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「どたんば」 [映画]

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〔1957年/日本〕


美濃平野に点在する炭鉱の一つ、
東和炭鉱は、
以前は景気の良かったが、
最近は不況のあおりを受けている。


現場は老朽化が進み、
危険な状態となっていたが、
経営者の加藤嘉は、
炭鉱夫たちの言葉には耳も貸さない。


ある激しい雨の日、
川からの鉄砲水が一気に押し寄せ、
炭鉱に流れ込み、
志村喬をはじめ、5人の男たちが、
地下に取り残されてしまう。


排水作業など、様々な手を尽くすが、
救助ははかどらず、
時間は経つばかり。
炭鉱内の空気は次第に薄くなってゆき・・・。





炭鉱を舞台にした映画は、
日本でも海外でも沢山あり、
どれも、一定の面白さを保っている。
危険と紙一重の職場環境が、
物語になり易いのだと思う。


この映画も、そのものズバリで、
炭鉱の事故と、その救助の場面が8割以上。
元々NHKで単発ドラマとして放送されたものが
映画化されたのだそうだ。
そんな風にドラマを映画化すること自体、
この物語が面白いという証明だと思う。


まず、映像が凄く、感心してしまう。
本物の炭鉱を使ったのか、
セットなのかは、
私には分からないけれど、
川がみるみる増水して、
鉄砲水が入り込んでくる場面など、
本当に緊張してしまう。
CGなど無かった時代に、
凄いなぁと思う。


そして演出も上手い。
閉じ込められた5人の男たちの様子が、
最初は映し出されるのだけれど、
途中から、ぷっつりと、
映らなくなる。


観ているこちらにしたら、
彼らが現在、どうなっているのか、
生きているのか、死んでいるのか、
復旧作業を見守る、家族や村の人たちと同じ気持ちになって、
どうぞご無事で・・・と手を合わせたくなる。
観客の心理を掴んでいると思うなぁ。


炭鉱の経営者・加藤嘉の心が、
次第に変化してゆく様子もいい。
最初は保身だけだった彼が、
自らの責任に目覚める場面にはホッとする。
まぁ、現実には中々そうはいかないのでしょうが。


評価 ★★★★☆

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