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「偽れる盛装」 [映画]

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〔1951年/日本〕


祇園の静乃家の娘・君蝶(京マチ子)は、
その界隈でも凄腕で鳴らした芸者。
彼女は金のある男を次々と落としては、
男が破産するまで食い潰す。


君蝶の妹・妙子(藤田泰子)は、
君蝶とは正反対の、市の観光課に勤務する真面目な娘。
彼女は同じ役所に勤める孝次(小林桂樹)と恋仲だが、
孝次の実家は、やはり祇園の大きなお茶屋。
孝次の母・千代(村田知栄子)は、家の格式が違うと、
2人の結婚を頭ごなしに反対し、静乃屋に乗り込んでくる。


千代の態度に怒った君蝶は、
千代の旦那・伊勢浜(進藤英太郎)を誘惑し、
ついには奪ってしまう。
君蝶と伊勢浜が逢引する部屋へ千代がやって来て、
取っ組み合いの大喧嘩になるも、
伊勢浜の心はすでに君蝶のものになっていた。


そんな中、
君蝶に入れあげ、
会社の金を使い込んだ挙句クビになった山下(菅井一郎)が、
彼女に金の無心をしにきた。
金の無い男に用はないと、
手酷く追い返した君蝶に激昂した山下は・・・。





これぞ京マチ子!と言いたくなるような
ハマり役。
どなたかが京さんの事を、
「愛人顔」と仰ったけれど、
まさしくそれはこの映画の為にあるような言葉だ。
(私生活は知らないが(笑)。あくまでも見た目)


京さんは金の有りそうな男を、
次から次へと手玉に取る。
いや、男自身に金が無く、
会社の金を使い込んでいたとしても、
そんな事はかまやしない。
金に名前が書いてあるわけじゃなし、
手にしてしまえば自分のもの。


そして、その男から、
金を搾り取るだけ搾り取った後の、
ポイ捨てする時の態度も凄い。
これ以上ないような罵声を浴びせ、
相手のプライドはズタズタだ。
そんな物言いをしたら、いつか必ず痛い目に遭いそう・・・と
観ているこちらはハラハラするし、
案の定な展開となる。


やはり男女が別れる時は、
相手のとことんまで追い詰めては駄目なんだなぁ、と、
こういう映画を観ていると勉強になるわ。
(私の今後の人生で、この映画のような男女関係を結ぶ事は
ないだろうけど(笑))


そんな京さんに対して、
妹・妙子の真面目な事ったら。
同じ姉妹とは思えないような性格の違い。
そして、その対比が面白い。


私自身、平凡こそ命という、
全く面白味のない人間で、
とてもこの映画の京さんのように
生きられはしないけれど、
だからこそ、こういった映画の主人公を
いつも面白く思ってしまう。
ある種の憧れがある。


それから、京さんの名誉のために、
(というほどではないけれど(笑))
書くけれど、
彼女も、自分の心の内を隠して、
強がっている面もあるのよ。
ある場面で涙を流し、
しかし、絶対人にそれを悟られないようにする、その様子に、
少しホッとしたのも事実。


評価 ★★★★☆

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