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「午後の曳航」 [映画]

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〔1976年/イギリス〕


イギリスの、ある港町。
3年前に夫を亡くしたアン(サラ・マイルズ)は、
13歳の息子・ジョナサン(ジョナサン・カーン)と2人で暮らしている。


ジョナサンは、今まさに思春期の真っ只中で、
夜家を抜け出しては、友人5人と
いかがわしい写真を見ては騒いだりしている。
5人の中で、飛び抜けて成長の速い「首領」(アール・ローデス)は、
友人たちを醒めた目で見つめ、
またジョナサンたちは「首領」に一目置いている。


ある日、大型船・ベル号が入港し、
船員の1人・ジム・キャメロン(クリス・クリストファーソン)とアンは
恋に落ちる。


「ジムとアンの恋愛は世俗的なものとは違う」
そう信じたジョナサンは、
再び航海に出たジムに、
限りない憧れの気持ちを抱いたが、
彼はアンと結婚する為、戻ってくる。


ジムが「普通の男」だった事にショックを受けたジョナサンは、
「首領」たちに、
そのショックな気持ちを打ち明け・・・。





三島由紀夫の有名な小説を、
イギリスで映画化したものだけれど、


タイトルしか知らなかった私には、
ラスト10分の展開は衝撃以外の何ものでもなかった。
ゆるやかに終わってゆく時間の流れを見つめるしかなく、
この衝撃を味わうために、
原作を読んでいなくて良かったと思ったほど。


最初は、
母と2人暮らしの、13歳の少年が、
母と恋仲になった船員に嫉妬するお話?と思っていたのだけれど、
少年が船員を嫌っている様子はなく、
むしろ、母との恋愛を歓迎しているように見えた。


全く、考えも感性も浅い自分が嫌になる。
少年は、そんなありきたりな感情で
物事を捉えているわけではなかった。
やはり三島由紀夫という人が凄いんだろうなぁ。
色々言われている人ではあるけれども、
凄くなかったら、
世に出てくる事もないでしょうし。


少年は、母の寝室を、
壁に空いた穴から、しょっちゅう見ているのだけれど、
これはどうなんだろう。


女の私からしたら、
身内の者の寝室など、
見たくもないものの一つだけれど、
思春期の男の子には、
そういう事もあるのだろうか。
これが一般的なものなか、
三島由紀夫の感性なのかは分からない。


原作は、横浜が舞台だそうで、
世界でも高く評価された小説だそうだ。
日本で映画化したら面白そうだと思うけど、
最近の、規制規制ばかりの現状では、
ストーリーを忠実に再現するのは難しいかも。
映画くらい、自由に作れたらいいのに。


評価 ★★★☆☆

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