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「喜劇 深夜族」 [映画]

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〔1969年/日本〕


伴淳三郎は、浅草界隈でポン引きをする中年男。
彼は娘の緑魔子を生娘と信じ、
大切に育ててきたが、
実は魔子はコールガールをしている。


そして、そんな伴もまた、魔子には、
自分の職業を守衛と偽っている。


高松しげおは、伴に弟子入りし、
ポン引きの技を学んでゆくが、
作家先生にコールガールを紹介した所、
先生が警察に捕まってしまい、
ついでに高松まで挙げられてしまう。


弟子を警察に泊めたのでは、
師匠の名がすたる、という事で、
高松の代わりに留置場に入った伴。
魔子には、出張と偽ったのだが、
彼女はある出来事から、伴がポン引きだと知ってしまう。


魔子と高松はひょんな事から知り合いとなるも、
互いに、伴の娘・弟子とは気付かない。
伴の軍隊時代の上官・西村晃に、
魔子を斡旋した高松。
しかし、ある理由で西村のホテルに行った伴は、
魔子がそこにいた事に大変なショックを受ける・・・。





またまた観てしまった、
伴淳三郎さんの人情コメディ。


この映画の伴さんは、
ポン引きを生業にしているのだけれど、
彼はもう、どんなに胡散臭い役を演じても、
全く嫌な感じがせず、
むしろ応援したくなってしまう。
本当にいい俳優さん。


私は今まで、
ポン引きの事を、「ぽんびき」と言っていたけれど、
伴さん曰く、「ぽんひき」と言えと言う。
その説明はなぜかされず、
だから、理由も分からないのだけれど、
彼なりの拘りがあるらしい。


緑魔子さんがまた、
父親に内緒でコールガールをする女の子の役がピッタリで。
彼女は昼間は、
八百屋さんで働いていて、
夜とのギャップが可笑しい。


しかも、コールガール(いわば、売春よね)をしている自分に、
何ら罪悪感もないようで、
実に楽しそうだし、あっけらかんとしている。
本来なら、
暗く、ジメジメしそうなこんなお話が明るく感じられるのは、
緑さんの演技による所も大きい。


それにしても、親ってありがたいというか、面白いというか。
コールガールの斡旋をしているのに、
自分の娘だけは生娘で奥手だと信じてるなんて、
幻想というか、希望的観測というか、
それでもきっと、そう思いたいのでしょうね。
だって、生まれた時の、何にも染まっていない状態から
知っているのだもの。
この子だけは、って。


評価 ★★★☆☆

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