「ひゃくはち」 [映画]
〔2008年/日本〕
高校野球の名門・私立京浜高校。
スポーツ推薦で入学してきた生徒が多い中、
公立高校出身の雅人(斎藤嘉樹)とノブ(中村蒼)は
万年補欠。
2人は大の親友同士で、
いつも学校の裏の神社に行っては、
「絶対に甲子園のベンチに入ろう」と誓い合っている。
キツい練習に耐え、
頑張る2人であったが、
いつも雑用や、敵チームの偵察をさせられ、
それでもクサる事なく、
指示された事をこなす日々。
夏の予選を控えたある日、
ノブは雅人に、ある宣言をし、
以来2人は口もきかない仲になってしまう・・・。
これはいい映画。
ラスト、泣いちゃった。
公立高校出身で、
甲子園とは縁もゆかりもなかった私には、
最初は、「汗臭そうな映画だな(笑)」という印象だったけれど、
途中からそんな事も忘れて、
2人の主役の少年の運命を、
真剣に見守ってしまう。
ひょうきんに見える雅人が実は繊細で、
レギュラー発表のある朝は嘔吐してしまうなど、
高校生活の全てを野球に賭ける思いが伝わり、
観ているこちらも本気にならざるを得ない。
野球部員は全員、寮生活をしているけれど、
これも大変そうだ。
24時間、常に同じ仲間と一緒にいるって、
一体どんな感じなんだろう。
勉強や練習は分かるとして、
本来、ストレス解消の為に行われるのであろう、
クリスマス会なども同じ顔ぶれじゃ、
あまりストレス解消にはならないような(笑)。
もちろん、この寮生活のおかげで、
連帯感や、より強い友情が芽生えるという事もいえる。
スポーツ名門校の寮生活の目的は、
そういった所にあるのだろう。
それにしても、
レギュラー発表の場面の緊張感ったらない。
監督が選んだ生徒たちが、
一人一人名前を呼ばれ、
背番号を受け取る。
選ばれた者が父に電話をし、
父が号泣する場面。
あぁ、なんて素晴らしいんだろう。
自分の身内や、大切が友人が、
入学試験や就職試験などに合格した時の嬉しさを
思い出す。
その子の努力を知っているからこそ、
泣かずにはいられない、その喜び。
もちろん、選ばれる子がいる陰で、
選ばれなかった子もいる。
ただ、この映画の場合に限っていえば、
なんとなく、納得できる作りになっている。
大変に上手い流れ。
そして、ラストの試合。
本気で力が入し、
力が抜ける(笑)。
素晴らしい演出。
評価 ★★★★☆