SSブログ

「おろしや国酔夢譚」 [映画]

orosiyakokusuimutan.jpg
〔1992年/日本〕


1782年。
伊勢を出発した商船が難破し、
6人の乗組員が
9か月もの漂流の末、名前も分からない国に辿り着いた。


現地の人間と話しているうちに、
ここがおろしや国(ロシア)という名だと知った
リーダーの大黒屋光太夫(緒形拳)は、
ロシア語を覚えつつ、
日本へ帰る道を模索する。


オホーツク、ヤクーツク、イルクーツクと、
ロシア国内を移動しながら、
運命に翻弄される6人。


現地の未亡人と愛し合うようになり、
ここに残ると宣言する者、
凍傷で片足を切断し、
日本では御法度のキリシタンとなってしまう者、
そして、死亡する者・・・。


9年の歳月が過ぎ、
それでも帰国を諦めなかった光太夫ら3名は、
女帝エカテリーナに謁見し、
自分たちの願いを強く訴える・・・。





井上靖さんの小説を映画化。
実際にあった出来事をモチーフにしているそうだ。


鎖国をしているとはいえ、
一度日本を離れてしまった人々の帰国が、
これほど難しいものだとは、
全く知らずにいたので驚いた。


ロシアは、なかなか彼らを
帰国させてくれようとはしない。
何らかの悪意があって、
ロシアに入ってきたのならともかく、
どう見ても漂流者なのだから、
とっとと帰国させてあげてほしいと、本気で思う。


ロシアの雪原でのロケも凄い。
豪雪というのとはまた違うのだけれど、
とにかく、体が芯から冷えそうな雰囲気で、
西田敏行さん演じる男が、
凍傷で片足を失う事になる。


通常でも、
足を失うのは、とても辛い出来事であるのに、
帰国できるかどうかも分からない異国の地で、
そのような事態に陥るとは、
どれほど絶望的な気持ちになるだろうかと、
その心中を察する。
彼がキリシタンとなり、
ロシアに残る決意をしたのも、
分からなくはない。


願いが叶い、やっと日本に帰れた3人だけれど、
その後がまた、面倒臭いのよ。
理由を問わず、外国に行った者は
死罪だと。


どうやらその理由は、
外国の良さを知り、日本の不自由さを知ってしまったという
所にあるらしい。


私は鎖国が決して悪い事だったとは思っていない。
200年近い鎖国の期間に、
日本独自の多数の文化が生まれたわけだし、
鎖国のおかげで、
日本はどこの国の植民地にもならずに済んだという話も聞く。


うーん、でもでも、死罪はないよなぁ。
まぁ、光太夫たちはそれを免れ、
通訳として役に立ったという事で、
なんとかホッとできたラストではあったけれど。


評価 ★★★☆☆

nice!(43)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画