SSブログ

「夜明けのうた」 [映画]

yoakenouta.jpg
〔1965年/日本〕


人気女優・浅丘ルリ子は、
高級車・スカイラークを購入し、すっかりご機嫌で、
恋人・岡田真澄の待つホテルに行く。
しかし、岡田が妻子の待つ家に帰ってしまった事から、
1人でドライブへ。


小田原のドライブインで、ひょんな事から出会ったカップル、
浜田光夫と松原智恵子を車に乗せる。
松原は目の病気を患っていると言い、
浅丘は、知り合いの医師を紹介する。


医師の診断によると、
松原の目は、あと半年以内に、
完全に光を失うとの事で、
浜田は大変なショックを受け、
また浅丘も、驚く。


家に帰った浅丘は、
付き人と運転手連名の置手紙に気付く。
そこには、
「2人で駆け落ちする。
現金と宝石は、退職金代わりにいただく。
警察に訴えたらスキャンダルをばらす」と書かれおり、
どうする事もできない。


ミュージカルの次回作の台本を読んだ浅丘は、
その内容が、自分の私生活にソックリだった事に憤慨、
その仕事は辞退すると言い放ち、
夜のクラブに行くと、
浜田と松原が来ており・・・。





小作品ながら、
有名女優と、田舎から出てきたカップルとの
2日間の出来事が凝縮されている、
いい映画だと思った。


浅丘ルリ子が、
若くもなく、かといって大御所というにはまだ早い、
中途半端な年齢の女優という役に、
ハマりすぎるほどハマっている。


どこへ行ってもサインをせがまれるくらい有名ではあるけれど、
付き合っている恋人は妻子持ちだし、
仕事は順調だけど、
スキャンダルを笑い飛ばせるほどには達観していない、
そんな立ち位置。


そんな彼女が、偶然知り合ったカップルと、
一晩を過ごすうちに、
彼女の中で、何らかの変化がある。
その過程が大変によい。


浅丘は、我儘な女優に見えて、実は意外と姉御肌。
浜田と松原のカップルを放っておけず、
一緒にボーリングをしたり、
会員制のバーに連れていったりして、
東京での思い出作りと、
2人の今後を話し合わせる時間を作ってやる。


浅丘も成長したけれど、
浜田たちにとっても、
素晴らしい出来事であった事に間違いない。
いくら東京に出てきたからって、
そんな経験なかなか出来るもんじゃない。


恋愛ものでもない、
難病がクローズアップされているわけでもない、
芸能界の内幕ものでもない、
ジャンルを問われると答えられないけれど、
観終わったあと、タイトル通り、
夜明けを迎えたような気持ちになれる、そんな映画。


評価 ★★★★☆


nice!(46)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画