どうせ私なんか」などと、
議論より、感情が優先になっているし、
「私の事、くたばればいいと思ってるんでしょ」なんて、
相手が言ってもいない事を、
勝手に決め付けて言ったりもする。
それじゃ、喧嘩になるし、解決もしないわ。


ただ、この映画の場合、
私は娘の方の考えに近いかなぁ。


母は、娘の生活に干渉しすぎて、
あれこれ口を出すのが、
私が観ていても、煩わしくてたまらない。
元々、離れて暮らしていた事を思えば、
それほど娘の行動を気にする事はないのにと思うのだけれど、
そうはできないらしい。


しかも娘はバツイチよ。
男友達が部屋に来ようが、
見合いをしようが、
好きにさせてやれって。
10代の生娘じゃあるまいし(笑)。


タイトルの「もず」ってどういう意味なんだろう。
私が見逃したのかもしれないけど、
そのヒントになるような場面には
気付かなかった。


評価 ★★★☆☆

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「ミケランジェロ・プロジェクト」 [映画]

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〔2015年/アメリカ〕


第二次世界大戦末期。
ヒトラーは、世界の名画や彫刻を
蒐集する事に執心し、
略奪を繰り返していた。


ハーバード大学のストークス(ジョージ・クルーニー)は、
その事に危機感を募らせ、
時の大統領・ルーズベルトに、
美術品奪還を認めさせる。


ストークスは、奪還実行部隊「モニュメンツ・メン」を結成。
7人の美術エキスパートを集める。
ただし、この7人、
美術はプロでも、戦争は素人。


そんな彼らが、
戦場で美術品を取り戻す事ができるのか・・・。





この映画とは直接関係ない話だけれど、


先日、パリで起きたテロのニュースをテレビで観ていて、
パリの地図の中にルーブル美術館の名前が見えた時、
「もしも、ここをテロリストが攻撃したら、
人類にとって、どれだけの損失になるだろう」と思った。


人々が争うという事は、
人命が失われる損失は当然として、
それ以外に、
永遠に残しておきたい美術品や、
美しい建造物など、
大切な物全てが失われる事なのだと、
あらためて思う。


もちろん、それは、
テロの後、フランスに空爆された
シリアの側も、同じ事が言えるだろう。
何故、世界はこんな風になってしまっているのか。
地球上から戦争が無くなる日は、
永遠に来ないのか。


で、この映画は、
ヒトラーが略奪した美術品を
取り返すために組まれたプロジェクトの活躍を描いた物語。


冒頭、「実話です」みたいなテロップが出るので、
ある程度、真実なのだろうけれど、
多少の脚色もされているらしい。


ナチスが数々の美術品を
火炎放射器で燃やすシーンにショック。
ヒトラーは自分の死後、
それらを破壊せよとの、「ネロ作戦」という命令が
発令していたのいうのだから、
恐ろしい。


しかし、ウィキペディアによると、
彼の部下は「ネロ作戦」を実行せず、
美術品を保護していたそうで、ホッとする。
人として普通の感覚があったら、
貴重な美術品を破壊するなんて、
躊躇するに決まってるものね。


ジョージ・クルーニーとマット・デイモンと、
それから、何人かの集団とくると、
自然に、
「オーシャンズ11」を思い出す。
クルーニーがリーダー格な感じも同じだし。


マット・デイモンが、
地雷に乗ってしまった場面が、
興味深かった。


登場人物が地雷で亡くなる映画は、
今まで何本か観てきたけれど、
いつも、「私が考えるあの方法で助からないものか」と思ってきた。


この映画では、
その、「私が考える方法」を実践してくれる。
自分の考えが、
あながち間違っていたわけではなかった事に
少し嬉しくなる。
もちろん、それが必ずしも成功するわけではないんだろうけれど。


評価 ★★★☆☆

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